2017年(平成29年)11月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1109 四面
中部徳洲会病院
救急活動向上へ連携強化
救急患者搬送業務連絡会を開催
中部徳洲会病院(沖縄県)は救急活動の質の向上を目的に、地域の医療機関関係者や救急搬送を担う消防署職員たちを対象とした救急患者搬送業務連絡会を同院講義室で開催した。今回で21回目を数える。参加者は総勢280人に上り、症例報告や意見交換を通じて連携強化や情報共有を図った。
「これからも地域の基幹病院として発展していきたい」と伊波院長
連絡会の冒頭、同院の伊波潔院長が挨拶。まず救急搬送の受け入れ状況に言及し「当院は2016年度、6,096件の救急搬送がありました。前年度比で736件増です。今年度も増加傾向にあります」と説明。
続けて、16年4月の新築移転以後の新たな取り組みに関して「当院は今年3月に地域災害拠点病院の指定を受けたほか、7月にER(救急センター)病棟を開設し、8月にはハイブリッド手術室(血管造影装置のある手術室)で重症外傷患者さんを受け入れるハイブリッドERの運用開始、9月には中城北中城(中北)消防組合と救急ワークステーションの運用をスタートしました。新築移転後も皆さんに支えられながら、さまざまな面で進化しています」とアピール。
「これからもどんどん新しいことに挑戦し、地域の基幹病院として発展していきたい」と結んだ。
症例報告では中北消防組合消防本部第1警備課の上原陸隊員、沖縄市消防本部泡瀬出張所の仲本兼志郎隊員、中部徳洲会病院の知念巧・初期研修医(2年次)、同院救急総合診療部の友利隆一郎医師の4人が発表。
上原職員は「石積み崩落事案」をテーマに発表。工事現場で岩や石が崩落し、2人が生き埋めになった事案について、発生から救助終了までの状況などを報告した。「近隣医療機関、他機関との連携が取れ、二次災害なく活動を終えることができました」とまとめた。
仲本職員は「熱中症疑いからCPA(心肺停止)に移行した事案」と題し発表。熱中症(熱痙攣(けいれん))の疑いで出動し、患者さんを救急車内に収容後、不整脈の一種であるVF(心室細動)が出現、CPAになった事案だ。「接触時の観察から早期搬送およびショックに対する輸液の判断ができ、車内収容後にはモニター管理ができたことで、VFを見逃さず早期の除細動を行えました」と報告。
知念・初期研修医は「熱中症」をテーマに発表。熱中症の定義やリスクファクター、重症度分類などを解説したうえで、40歳代男性の症例を紹介。「予防方法や初期対応の指導により、重症化を防ぎ、死亡例を減少させることが肝心です」と呼びかけた。
会場いっぱいに参加者が集まり大盛況
友利医師は「重症外傷に対するハイブリッドER導入の試み」と題し発表。不慮の事故は若年者の大きな死亡原因。こうしたPTD(防ぎ得た死)を回避するため、同院は8月にハイブリッドERの運用を開始した。具体的には、開閉可能な扉で仕切られた隣室の自走式CT(コンピュータ断層撮影装置)の移動により、トリプルハイブリッド手術室として運用可能な同室で、重症外傷患者さんの初療を実施するというものだ。
「1回のベッド移動で、すべての治療が完結可能で、CT撮影までの時間が圧倒的に短く、複数の治療を同時に行うことも可能です」とメリットを強調。このほか運用時間や適応基準などを紹介した。
終了後の懇親会では各消防署の救急隊員の紹介を行ったほか、同院の比嘉信喜副院長(救急総合診療部長)が同部を紹介したり、研修委員長である西島功・心臓血管外科部長が初期研修医を紹介したりするなど盛り上がり、交流を深めた。