ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2018年(平成30年)6月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1138 一面
二日市徳洲会病院(福岡県)は協力医療機関として「小児慢性特定疾病児童等レスパイト支援事業」に参加、日常的に医療的ケアを必要とする在宅療養中の重症患児の一時的入院について、同事業での受け入れを開始した。同事業は患児の世話をする家族の負担軽減ならびに在宅療養の継続を目的に、福岡県と県内3市が今年から本格的に実施。同院は福岡県と委託契約を交わし、これまでに3人の患児を受け入れている。「少しでも困っている方の役に立ちたい」と今嶋達郎院長。
支援事業通じ地域貢献を掲げる今嶋院長
小児慢性特定疾病児童等レスパイト支援事業は福岡県、北九州市、福岡市、久留米市が児童福祉法に基づき実施している事業で、日常的に医療的ケアを必要とする在宅療養中の患児が医療機関に一時的に入院できる。患児のケアを24時間行っている家族の負担を軽減し、患児と家族をはじめとする介護者が在宅療養を続けられるようサポートするのが目的だ。利用できる医療機関は各実施主体と委託契約を交わしている施設。ただし、安全面などに配慮し、患児をふだんから診ているかかりつけの医療機関を原則としている(困難な場合は必要に応じて小児慢性特定疾病児童等自立支援員が病院との調整などを支援)。利用を希望する家族は行政に事前申請を行い、医療機関に管理票を提示する必要がある。なお、患児の状態や医療機関のベッドの空き状況などによって、入院できないケースもある。
患児にやさしく対応するスタッフ
契約を交わしている受け入れ医療機関は福岡県内に13施設(6月14日時点)。大学病院や公的病院が多いなか、二日市病院は以前から対象の患児を受け入れており、こうした実績などが認められ福岡県と契約を交わした。山下部長(右)と山口師長は教育含め受け入れ体制づくりに尽力
同院は52床すべて障害者病床。重症患児を積極的に受け入れるにあたり、当初はスタッフからとまどう声も聞かれたという。「たとえばALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの場合、文字盤やパソコンを使ってコミュニケーションを図るため、対応に時間がかかります。そうしたなかで、より注意が必要な重症のお子さんを受け入れることに不安を感じるスタッフもいました」(山下部長)。「安心して地域で過ごせるように支援します」と病棟スタッフ
こうした努力が実り、年に20人ほど重症患児を受け入れるようになったことで、今回の事業参加に結び付いた。黒田浩司事務長は「事業に参加するにあたり、とくに変わったことはしていません」と強調。ただし、事業について十分理解してもらうために、「MSW(医療ソーシャルワーカー)や医事課職員からも説明することがあります」。