徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

下山 ライ(しもやまらい)(湘南鎌倉総合病院(神奈川県)オンコロジーセンター長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

下山 ライ(しもやまらい)

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)オンコロジーセンター長

2019年(平成31年)3月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1174

徳洲会オンコロジープロジェクトにより
どの病院でも根拠ある標準治療が可能に
各部会が協働し新たなエビデンスの発信を

私は1998年に秋田大学を卒業し、すぐに湘南鎌倉総合病院に入職しました。初期研修後に徳洲会の湘南外科グループ(SSA)で外科研修を受け、2003年から今まで当院に勤務しています。一般外科全般の診療を行うなかで、がん患者さんの手術も行っていたのですが、どうしても再発を余儀なくされ、亡くなってしまう患者さんを見てきました。少しでも患者さんを助けられるように、独学ではありましたが、抗がん剤治療も学びました。当時は、いくら勉強しても「外科医が片手間に抗がん剤治療をやっている」と言われ続けましたが、静岡県立静岡がんセンターでの研修の機会もいただき、がん薬物療法専門医の資格も取得できました。

がん治療は外科的治療、放射線治療、薬物療法、緩和医療が大きな4つの柱になります。外科手術、薬物療法の習得後は緩和ケアも勉強しました。12年からは院内で緩和ケア研修会を開催し現在も継続しています。昨年、当院は、がん薬物療法専門医研修施設にも認定されました。今後は若手の先生に、もっと、がん治療にかかわっていただけるよう努力したいと思います。

オンコロジー関連の研究会へ 医療従事者は積極的な参加を

徳洲会オンコロジー(腫瘍学)プロジェクトは04年にスタートしました。当初の一番大きな役割はグループ内の化学療法の標準化で、08年からグループ統一レジメン(抗がん剤治療計画書)の整備を開始しました。

従来は、病院や医師ごとに、処方される薬剤の投与量、溶解液、投与順などが異なっている状況でした。そこで、十分なエビデンス(科学的根拠)のあるレジメンを選択し、統一化しました。これにより、グループ内のどの病院でも同じ標準治療が受けられるようになりました。医療安全の面からも非常に有意義なシステムです。

現在、全国の病院で使用している電子カルテのオンコロジーシステム(抗がん剤処方システム)の高度化に、グループ内で中心的役割を果たしているのは薬剤師さんたちで、徳洲会インフォメーションシステム(TIS)とともにかかわっています。今も半年ごとにミーティングを開いて改善を図っています。

またオンコロジー講習会として、専門家の先生を招聘(しょうへい)し勉強会を開いてきました。現在は徳洲会グループ内の交流と診療レベル向上のため、呼吸器部会、消化器がん部会、乳がん部会が設立され、最近では血液部会も結成されました。各部会は年に1~2回、研究会を開いていますが、まだまだ参加者が少なく十分に周知されているとは言いがたい現状です。ぜひグループ内の先生や、ほかの方々の力をお借りし、さらに発展させていきたいと思っています。

オンコロジープロジェクトの臨床研究としては、大腸がんで1件、乳がんで2件、肺がんで2件実施しました。しかし、十分な症例集積ができず予定症例数をすべてエントリーできたのは大腸がんの第II相試験(主に薬の安全性および有効性・用法・用量を調べるための試験)ひとつのみ。私たち事務局の力不足もあるのですが、日常診療に多忙な徳洲会グループで、臨床研究を行う難しさを実感しました。

がん関連では、緩和ケア部会もつくられると聞いています。今後は外科部会、放射線治療部会なども設けられると良いと思います。これらの部会が協働し、徳洲会グループから新たなエビデンスを発信することが非常に大切だと考えています。

患者さんの治療のために引き続き夢を追い求める

2年後の湘南鎌倉病院先端医療センター開設を見据え、現在、地域がん診療連携拠点病院の指定を目指し準備を進めています。同センターには陽子線治療装置、ホウ素中性子捕捉療法の施設などを設置する予定です。ホウ素中性子捕捉療法は、まだ治験段階ではありますが、脳腫瘍や頭頸(とうけい)部がんなどに対する効果が期待されます。国内外での共同治験に参加し、新規治療法の開発にかかわっていきます。

建物や設備だけでは良い医療は提供できません。そこに働くスタッフが何よりも大切です。同センター運営に向け、多職種会議も始まろうとしています。

私が20年間、当院で働き続けることができたのは、ひとつは自分を育てていただいたことへの感謝、もうひとつは忙しいながらも未来があったからです。患者さんの治療のため、これからも夢を追っていきたいと思います。皆で頑張りましょう。

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