2017年(平成29年)7月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1093 三面
喜界徳洲会病院
BDHQで栄養状態改善
喜界徳洲会病院(鹿児島県)は2016年8月からBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)を用いた栄養状態改善に取り組んでいる。これにより患者さんの食に対する意識が高まり、外来栄養指導件数もアップ、今後も継続し島民の方々の健康を守っていく方針だ。
栄養指導件数もアップ
BDHQを実践する前島・管理栄養士(右)と重井・管理栄養士
BDHQとは、食品や栄養素の摂取状況を詳細に調べるための質問票を中心としたシステム。質問票を用い、まず牛乳や鶏肉など食材、揚げ物や炒め物など料理といった70以上の項目の摂取頻度を答えてもらい、最近1カ月の食習慣を明らかにする。高齢の方は自分で記入するのが大変であるため、外来で管理栄養士がマンツーマンでヒアリング。質問票を分析センターに送付すると、1週間ほどで分析結果が返送される。
分析結果には30種以上の栄養素の摂取量が算出され、高血圧、脂質異常症、肥満それぞれに対して平均的な日本人の摂取量との比較やアドバイスなどを記載。同院は10人前後の被験者を集めて、分析結果をもとに集団栄養指導を実施し、具体的にどのように食習慣を改善していくか個別に助言している。
前島恵理・管理栄養士は「集団で栄養指導をすることで、自分の食生活を客観的に見ることができます。栄養指導前後で明らかに参加者の食に対する意識が高まっています」と効果を実感する。
集団栄養指導では分析結果の活用法をレクチャー
昨年8~10月で集団栄養指導に31人が参加。うち14人が採血検査をした結果、HbA1cの改善が6人、中性脂肪と血圧の改善がそれぞれ4人と一定の効果を認めた。また、同院の栄養指導件数もアップ。患者さんの空いている時間にヒアリングするため、待ち時間対策にもつながっている。
この取り組みを始めて1年近くが経ち、集団栄養指導も20回を超えた。今後の課題として重井香織・管理栄養士は「集団栄養指導に参加した患者さんに対して半年後に再度BDHQを実施するなど、追跡調査ができると良いと思います」と、継続して島の方々の健康を守っていく考えだ。