
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)10月14日 火曜日 徳洲新聞 NO.1513 1面
医療法人徳洲会(医徳)は9月13日から2日間、神奈川県の湘南国際村センターで「第3回徳洲会国際心臓血管セミナー in 葉山」を開催した。テーマは「Advances in Coronary Artery Disease Managements(冠動脈疾患の最新治療)」。日本、米国、中国、インドネシア、カナダ、ベトナム、タイの専門家が計35演題(うち徳洲会から18演題)発表した。2日間で延べ274人が現地参加、WEB配信では延べ580人(うち海外から110人)が参加し、国内外からの関心の高さがうかがえた。
「国内外の登壇者からの貴重な知見を共有」と浅井会長
「理念が徳洲会グループのすべての活動の根幹」と東上理事長
大橋・副理事長は中国とインドネシアからの来賓を紹介
会長には浅井徹・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)院長補佐兼心臓血管外科統括部長が3回連続で就任。主催者は東上震一理事長、実行委員長は大橋壯樹・副理事長(名古屋徳洲会総合病院総長)、企画委員長は新田隆・医徳心臓血管外科顧問(羽生総合病院循環器統括顧問)が務めた。
初日は「徳洲会プレセッション」からスタート。プレセッション1、2で計13演題の発表があり、徳洲会グループ内の最新の知見や技術などを共有した。
開会挨拶は東上理事長が登壇。セミナーの趣旨に加え、徳洲会の歴史、現在、さらに未来について語った。その後、本格的な学術セッションを開始。セッション1「動脈硬化と治療効果」、セッション2「低侵襲冠動脈バイパス術」では、それぞれ4演題の発表があった。
初日のハイライトは、浅井会長による講演「最高水準の冠動脈バイパスと心室中隔破裂救命を目指して」。冠動脈バイパス術(CABG)の長期的な有効性と、急性心筋梗塞後の心室中隔破裂(VSR)に対し、自ら開発した修復術「拡大サンドイッチ法」を中心に解説した。
両側内胸動脈や胃大網動脈といった動脈グラフトの活用により、耐久性のある血行再建を実現し、心筋梗塞の自然発症予防につながることを強調。さらに、独自のVSR修復術について、国内外での臨床応用実績をふまえ、その有効性と再現性を紹介し、国際的にも高い評価を受けたことをアピールした。
続くセッション3「進行性疾患と先進治療」では3演題の発表があり、徳洲会からは小林修三・湘南鎌倉病院院長が登壇。「慢性腎臓病における心血管障害〜石灰化との戦い」と題する演題で、慢性腎臓病患者さんに見られる心腎連関、尿毒症環境下での慢性炎症や微小循環障害、さらに血管石灰化といった複雑な病態について解説。臨床医の向き合い方を示した。
懇親会では「マグロの解体ショー」を実施。とくに海外からの参加者に好評を博した。
湘南国際村センター国際会議場で充実した議論を展開
徳洲会を紹介するブースを設置し、国内外の参加者にアピール
懇親会で実施したマグロの解体ショーは、とくに海外からの参加者に好評
セミナー終了後に大規模改修した葉山ハートセンター見学ツアーを実施
2日目の開会挨拶では、大橋・副理事長が中国とインドネシアからの来賓を紹介。王海慶・山東大学斉魯医院徳州医院医師は、徳洲会との強固な関係に感謝を告げ、将来の広範な連携に意欲を示した。アミル・アジズ・アルカティリ国立ハラパンキタ循環器病センター医師は、徳洲会との交流に触れ、現在は新病院建設プロジェクトを共同で推進していることを報告した。
続くセッション4「最新のインターベンション心臓病学」では、4演題のうち2演題が徳洲会からの発表。齋藤滋・湘南鎌倉病院心臓センター長の推薦を受け、同院の田中穣・循環器内科部長が「冠動脈石灰化病変に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)の現状」をテーマに発表。
石灰化病変に対するPCIは困難だが、近年は新技術により治療戦略が進化。作用機序の異なるデバイスを組み合わせる併用療法が有効で、臨床成績も向上。症例に応じた適切なデバイス選択が鍵となると強調した。
次に、三角和雄・千葉西総合病院院長の推薦により、同院の浅野裕樹・循環器内科医師が「PCIにおける新しい診断戦略~FFR Angioその後の展開~High Volume CenterでのReal World解析」を発表。FFRアンギオは、従来のワイヤー式FFRの課題を解決する新技術で、造影画像から非侵襲的に虚血評価が可能。安全・迅速・低コストで精度も高く、冠動脈疾患の診断と治療選択で今後の主流となる可能性が高いことを示唆した。
セッション5「高品質で持続的な血行再建を目指して」、セッション6「最先端のIMPELLAとロボット支援CABG」では、それぞれ3演題の発表があった。後者では中村喜次・千葉西病院副院長兼心臓血管外科主任部長が「日本におけるロボット支援下冠動脈バイパス術の現状と成績」をテーマに発表した。
左前下行枝の単枝病変に対する手術は、高い安全性と長期予後を示し、生命予後の正常化も期待される。治療戦略は病変の重症度に応じ、低侵襲冠動脈バイパス術単独、ハイブリッド治療、経過観察に分類し、ハイブリッド治療の成績が劣る背景には、標準術式が困難な高リスク患者さんが含まれることを指摘。
今後は保険適用と、さらなる技術革新に期待した。また後日、国立ハラパンキタ循環器病センターのダディ・アーマン・ハナフィ医師が同院を訪れ、中村副院長のロボット手術を見学した。
最後に浅井会長は「専門的な議論は循環器内科と心臓血管外科の枠を越え、予想以上に充実し、国内外の登壇者からの貴重な知見が共有されました。今後も改善を重ねながら、より価値ある学びと交流の場をつくっていきましょう」と抱負を語った。
セミナー終了後には、大規模改修を終えた葉山ハートセンター(神奈川県)の見学ツアーを実施。海外からの参加者らが、ハイブリッド手術室やHCU(高度治療室)などを見学した。