徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)8月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1251 一面

和泉医療センター 「ダヴィンチ手術」を開始
まず前立腺全摘など泌尿器科領域

和泉市立総合医療センター(大阪府)は内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入、7月10日に1例目の前立腺がんに対する前立腺全摘除術を実施した。ダヴィンチの鉗子(かんし)は人間の手首よりも可動域が広く、拡大視野で手ぶれの少ない精緻な低侵襲手術が可能。これにより出血が少なく術後の早い回復などが期待できる。徳洲会グループはダヴィンチの導入を推進しており、導入施設は18施設(計19台)。泌尿器科以外も含めたグループのダヴィンチ手術総症例数は4857例(7月末時点)に上る。

徳洲会グループで4857症例

(前列右から)西岡・特任病院長、林部長、(後列右から)玉井医師、大関部長、北博行医師(前列右から)西岡・特任病院長、林部長、(後列右から)玉井医師、大関部長、北博行医師

「点滴が入っていくのがわかりますか。大きく息を吸ってくださいね」――。和泉医療センターの梶川竜治・麻酔科部長が、手術台で横になる患者さんに優しく語りかけた。

ここは第6手術室。7月10日、ダヴィンチによる1例目の手術を行った。患者さんは60代男性。がんは前立腺内に限局し、リンパ節や他臓器への転移はなかったことから、根治を目的とした前立腺全摘除術を施行した。

術者は同院泌尿器科の大関孝之部長、助手は玉井健太郎医師が務めた。大関部長はこれまでに術者として154例のダヴィンチによる前立腺全摘除術を経験。前立腺全摘、腎部分切除、膀胱(ぼうこう)全摘に関する泌尿器ロボット支援手術プロクター(指導医)に加え、日本ロボット外科学会認定の泌尿器科国内A級専門医資格を保有する医師だ。泌尿器科A級は6月末時点で全国21人にとどまる。

徳洲会グループのダヴィンチ導入施設

ダヴィンチは現在、国内に約350台ある。同院が導入したのは、最新機種の「ダヴィンチXⅰ」。内視鏡や鉗子、電気メスなどを装着する4本のアームをもつペイシェントカートと呼ばれるロボット部分と、サージョンコンソール(操作台)からなる。ダヴィンチの鉗子は可動域が広く、人の手では困難な屈曲や回転を実現でき、ぶれの少ない安定した動きで手術できる。これまでの手術と比較し出血量の低減や尿失禁の早期改善、男性機能(勃起機能)の温存成績の向上などが期待できる。

保険適用は年々拡大。2012年に前立腺がん、16年に腎臓がん、18年に縦隔がん、肺がん、食道がん、胃がん、直腸がん、膀胱がん、子宮体がん、子宮筋腫、心臓弁膜症の手術が対象となった。20年には膵(すい)臓がんの手術や腎盂(じんう)形成術などが追加。

この日、同院では午前10時に患者さんが手術室に入室し、全身麻酔を導入後、大関部長はトロッカーを装着する部位をマーキング。トロッカーは、内視鏡や鉗子を腹腔(ふくくう)内に入れるため腹部に装着する器具だ。患者さんの氏名、病名、術式などを確認するタイムアウトを行い、手術を開始した。

まず患者さんを頭低位の体位に変更。脳出血など頭蓋内疾患の既往や緑内障がない場合は、一般的に頭低位の体位で、広い術野を確保しやすい経腹膜アプローチで手術する。頭蓋内疾患の既往や緑内障を有する患者さんは、頭低位を持続すると頭蓋内圧や眼圧上昇を招き症状悪化のリスクがあるため、仰臥位(ぎょうがい)で手術できる後腹膜アプローチを採用する。同院泌尿器科は後腹膜アプローチにも対応している。

セッティングしたロボットアームと鉗子を操作して手術セッティングしたロボットアームと鉗子を操作して手術

手術ではトロッカーを6カ所設置。ひとつは内視鏡用、3つはダヴィンチの鉗子や電気メス用、残りふたつは助手用だ。大関部長はアームの位置を入念にセッティングしたうえで、慎重かつ手際良く膀胱と前立腺を離断、次いで尿道と前立腺を離断した。これにより前立腺の切除は完了、臓器回収袋に前立腺を収納した。

この後、膀胱と尿道を吻合(ふんごう)し、リンパ節を郭清。前立腺を取り出し手術創を閉鎖した。尿道カテーテルを留置し、手術終了時の安全確認であるサインアウトを実施して手術は無事に終了。コンソール時間(実質的な手術時間)は1時間50分、出血量は20㏄ほどだった。

泌尿器科の体制が充実

サージョンコンソールから遠隔操作により手術を行う大関部長サージョンコンソールから遠隔操作により手術を行う大関部長

「病診・病病連携を行いながらダヴィンチ手術の適応がある患者さんにクオリティの高い手術の提供に努めていきたい」と大関部長は抱負を語る。週に1件のペースで前立腺がんの手術予定が入っており、膀胱がんや腎がんの手術にも積極的に取り組んでいく計画だ。

同院は近年、泌尿器科の診療体制の充実が著しい。今年4月に入職した大関部長を含め、泌尿器科は常勤医5人体制を実現。そのうち3人は日本泌尿器科学会認定専門医。大関部長と、林泰司・同科部長がロボット支援手術を行う資格をもつ。

同院は泌尿器科専門医の育成に関して、現在は近畿大学の連携施設として取り組んでいるが、今後は専門研修基幹施設となり独自に専門医の育成を目指す。

西岡伯・特任病院長は「患者さんへのメリットが大きいため、ダヴィンチの導入はかねてからの念願でした。地域の患者さんに低侵襲で精度の高い手術を提供していきたいと考えています。今後、他科の手術での活用も予定しています」と展望する。

同院は高精度放射線治療装置のトモセラピーも保有。幅広いがんに対し手術や放射線、薬物療法による高度な集学的治療に取り組み、国指定のがん診療連携拠点病院を目指す方針だ。

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