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2020年(令和2年)2月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1222 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演”㉛
大腸がんを早期発見

今回は「大腸がんの早期発見」がテーマ。国立がん研究センターの2017年データによると、死亡数が多い部位で大腸がんは男性3位、女性1位に入っています。この要因のひとつとして挙げられるのが、早期発見の難しさ。一方、大腸がんは進行が比較的遅く、他の臓器に転移しても切除できる可能性があるという特徴もあります。大腸がんを早期発見するために、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の永田充・内視鏡内科部長が解説します。

永田充・内視鏡内科部長 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県) 永田充・内視鏡内科部長 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)

大腸がんは大腸腺腫という良性ポリープのがん化により発症することが多いため、腺腫のうちに切除することが重要です。ほとんどの場合、大腸内視鏡を利用し切除することができるため、おなかを切らなくても大丈夫です。大腸内視鏡を利用した切除法としては、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術(ESD)があります。

通常、腺腫や早期がん(がんの浸潤が粘膜下層まで)は、従来から行われてきたEMRで切除できます。しかし、大きな病変(目安は20㎜以上)や粘膜の下の組織が硬い病変などに対しては、EMRでの切除が困難な場合が多く、外科手術が行われてきました。一方、2012年に保険適用になった大腸ESDでは、EMRで切除困難な病変でも内視鏡下で切除することが可能になります。

ESDは病変の下(粘膜下層)に薬液を注入してスペースをつくり、粘膜下層をはがして病変を切除する方法。胃や食道に比べ、大腸で行うのは難易度が高いですが、医療機器の進歩や新たな手順の工夫で、より安全に実施できるようになっています。

大腸がんの年齢階級別 罹患率(全国推計値)2015年

腺腫の状態であれば、切除により大腸がんの発症を抑えることができ、早期がんであれば完治を目指すことができます。そのためには早期発見が大切です。大腸がんは年齢が上がるほど発症しやすく、男女ともに40歳くらいから徐々に増加傾向になります(図)。

大腸がんにならないためには、生活習慣の改善が大切。牛肉・豚肉といった赤い肉が多い欧米型の食事では、脂質が多く大腸がんのリスクになります。また、最近の研究では、肥満になると内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインという物質により、大腸がんのリスクが高くなることがわかってきました。そのため、脂質の多い欧米型の食事を避け、適度な運動をして肥満にならないようにしましょう。

そして、早期発見のためには、40歳を過ぎたら年に一度の検診が必要です。まず、便のなかに含まれる血液の有無を調べる便潜血反応を行います。便を採取するだけなので、簡単にできます。陽性の場合、約3%に大腸がんが発見されるため、大腸内視鏡での精密検査が必要です。

早期大腸がんは自覚症状がほとんどありません。そのため、知らない間にがんが大きくなったり、がんの根が深くなったりして病態が進行していきます。進行大腸がんになると、血便、便秘、便が細くなる、腹痛などの症状が出ます。この状態だと転移の可能性も高まり、内視鏡的切除の対象外になり、外科手術が必要になります。

早期発見のために、40歳を過ぎたら年に一度の検診を受けるようにしましょう。

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