徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)4月2日 月曜日 徳洲新聞 NO.1127 四面

キャッスルマン病
「難病指定」に貢献
吉崎・医療法人徳洲会顧問

指定難病が4月1日に1疾患増え計331疾患に拡大した。追加されたのは「特発性多中心性キャッスルマン病」。リンパ節腫脹(しゅちょう)、肝脾(ひ)腫、発熱、倦怠(けんたい)感など多彩な症状が特徴で原因は不明、根治療法は確立されていない。指定難病に認められたことで患者さんへの医療費助成がスタート。経済的負担が軽減し治療を受けやすくなるなど朗報だ。医療法人徳洲会の吉崎和幸顧問(大阪大学産業科学研究所特任教授/元大阪大学医学部第三内科)が同病の研究班代表を務め指定に尽力した。

「希少疾患にも光を当て治療機会の提供に尽力したい」と吉崎顧問 「希少疾患にも光を当て治療機会の提供に尽力したい」と吉崎顧問

吉崎顧問は研究に加え、八尾徳洲会総合病院(大阪府)、吹田徳洲会病院(同)、宇治徳洲会病院(京都府)、神戸徳洲会病院で膠原(こうげん)病・リウマチ内科の診療を受けもち、キャッスルマン病を含む患者さんの診療に注力。

厚生労働省は、発病の仕組みが不明であり治療法が未確立の希少疾患で、長期療養を必要とする疾患を難病と定義。さらに難病のなかでも良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高い希少疾患で、客観的な診断基準が確立している疾患を“指定難病”とし、助成対象にしている。厚生科学審議会の意見を聞き、厚生労働大臣が指定。患者さんの負担は所得に応じた自己負担上限額、もしくは医療費2割負担のうち低いほうの額に軽減される。

「難病の患者に対する医療等に関する法律」が施行された2015年1月、指定難病は110疾患。その後、厚労省の指定難病検討委員会での審議を経て段階的に拡大。15年7月に306疾患、17年4月に330疾患、18年4月に331疾患にまで増えた。61疾患の候補のうち、キャッスルマン病のほか5疾患が指定難病に同時に加わった(既存の指定難病と統合)。

国は難病の原因究明や治療法確立などを目指す研究班に補助金を交付するなどし、難病対策を推進。研究班や関連学会から出された候補疾患や情報提供をもとに同委員会が審議を行っている。

「キャッスルマン病は医療関係者の間でも認知度の低い希少疾患です。指定難病に加わったことで医療関係者や一般の方々が知る機会も増えると期待しています。医療費助成による負担軽減は患者さんに福音となります」と吉崎顧問は話している。

「希少疾患に光を」

外来診察室でキャッスルマン病患者さんを診療(写真は八尾病院) 外来診察室でキャッスルマン病患者さんを診療(写真は八尾病院)

「キャッスルマン病は1956年に米国の病理医であるベンジャミン・キャッスルマンが提唱した疾患です。リンパ節の腫大が見られるものの悪性腫瘍ではなく、特徴的な病理組織所見と多彩な症状を呈する疾患です。国内の患者数は約1500人と推計しています」(吉崎顧問)

症状・所見は全身倦怠や発熱、貧血、赤褐色皮疹、間質性肺炎、リンパ節腫大、肝脾腫、AAアミロイドーシス(臓器障害)、体重減少など多岐にわたる。間質性肺炎や腎不全などを発症すると命にかかわることがある。

リンパ節の病変が1カ所に限られたタイプを単中心性、複数あるタイプを多中心性と呼ぶ。多中心性のうちヒト・ヘルペスウイルス8型感染のない原因不明のものが特発性多中心性キャッスルマン病だ。

吉崎顧問は86年、キャッスルマン病と病理像が一致する患者さんを受けもったことをきっかけに、同病の研究を開始した。その後、腫大したリンパ節からインターロイキン6(IL-6)というサイトカイン(炎症性物質)の過剰産生を発見。大阪大学とメーカーの共同研究によるIL-6阻害薬(トシリズマブ)が、同病に効果があるというエビデンス(科学的根拠)が出たことから、05年に同病治療薬として薬事承認。これに続き08年には関節リウマチ治療薬としても承認されている。

単中心性の場合は腫大リンパ節の切除により症状は改善、多中心性の場合は複数切除しても症状は消えないが、IL-6阻害薬で改善する。

「薬の投与は平均月2回ほどですが、課題もあります。助成対象は重症患者さんですが、改善して重症に該当しなくなっても薬の投与を続ける必要があるため、月々約10万円に上る高額の治療費(高額療養費制度に基づく負担額)を払い続けなくてはなりません。重症以外も助成対象に含めることが望ましいと考えます」

吉崎顧問は徳洲会4病院で外来診療を行い、40~50歳代を中心とする40人前後のキャッスルマン病患者さんを診療。病理診断の際には、徳洲会病理部会の青笹克之・最高顧問の協力を得ている。

「徳洲会は“生命だけは平等だ”の理念の下、離島・へき地の患者さんにも手を差し伸べています。同様に、患者数の多いメジャーな疾患だけでなく、希少疾患にも光を当て、平等に治療を受ける機会の提供に尽力していきたい。今後、重症度分類の改善や診断・治療の適切なガイドラインを作成するとともに、原因を解明し根治療法を確立することが目標です」と意気込みを見せる。

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