徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)4月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1283 四面

保健医療での真・美・善を探求
TMATが日本災害医学会で7演題

第26回日本災害医学会総会・学術集会が3月15日~4月11日まで開かれた。メインテーマは「災害時の保健医療における『善・真・美の探求』」。今回は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となり、プログラムは主にライブ配信とオンデマンド配信に分けて行った。NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、救援活動や自院での取り組みをテーマに7演題を発表した(ポスター発表含む)。口演(口頭発表)を中心に紹介する。

新型コロナ禍の避難所支援

TMATでの経験をもとに発表する鈴木部長(右下) TMATでの経験をもとに発表する鈴木部長(右下)

ライブ配信は3月15~17日に行われ、会長講演や特別講演など主要なプログラムを実施した。そのうちパネルディスカッション8(避難所と感染対策〈新型コロナウイルス:COVID-19〉)で、鈴木裕之TMAT医師(福岡徳洲会病院救急科部長)が「COVID-19流行下の避難所支援~2020年7月豪雨のTMAT活動の経験から~」と題し発表した。

まずTMATを紹介し、診療支援だけでなく近年は保健衛生にも力を入れている点を強調。避難所の一斉清掃や区画整理と段ボールベッドの設置、避難者との協力による感染対策の啓発などの取り組み、とくに段ボールベッドの有用性について説明した。

そのうえで「令和2年7月豪雨」により被災した熊本県でのTMAT活動に言及、計17人の隊員を派遣し、約2週にわたって支援したことを報告した。このなかで、ウイルス感染よりも尿路感染症など細菌感染による死の危険性が懸念された場面を挙げ、あらためて保健衛生活動の重要性を指摘するとともに、梅雨時で高温多湿のためマスクの装着を嫌がる避難者も見受けられるなど、現場では標準どおりの対応が困難な場面もあることを訴えた。

今回、TMATが講じたCOVID-19対策には、①PCR検査、②手指消毒、③目の保護、④ゾーニング(区分け)、⑤ソーシャルディスタンス(社会的距離)、⑥ユニバーサルマスク(すべての人がマスク装着)、⑦教育・啓発活動――を挙げ、それぞれ解説。①ではTMAT本隊派遣前に陰性確認し、被災者の安心につながったこと、②では各隊員のアルコール消毒剤の携帯、③ではゴーグルが梅雨時の屋外では曇るため、曇らないフェイスシールドの併用などをアピール。

④~⑥では感染者、濃厚接触者にならない工夫を紹介した。家族など限られた関係性にある小集団を泡に見立てた〝バブル〟という考え方を示し泡の外ではマスクを着用するなど、コミュニティー確立とコミュニティー内外での対応に関する仕組みの重要性を説いた。

これらをふまえ鈴木医師は「感染予防はCOVID-19に限らず避難所支援の〝肝〟」と指摘。そのうえでCOVID-19流行下では①事前のPCR検査、②手指消毒剤、フェイスシールド、ゴーグルの個人装備、③隔離スペースの多めの確保、④支援者同士の濃厚接触回避――が重要とし、「避難所での感染の起こりづらさと住みやすさは表裏一体だと思います」と締めくくった。

PCR検査については、「食事と同様、被災地の負担にならないことが大事」とし、現地で支援者が検査を受けることには否定的な考えを示した。

ゼロから避難所立ち上げ

末永舞TMAT看護師(福岡病院)末永舞TMAT看護師(福岡病院)

一般演題はオンデマンドで、口演は音声とスライドのみ配信。末永看護師は「事例報告(風水害2)」のセッションで、「新たな避難所の立ち上げ支援」と題し発表した。TMAT隊員として「令和2年7月豪雨」で被災した熊本県の支援活動で、廃校を活用しゼロから避難所を立ち上げた取り組みを紹介。

見取り図をもとに学校施設の探索からはじめ、とくにCOVID-19への配慮として小集団でスペースが分離できる教室の使用、有熱者専用の隔離スペースの確保、校内放送による換気の促進などの重要性を指摘した。介護が必要な被災者をトイレに近い教室に割り当てるなど、ADL(日常生活動作)に合わせた誘導や、室内では、生活していた地域や家族ごとに居住スペースを配置するなど工夫もアピールした。

その結果、自然にリーダーシップを取る被災者も現れ、リーダーと協力することで円滑に活動できた反面、役場の職員など地元の支援者の疲弊に気付くのが遅れた点を反省、「地元の支援者に対する早期サポート」を課題に挙げた。

実効性のある協定締結を

西本幸司・岸和田徳洲会病院(大阪府)資材・施設係課長補佐西本幸司・岸和田徳洲会病院(大阪府)資材・施設係課長補佐

西本・課長補佐は「多職種連携(協定)」のセッションで「施設管理の立場から災害時協定の実効性を考える」と題し発表した。災害時医療の提供に向け自院が多様な団体・企業と協定を結ぶなか、自らの業務に関係が深い①医療消耗品、②電気、③建物に関するポイントを提示した。

それぞれ①病院の使用実績によって供給量が異なるため実績を考慮する、②必要になる諸手続きやリカバリーできる電気量などを十分勘案する、③自院を手がけた施工会社との関係を大事にする――などを挙げ、「実効性のある協定が大事」と呼びかけた。

被災地支援での医療事故

野口幸洋TMAT事務局員は「法律・システム」のセッションで「災害医療支援活動におけるインシデント事例を経験して」をテーマに発表。TMATの活動で支援後に発生したインシデントケースを示しながら、適宜、診療録や治療方針の見直し、派遣者の保険加入体制の整備、「災害時診療記録カード」による被災者への受診啓発など、課題解決に取り組んできたことを説明した。

支援者と受援者の双方を守るためにも災害医療活動で発生した医療事故に関する制度の必要性を強調した。

ポスター発表は次のとおり。▼和田秀一TMAT看護師(福岡病院)「避難所支援活動アクションカードの可能性」▼坂元孝光TMAT医師(福岡病院消化器内科部長)「災害時におけるNPO間での連携」▼西本・岸和田病院課長補佐「災害訓練と施設担当」。

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