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2018年(平成30年)5月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1134 四面

榛原総合病院
火災対応の大規模訓練を実施
近隣消防署が合同で初めてはしご車

榛原総合病院(静岡県)は近隣の消防署と合同で火災対応訓練を行った。主催は地元・吉田消防署で、同院の火災発生時の初期対応力向上と消防機関との連携強化、さらに静岡地域消防救急広域化の成果周知が狙い。同院の職員20人を含め計73人が参加し、病室から火災が発生したという想定の下、院内での患者さん誘導や玄関先でのトリアージ(重症度選別)などシミュレーションを行った。また、同院にとって初めて、はしご車を使用した訓練も実施。大規模な訓練に、見学に訪れる住民の方々の姿も見受けられた。

実際に放水したり、はしご車で患者さん役を病室から救出したりする場面も 実際に放水したり、はしご車で患者さん役を病室から救出したりする場面も

訓練には、榛原病院の医師や看護師、事務職員など20人と、近隣の吉田消防署を中心に、地元・牧之原市の牧之原消防署、同市に隣接する島田市の島田消防署、さらに静岡市内から駿河消防署、葵消防署と5カ所の消防署から救急隊など11隊が参加した。

また、同院駐車場に救急車や消防車、放水車などの消防車両が集結。このうち、はしご車を使用した訓練は同院にとって初となった。

静岡県は従来、25の消防本部を設置。牧之原市や吉田町にも消防本部を置き、それぞれ火災対応訓練を実施していたが牧之原市および吉田町管内には中高層建築物が少ないこともあり、はしご車を配備していなかった。

救急車に患者さん役を運ぶ救急隊員 救急車に患者さん役を運ぶ救急隊員

こうしたなか、災害や事故の大規模化、多様化、救急需要の増加などに対応することを目的に2006年、消防組織法が一部改正。市町村の消防の広域化を定めた。これをふまえ静岡県は08年に消防救急広域化推進計画を策定。消防本部の管轄エリア再編が検討されるなか、県中部圏域の静岡市、藤枝市、焼津市、島田市、牧之原市、榛原郡の吉田町と川根本町でも関係者が協議。

その結果、藤枝市と焼津市を除く3市2町の区域を「静岡地域」と位置付け、同地域は静岡市消防局が管轄する枠組みで合意。運営協議会を立ち上げ、慣例・規則や200超に上る事務事業などの調整を行い、16年4月1日から新体制の下、運用を開始した。静岡市消防局には、はしご車を配備しているため、今回、はしご車を使用した訓練が実現した。なお、同日から静岡県内の消防本部は25から16となった。

訓練は杉本基久雄・牧之原市長や田村典彦・吉田町長、森田信敏・榛原病院院長、両市町議会議員らが見守るなか開始。3階病室の窓際で白色発煙筒がたかれ煙が立ち上ると、まず同院の職員が消防署に通報するとともに、患者さんの避難誘導、防火戸を閉めながら職員自ら避難したりする訓練を行った。

玄関前トリアージでは、榛原病院の職員が患者さん役 玄関前トリアージでは、榛原病院の職員が患者さん役

その後、消防車両が続々と到着。吉田消防署の指揮隊が病院の正面玄関前に指揮所を設け、電話や無線などを用いて災害の実態把握と活動方針を決定していった。その後、指揮隊の指示により、救助隊が院内を回って病院職員と連携しながら残された患者さん役を探したり、逃げ遅れた患者さん役を避難階段などから救出したりした。病院に設置してある送水管にホースを接続し、火災が発生した病室の防御にあたる隊員の姿も見受けられた。

病院玄関前にはトリアージブースを設置し、同院の看護師や事務職員らが次々と運ばれてくる患者さん役に対応。応急処置を施したり、実際に救急車に乗せ、同院の救急外来まで搬送したりする場面もあった。

一方、駐車場では、はしご車による患者さん役の救出シミュレーションを実施。3階病室の窓際まで実際にはしごを伸ばし、逃げ遅れた患者さん役をベランダから助け出して降ろし、ストレッチャーで救急車まで運ぶ訓練を2消防署のはしご隊が実施した。患者さん役の救出後、最後に、はしごから一斉放水を行う消火訓練も行った。

消防署への連絡方法や職員間での連絡・情報共有、患者さん役の誘導、防災に関する院内設備の使用方法など所々で、参加した職員がとまどう場面も見られたが、トラブルもなく訓練は2時間で終了。その後、会場を移し、消防車両の展示・説明会を開いた。

近隣の住民の方々が駐車場の一角で、訓練の様子を見守ったり、地元のメディアが取材に訪れたりするなど、地域の関心の高さがうかがえた。

関正之事務長は「消防救急の広域化により、大規模な訓練ができるようになったのは当院にとって大きな意義があります」と強調。自院が7階建ての構造であることに触れ、「とくに、はしご車を実際に使ってシミュレーションできたことは、職員だけでなく地域の消防隊の方々にとっても良かったと思います」と振り返った。

森田院長も訓練の重要性を強調。「実際に起これば、トレーニングどおりにはいかないことはわかっていますが、それでも訓練を重ねることで、職員は自院の設備を知ったり、各消防署との連携強化を図ったりすることができます。地域の方々の安心につなげるためにも、継続して行っていきたい」と意欲的だ。

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