2017年(平成29年)12月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1111 四面
回顧この1年 ①
徳洲会グループ
部会活動が活発化
医療の質の向上など目指す
北海道から沖縄県まで全国に約340の病院・介護施設などを展開する徳洲会グループは、そのスケールメリットを生かし職種や専門分野ごとに部会を設置。患者さんのために医療の質の向上や病院運営の効率化などを目指し活動している。今年は新たに複数の部会が発足したほか、既存の部会も引き続き旺盛な活動を見せた1年だった。新たな動きを中心に部会活動を振り返る。
呼吸器部会は多施設参加型の肺がんキャンサーボードを開始
今年の部会活動では、まず、がん医療の分野で2つの部会が新たに発足したことが注目される。4月に消化器がん部会、7月に乳がん部会がそれぞれ発足した。
グループ全体のがん診療のレベル向上を図るには、病院間で情報共有や連携強化を図るのが有益だ。さらに、がん診療は検査、診断、手術、薬物療法、放射線治療、緩和医療などさまざまな分野の専門性が欠かせない。そこで両部会はグループのスケールメリットを生かしながら医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師など多職種が研鑽(けんさん)を積んだり、臨床・教育・研究に資する活動に取り組んだりするために創出された。
7月に開催した乳がん部会の発足会
徳洲会は2004年にオンコロジー(腫瘍学)プロジェクトを開始し、エビデンス(科学的根拠)に基づく安全で質の高いがん標準治療を推進。同プロジェクトの一環で、消化器がん、乳がんの両分野に関しても、主に臨床研究の推進などを目的として従来から活動を重ねてきた。ただし、実施した臨床研究・試験の終了にともない、継続的な活動は中断していた。両部会を通じて、質の高い医療の提供に資する幅広い活動に継続的に取り組んでいきたい考えだ。
部会発足以降、消化器がん部会は10月に都内で第1回消化器がん研究会を開催。海外の最新の研究成果のレビューや症例検討会を通じ、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬など日進月歩で発展するがん治療について学ぶ機会を設けた。一方、乳がん部会も18年3月に、部会発足後初となる乳がん研究会を開催予定だ。
消化器がん部会は10 月に第1 回研究会を開催し症例検討会などを実施
同様に注目したいのは、両部会に先行し、がんにとどまらず広く呼吸器疾患を対象に15年7月に発足した呼吸器部会の活動だ。今年4月から、徳洲会グループで初となる多施設参加型の肺がんキャンサーボードを開始した。
診療科や職種の垣根を越え多様な観点から、がん患者さんに対する最適な治療方針を検討するのがキャンサーボード。公立・民間を問わず単独の病院内に設置、運用するケースがほとんどで、多施設参加型は全国でもめずらしい。個々の病院のマンパワーのみに頼らない症例検討や治療方針の意思決定が可能になるため、診療の“質の向上”と“標準化”に寄与する。
救急部会は「ヘリコプター利用の現況」をテーマに学術集会を開催
同キャンサーボードは、一般のインターネット回線から隔離した通信網と、強固なセキュリティ機能を有するWEB会議システムを活用して実施。現在、宇治徳洲会病院(京都府)、八尾徳洲会総合病院(大阪府)、大隅鹿屋病院(鹿児島県)、千葉西総合病院、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の5病院が参加。毎週1回、複数症例を討議。今後、参加施設をさらに拡大していきたい意向だ。
半年に1度のペースで、肺がん研究会・呼吸器部会症例検討会も実施。7月に中部徳洲会病院(沖縄県)で第7回肺がん研究会・第5回呼吸器部会症例検討会、11月には京都市内で第8回肺がん研究会・第6回症例検討会を開催した。オンコロジープロジェクトから派生した部会活動の牽引(けんいん)役として、患者さんのために診療レベル向上に尽力している。
小児科部会の症例発表会には沖縄の小児医療界のトップランナーを招聘
診療科部門以外でも新たな部会設立があった。感染管理部会が発足し5月に第1回会合を催した。感染管理対策については従来、看護部を中心に取り組んできたが、他職種を加えた医療・介護の横断的な実施体制の整備が同部会立ち上げの狙いだ。
既存の部会も学術集会などを開催。救急部会は7月に武蔵野徳洲会病院(東京都)で「ヘリコプター利用の現況」をテーマに第7回ERCCMフォーラムを開催、10演題の発表を実施した。小児科部会は7月、南部徳洲会病院(沖縄県)で第8回症例発表会を開催。沖縄の小児医療界のトップランナーを招聘(しょうへい)して特別講演や、グループ病院の小児科医や初期研修医10人による症例発表会も行った。
消化器内視鏡部会は8月、岸和田徳洲会病院(大阪府)で第8回ENDOCLUB学術集会を開催。一般演題、ランチョンセミナー、特別講演、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術)ライブデモンストレーションと多彩なプログラム。特別講演は閉塞性大腸がんに対する大腸ステント治療がテーマで、一般演題では17演題もの発表があった。
ENDO CLUB ではESDのライブデモンストレーションを実施
心臓血管外科部会は9月に札幌市で第3回集会を開き、MICS手術(低侵襲心臓手術)をテーマとする特別講演などを行い、病理部会は11月に第4回学術集会を開催した。
このほか透析部会が3月に全国会議を開催し、グループ標準の新透析システム(徳洲会標準透析システム)の構築に向けた検討などを実施。栄養部会が6月に全国責任者研修会、放射線部会が11月に全国責任者会議と全国学術大会を開催。薬剤部会、リハビリテーション部会、検査部会、医療安全管理部会、臨床試験部会、介護部会や、医事部会をはじめ事務系部会も積極的に活動を展開している。
こうした部会活動は主として成果を患者さんに還元し、より良い医療を提供するために実施しているが、部会以外でも医療の質の向上や院内の改善活動のために、徳洲会はグループを挙げて取り組んでいる。
そのひとつが15年に開始したTQM(Tokushukai/Total Quality Management=徳洲会グループ医療の質管理)プロジェクトだ。医療の質向上や業務改善を目的とした活動内容・成果に関しては、個々の病院で発表の機会を設けているが、これとは別にグループ全病院を対象に演題を募り、今年1月に徳洲会グループ第1回QI大会を開催。成果を共有し全体の改善を図るのが目的。93演題の応募があり、厳選した10演題の発表があった。18年2月に第2回を予定。
さらに17年にはピアレビュー(専門家による評価)の試みも開始。徳洲会ではピアレビューを「手術手技等に関する評価」と位置付け、独自の基準を策定。入退院時のADLの差、平均在院日数、再入院率など8項目からなる。各病院がグループのベンチマーク(指標)と比較しながら、「医療安全の向上」、「医療の質の向上」の課題解決に取り組むことが導入の狙い。脳神経外科領域からスタート。対象領域を今後拡大していく計画だ。