2017年(平成29年)12月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1111 二面
モーニングレクチャー
脳炎やうつ解説
院長らが知識を共有
徳洲会グループ11月度医療経営戦略セミナー2日目(11月26日)の朝、恒例となったモーニングレクチャーを開催した。徳洲会幹部や全国の徳洲会病院院長ら40人以上が参加。今回は湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長が脳炎、日野病院(同)の馬場敦臣院長がうつをテーマにそれぞれ講演した。
新しい脳炎の診断や治療について解説する亀井総長
亀井総長は「総合医が知っておきたい脳炎2017」と題し講演した。07年に発見された抗NMDA受容体脳炎(非感染性脳炎)は、遭遇する頻度がヘルペス脳炎(感染性脳炎)より高く、臨床的にも重要であると強調。ただし、「早期発見、早期治療が重要で、治療が奏功すれば予後は良いです」と説明した。
事例として3症例を提示した後、同疾患の診断基準を紹介。
3カ月以内に、以下の6項目①行動障害(精神症状)、認知機能障害、②言語障害(多弁、寡黙、無言)、③痙攣(けいれん)、④ジスキネジア、筋強剛、異常姿位、⑤意識レベル低下、⑥自律神経障害または中枢性低換気――のうち4項目が出現するなど基準を挙げた。
疫学にも言及。80%以上は女性、37%は18歳以下というデータがあることを紹介、若年女性に多く発生する傾向があり、早期発見のために臨床像(前駆症状、精神症状、痙攣など)の認識が重要であると指摘した。
亀井総長は「本疾患を疑ったら、ウイルス性脳炎の治療、必要に応じて抗痙攣治療を開始し、早期に神経内科のある施設に転送してください。その際、血液・髄液は保存しておいてください」と締めくくった。
うつの診断や治療について説明する馬場院長
馬場院長は「うつ診断の実際」と題し講演。うつの症状は客観性が乏しく、診断がばらつくこともあり、現在のトレンドとして操作的診断基準を紹介した。それによると①抑うつ気分、②興味・喜びの著しい減退――の2項目を必須とし、他と合わせた9項目中5項目に当てはまると、うつと診断する。
馬場院長は原因を問わず、明らかに重症ならうつと診断するべきであると強調。うつから起こる身体症状も、身体症状から起こるうつも治療対象となり、治療の短期目標は不眠の改善、中期目標は自殺の防止が重要であると説いた。
薬物療法の場合はプラセボ(偽薬)効果を最大限利用するべきで、「患者さんに薬の効果をしっかり説明し、服用する時に信頼感をもってもらえるようにすることが大切です」と解説した。
抗うつ薬の副作用として注意すべきは自殺行動。希死念慮の有無は質問しにくいが、「家族や仕事がなかったら死んでも良い……という人の気持ちがわかりますか」と希死念慮はあって当然というスタンスで質問。理解していることをしっかり示し、死なないことを約束させることが重要であるとした。
最後に不眠の薬物療法の注意点を解説。「くせになるので、なるべく飲まないようにしましょう」とすると服薬することへの罪悪感を与えるため、「毎晩服用して改善したら止めましょう」とするほうが良いとアドバイスを送った。