徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)5月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1286 四面

湘南鎌倉病院 オンラインで透析サポート
共愛会病院の患者さんへより良い医療

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の大竹剛靖・副院長兼再生医療科部長は、共愛会病院(北海道)と定期的にオンライン・カンファレンス(オンラインによる症例検討)を行い、透析が必要な患者さんの治療をサポートしている。共愛会病院に透析専門の医師がいないため、グループのスケールメリットを生かした遠隔支援により、患者さんにより良い医療を提供するのが目的だ。

TISと共同しシステム構築

「信頼関係があるからこそ遠隔支援ができます」と大竹副院長

共愛会病院は急性期病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟をもつケアミックス病院。大竹副院長は2019年8月から20年6月まで同院で院長補佐を務め、その間、透析が必要な患者さんの診療に従事していた。


湘南鎌倉病院に戻る際、共愛会病院に透析専門の医師が入職するまでの間、月2回ほど定期的に応援に訪れる計画を立てていた。しかし、新型コロナ感染拡大により、状況が一変。大竹副院長は「神奈川県から北海道への移動中に、コロナに感染するリスクがあります。そうした状態で共愛会病院を訪れ、自分が感染源になることだけは絶対に回避する必要があると考えました」と振り返る。


そこで、電子カルテを介したオンライン・カンファレンスのシステムを活用した遠隔支援を計画。湘南鎌倉病院では神尾直・集中治療部部長が離島にある与論徳洲会病院(鹿児島県)を電子カルテでつなぎオンライン・カンファレンスを実施。初期研修医や専攻医の指導を遠隔支援していることから、これを参考にグループ全体のICT(情報通信技術)化を統括・推進している徳洲会インフォメーションシステム(TIS)と共同で、遠隔支援のためのシステムを構築した。


共愛会病院でのオンライン・カンファレンスの様子

遠隔支援では毎週、オンライン・カンファレンスを実施。共愛会病院では八木清美・看護副主任とメディカルクラークの2人が対応。現在、透析治療に55人が登録。


共愛会病院では月2回、透析患者さんの定期検査(血液検査や胸部レントゲン撮影など)を実施。その結果を事前に大竹副院長に送付したうえで、第1週と第3週には検査結果の確認と、透析条件に変更がある場合の指示出し、第2週と第4週は、その指示により問題が解決したかどうか確認作業を中心に行う。


大竹副院長は「オンライン・カンファレンスの目的は大きく分けてふたつあります。ひとつは安定した患者さんの管理、もうひとつは不安定な症状をもつ患者さんへの対応です」。安定した患者さんの場合、定期検査の結果に問題がなければ継続的に管理する。一方、不安定な患者さんの場合、薬の処方や透析の条件など、きめ細かく指示を出し、1週間後に状況を確認する。


指示を出すだけでなく 治療に至る思考過程も

大竹副院長は「共愛会病院で1年間診療に携わるなかで、長期療養中の患者さんは、外来での透析管理とは全然違うことをあらためて感じました。高齢で寝たきりの場合が多く、いろいろな疾患を併発していますので、安定した透析の維持はとても難しいのです」と吐露する。


こうした患者さんに対応するため、大竹副院長がカンファレンスの際に留意しているのは「患者さんの困っていることは何か、明確に伝えてほしい」ということ。「透析を通じ、患者さん全体を診ています。検査値だけを見て、機械的に処理するだけではいけません」と言うように、「口からご飯が食べられない」、「血圧が高い(低い)場合や心拡大、胸水貯留、シャント不良やその他の合併症」など課題にも対応し、患者さんが穏やかな療養を継続できるよう腐心している。


きめ細かい遠隔支援ができるのも、大竹副院長が共愛会病院で実際に患者さんを診た経験があり、立石晋院長をはじめ多職種と信頼関係を築いてきたからだ。「点ではなく線で動いているのです。ピンポイントでアドバイスを送るだけでは、医療の質は担保できません。一度も行ったことのない病院を遠隔支援するのは難しいと考えます」と強調する。


また、「カンファレンスでも、ただ指示を出すだけでなく、徳洲会グループの『魚を与えるのではなく、魚の釣り方をともに学ぶ』という海外支援のあり方のように、なぜこういう治療になるのか、思考過程を伝えることで、連続性のあるサポートになるよう心がけています」と教育面にも力を入れる。


共愛会病院の八木・看護副主任は「大竹先生と毎週のようにカンファレンスを行えることが、何よりも精神的支柱になっています。患者さんは大竹先生にお会いできないことを寂しがっていますが、こうしてサポートしていただき、心強いと思います」。


遠隔支援はコロナ禍がきっかけで始まったが、これは「応援のひとつの形」と大竹副院長。「現地に行くだけが応援ではなく、遠隔でもきめ細かい指示、指導ができることは、ひとつの発見でした。とはいえ緊急事態宣言などコロナ感染の拡大状況を確認しながら、可能な場合には現地に顔を出すという感じで、良いバランスを取っていければと思います」と展望している。


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