2020年(令和2年)1月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1218 二面
中部徳洲会病院で講演
放射線緊急照射など
南部病院放射線治療科 橋本医師が解説
がん緊急症に対する緊急照射などを解説
南部徳洲会病院(沖縄県)の橋本成司・放射線治療科医師は「がん放射線治療~これだけ知っていれば大丈夫~」をテーマに、中部徳洲会病院(同)で講演を行った。同院在宅・緩和ケア科の新屋洋平医長が座長を務めた。南部病院は高性能放射線治療装置トモセラピーを運用しており、今後、サイバーナイフ(ピンポイント放射線治療装置)を導入する。
中部徳洲会病院では放射線治療を行っていないが、2012年に沖縄県の医療機関として初めて手術支援ロボット・ダヴィンチを導入するなど積極的にがん治療を実施。同県内のがん医療充実に向け、両院の一層の連携強化にともない、職員が放射線治療を学ぶ機会として講演会を企画した。
橋本医師は冒頭、「日本、とくに沖縄県は放射線治療の適用率が低いのが実状です。もっと多くの方々に放射線治療について知ってもらいたいと考えています」ときり出し、同県内の放射線治療実施件数や提供体制、放射線治療の目的(根治照射、緩和照射)などを説明。
さらに、がん緊急症に対する放射線緊急照射に言及。「がん緊急症とは、がんの進行や治療によって起きる重大な状態のことであり、がんの進行の程度に関係なく、急速に重症化する場合があります」(橋本医師)。
緊急照射の適応となるがん緊急症は転移性脊髄(せきずい)圧迫症、気道閉塞、上大静脈症候群の3つ。転移性脊髄圧迫症は主に脊せきつい椎転移が原因で、がんによる脊髄損傷につながる恐れがある。「まず痛みが現れ、徐々に痛みが強くなります。まひ症状が出現したら48時間以内の緊急照射が必要。まひが進行してからでは改善率は低下してしまいます」と警鐘を鳴らし、早期診断・治療の重要性を強調。気道閉塞や上大静脈症候群に関しても原因や症状、治療内容などを解説し、南部病院の緊急照射の受け入れ体制を紹介した。
最後に骨転移などによる、がん疼痛(とうつう)に対する放射線治療についても丁寧に解説した。