2017年(平成29年)10月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1104 四面
地域とリハケアを考える会
地域包括ケア 多角的に議論
南部徳洲会病院が開催
南部徳洲会病院(沖縄県)は9月2日、院内で第2回地域とリハケアを考える会を開催した。「みんなで考えよう地域包括ケア!!」をメインテーマに、初めて院外の医療・介護専門職が参加。それぞれの立場から地域包括ケアについて意見を交わした。大会長の滝吉優子リハビリテーション科医長は「予想以上に地域の実態が見えたと思います」と手応えを示し、「いずれは地域の方とも意見を交わせたら」と意欲を見せている。
院外の医療・介護職も初参加
八重瀬町の地域包括ケアシステム構築に向け議論するシンポジスト
地域とリハケアを考える会は、多様な立場で地域のリハビリテーションケアを考え、改善していくことを目的に、滝吉医長が発案。
昨年、第1回を開催した。前回は南部病院のスタッフのみで開催したが、今回は、より地域性を高めるために地域の医療・介護関係機関にも呼びかけ、多様な職種が参加。当日は院内外から約60人が集まった。
自事業所の様子を交え、認知症の基本を解説する嘉数所長
滝吉医長の開会挨拶後、今回の目玉企画として、地元・八重瀬町の地域包括ケアシステムをテーマにシンポジウムを実施。シンポジストとして、皆川晃慶・徳洲会グループリハビリテーション科顧問、比嘉美由紀・八重瀬町地域包括支援センター長(保健師)、末武美奈子・居宅介護支援事業所東風の里ケアマネジャー、島田将尚・南部病院訪問リハビリ理学療法士(PT)、大城則子・南部在宅医療介護支援センター医療・介護連携コーディネーターがプレゼンテーションを行い、それぞれの立場で現状、課題を示すとともに八重瀬町の地域包括ケアシステム構築に向けて意見を開陳した。
地域包括ケアシステム
厚生労働省は2025年をめどに、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的に、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。
このなかで皆川顧問は全国のモデル事業を提示し、八重瀬町も良い部分を参考にするよう提案。最後にコメントを求められた場面でも、茨城県でリハビリセラピストが地域のさまざまな事業にボランティアとしてかかわっている例を紹介し、「地域の方が地元で幸せに過ごしていただくためには、私たちは病院にとどまっていてはいけない」と、地域に積極的に出向くようを呼びかけた。
25年に認知症700万人
会を通じて連携が進むことに期待を寄せる嘉手苅副院長
このほか、グループホームひめゆり(沖縄県)の嘉数世利子所長が特別講演を行った。テーマは「認知症の理解と対応」。
まず2025年には認知症有病者700万人、軽度認知障害の高齢者600万人という推計があることや、65歳以上の4人に1人、85歳以上の3人に1人、要介護者の2人に1人が認知症と紹介し、あらためて「認知症は身近な国民病」と指摘した。
前半は認知症の概要を説明。「多様な原因で脳の変化が起こり、それによって認知機能が低下。日常生活全般に支障を来す状態(おおむね6カ月以上継続)」とし、病名でないことを強調するとともに、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症などの疾患があり、それぞれの特徴を説明した。原因によって治療が可能な認知症(甲状腺機能低下症など)と、現段階では治療できない認知症(脳血管障害など)があることも示した。
症状についても解説。必ず見られるもの(中核症状)には、記憶障害(新しいことが覚えられない、前のことが思い出せないなど)、見当識障害(現在の時間や場所がわからないなど。時間、場所、人の顔の順でわからなくなる)、判断力の低下などがあり、必ずしも見られるとは限らないもの(周辺症状=BPSD)には、妄想など心理症状と食行動異常、介護抵抗、暴言・暴力といった行動障害があると説明。
徘徊について最近は「ひとり歩き」と表現することも紹介した。
満席になるほどの盛況ぶり
後半は認知症の方への対応について解説。認知症の方の心理や、記憶は失っても感情が残っている特徴などをふまえ、最低限、押さえておくべきポイントとして、①病気を正しく理解、②その人をよく理解(生活習慣や家族構成、若い頃の趣味など)、③「過去に生きる」を受け入れる(現実に戻そうとしない)、④否定より肯定、説得より納得、⑤感情やプライドに配慮、⑥チームで共通したケアを提供(情報共有)――などを挙げた。
アセスメント(服薬管理、排泄(はいせつ)コントロールなど)やコミュニケーション(笑顔で優しい表情で話しかける、スキンシップ、受容、共感など)についても具体的な方法を説明した。
最後に自事業所の様子を撮影したスライドを映し、看取りも実践していることなどを紹介した。
続いて、一般演題の発表も行い、南部病院の新垣諭・作業療法士が「当院におけるがんリハカンファレンス導入後の現状」、上地利明リハビリ室室長(PT)が「誤嚥(ごえん)性肺炎患者の転帰に関わる因子」、米須和香子PTが「回復期リハビリテーション病棟における透析患者の自宅復帰の背景」、平山佐代子リハビリ室副室長(PT)が「当院回復期病棟における超高齢者(85歳以上)の世帯構造が転帰先に及ぼす要因」、金城明美・看護主任が「転倒・転落の低減」をテーマにそれぞれ報告した。
最後に南部病院の嘉手苅勤副院長が「顔の見える関係が円滑な連携につながります」と会の成果に期待を寄せ、閉会した。滝吉医長は「シンポジストの方との打ち合わせも含め、話し合えたのは良かったです。いずれは一般の方との意見交換もできたらいいですね」と、さらに発展させる意欲を見せている。