徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)3月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1174 一面

補助循環用ポンプカテーテル「IMPELLA」
徳洲会グループ実施病院が増加
心原性ショックに対する治療充実

急性心筋梗塞や劇症型心筋炎など心原性ショックに対する治療として、2017年に保険適用となった補助循環用ポンプカテーテル「インペラ(IMPELLA)」。徳洲会グループでは、名古屋徳洲会総合病院がいち早く導入・実施していたが、ここにきて実施施設の認定を受けた徳洲会病院が増えている。新たな治療の選択肢が増えることで、患者さんに、より最適な医療提供が期待される。

インペラは血液や酸素を体内に送り出す心臓の機能を補助するポンプカテーテル。国内では、あらゆる内科的治療が困難な心原性ショック(重症の心不全、急性心筋梗塞、劇症型心筋炎など)を対象に、2017年に保険適用となった。カテーテルの吸引部を左心室内、吐出部を大動脈に位置するように大腿(だいたい)動脈から挿入・留置し、内蔵されている羽根車をモーターで回転させることで、左心室内の血液を吸い上げ大動脈に送り込む(図)。

同疾患に対する治療としてはIABP(大動脈内バルーンパンピング術)やPCPS(経皮的心肺補助法)が主流だったが、心臓への負荷や感染症、出血のリスクといった課題が挙げられていた。

辻副院長は「スタッフがよく協力してくれました」 辻副院長は「スタッフがよく協力してくれました」

インペラは左心室から、直接かつ正しい方向に脱血・送血できるほか、体外の制御装置により、羽根車の回転数を調整することで、流量の調節が可能なため、心臓への負荷が少ないのが強みだ。

循環を維持しながら心臓の治療が行えたり、心臓の自然回復が期待できたりする。さらにカテーテルであることから侵襲が少なく、治療時間が短いのも特徴だ。

「インペラの手技を磨いていきたい」と横田医師 「インペラの手技を磨いていきたい」と横田医師

実施するには、施設要件や実施施設の認定基準など厳しいハードルをクリアしなければならない。クリアしても関連部署のスタッフなどが一定のトレーニングを受け、はじめてインペラの実施が可能になる。2月末現在、国内認定施設数は110。

「ひとりでも多くの患者さんを救いたい」と畔栁部長 「ひとりでも多くの患者さんを救いたい」と畔栁部長

徳洲会グループでは名古屋病院に続き、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が昨年10月下旬にトレーニングを受け、翌11月に1例目を施行した。横田翔平・循環器科医師は導入の背景について「当院にはIABPの患者さんが比較的多いため導入しました。欧米ではインペラの適用が拡大しており、日本でも適用拡大を見据え決めました」と説明する。同院は、これまで3例実施し、いずれも患者さんは地元で生活を送っているという。「インペラと人工心肺を併用したケースもありました。スムーズに人工心肺をはずすこともでき、インペラを導入して良かったと思いました」。今後は経験を積み、治療時間の短縮に努めるという。

インペラの説明を受ける岸和田病院スタッフ インペラの説明を受ける岸和田病院スタッフ

大隅鹿屋病院(鹿児島県)は鹿児島初の実施施設に認定され、今年2月27日に1例目を実施。治療は無事に終わり、患者さんの経過も順調だ。インペラの導入に強くこだわった辻貴裕・副院長兼循環器内科部長は「都市部でないから助からないということは避けたい」と吐露。導入にあたり「本当によく理解し協力してくれました」と、とくにコメディカルに謝意を示した。長元優・臨床工学技士は「地域に貢献したい」と意欲をのぞかせる。

岸和田徳洲会病院(大阪府)は現在、スタッフがトレーニングを受講中。早ければ3月下旬からインペラを実施する。畔栁智司・心臓血管外科部長、東森亮博・循環器内科部長、福田圭祐・同医長は従来の治療法の良さを認めつつも「限界を感じている面もあり、新しいデバイスを活用し、ひとりでも多くの患者さんを救いたい」と意気込む。

宇治徳洲会病院(京都府)、千葉西総合病院、福岡徳洲会病院も実施施設に認定されている。

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