徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)8月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1248 一面

岸和田病院が行う内視鏡診療支援
離島中心に年間1万6,000件超に
ESDなど治療実績の積み上げ著しく

岸和田徳洲会病院(大阪府)は離島を中心に徳洲会グループ病院の内視鏡検査・治療を積極的にサポート、年々、実績を積み上げ、2019年は年間で20施設に対し計1万6638件を手がけた。とくにESD(内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術)やEUS(超音波内視鏡検査)など、より専門的な治療・検査件数が増加。井上太郎・副院長兼内視鏡センター長は「支援先の施設や患者さんの信頼が得られ、診療の充実につながっていると思います」と目を細め、「今後も努力し、サポートする施設・地域の医療の質向上に寄与したい」と意欲的だ。

自院含めると3万5000件超

名瀬徳洲会病院で診療支援と同時に後進育成にも励む名瀬徳洲会病院で診療支援と同時に後進育成にも励む

岸和田病院が離島をはじめ徳洲会グループ病院の内視鏡診療支援に本格的に取り組み始めたのは10年以上前。前内視鏡センター長の尾野亘院長が、体制整備を図りながら少しずつ実績を重ね、2014年には約4000件にまで伸ばした。

15年に内視鏡センター長のバトンを受けた井上副院長は、さらに体制を強化。マンパワーの充実に努め、18年には1万2550件と、引き継いだ当時の3倍にまで増やした。井上副院長は「とくに医師は常勤が30人弱と、14年当時のほぼ倍の人数で推移するようになった」ことに加え、「実績を積むなかで当センターに対するグループ内の認知度も上がり、いろいろな施設から声をかけていただくようになった」ことも増えた要因として指摘。「支援先も広がり、離島や都市部から少し離れ医療資源が限られている施設を中心にサポートしています」と説明する。

「離島など医療資源の少ない地域を支援」と井上副院長「離島など医療資源の少ない地域を支援」と井上副院長

こうしたなか、18年当時とマンパワーは変わらないながらも、より効率的な活動で19年はさらに4088件増を達成。北海道から沖縄県まで全国20施設に対し、計1万6638件の内視鏡診療支援を行った(表)。

「従来から小型の端末機器やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用し、スタッフのスケジュールを一元管理したり、リアルタイムで意思疎通を図ったりしていますが、ニーズの大きさに合わせて、さらにきめの細かい調整を試みました。また、医師の『働き方改革』などもあって業務の進め方などをチェックし、効率的に仕事をするためのアドバイスを送ったりしました」(井上副院長)

総件数の増加はもちろんだが、井上副院長が「素直に嬉しい」と目を細めるのが、より専門的な治療・検査件数の増加だ。

岸和田病院の内視鏡診療支援の特徴として、一般的な上下部内視鏡検査や大腸ポリープ切除だけでなく、消化管出血の止血術、早期の胃がんや食道がん(疑い含む)で病変部を高周波電流で切り取る「ESD」、消化管の中から超音波で膵臓(すいぞう)や胆道、それら周囲の臓器、血管、リンパ節などを詳細に観察する「EUS」、膵管や胆管の造影とともに膵液・胆汁・病変部の組織などを採取する検査「ERCP」(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)など、専門医でなければ難しい治療・検査も行っていることが挙げられる。

18年と19年を比較すると、止血術は62件から121件、ESDは113件から196件、EUSは6件から27件、ERCPは169件から292件と顕著に増加。その要因を井上副院長は信頼関係の強化と強調する。

「当センターの支援は原則、担当制を敷いており、できるだけ同じ医師が同じ施設に赴くようにしています。ニーズが高い施設にはチームを編成し、交代でサポート。同じメンバーによる支援が継続することで、支援先のスタッフや患者さんとの信頼関係が築きやすく、それが診療の充実につながっていると思います」

また医師のスキルアップも指摘。「もともと当センターでは、段階を踏んだ医師の育成システムを導入し、基準をクリアしなければ次のステップに進めないなど教育に力を入れています。そうした環境下で17年からメンバーがほとんど変わらず、経験を積んだぶん、手技のスピード、診療の幅が向上したことが大きいと思います」と分析する。

表 2019 年支援施設と内視鏡件数

「当院には内視鏡診療や離島をはじめとする診療支援に意欲的な医師が集まります。メンバーには支援に行く意義を繰り返し説いて発破をかけ、高いモチベーションで取り組むことを促しています」

井上副院長は今後もサポートの継続を約束。支援先の拡大を視野に入れながらも、「まずは現在支援している施設・地域の医療の質向上」を先決としている。また、患者数や治療件数から、支援先の地域医療の変化を分析し、支援の成果などを学会で発表していく意向。

「離島をはじめ医療資源が少ない地域での活動は徳洲会の原点。グループのスケールメリットを生かせば、支援でもっとできることがあるはず。困っている患者さんや地域の方の助けに少しでもなりたい」と意欲を見せる井上副院長。「より切れ目のないサポート体制」として関西圏を中心とする内視鏡専門医のネットワーク化も目指している。

なお、岸和田病院は自院の内視鏡診療の強化にも注力。18年には健診センターの内視鏡装置を1台増やすなどした結果、19年は約2万件を実施、支援とあわせ同院の医師が行った内視鏡診療の年間実績は3万5000件超に上る。

徳洲会グループでは、個々の病院以外にもグループ内の組織が離島・へき地病院に対する診療支援を行っており、30年以上前に発足した湘南外科グループ(SSA)もチーム力を生かした支援を展開している。

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