徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

臨床研究

Clinical research

札幌東徳洲会病院 医学研究所

いのちを守る知の創造

先進的な医療への貢献を目的に、札幌東徳洲会病院に「臨床研究センター」が設立され5年を迎えます。
2015年夏には本格的な実験施設が完成し、遺伝子を含む各種生体試料を自らが分析し、診療情報として発信するための環境が充実してきました。
これにより主体的に研究性を取り入れた診療を実践する環境が整ったと言えます。

従来、当院は救急医療を重視し、「患者の為の医療」をミッションとする病院として評価されてきました。しかし、病態の解明はもとより、早期診断や適切な治療方針の決定には未だ数々の障壁があり、これらを研究開発によって克服し、究極的に患者医療へ貢献することが重要である事は言うまでもありません。

今後は当院独自の研究に加え、大学、企業や病院連携による多施設共同研究が加速されることでしょう。これらの事業を推進する上で、安定した財政基盤とマンパワーは必須です。「臨床研究センター」の設立により競争的研究資金の獲得に挑戦することが可能となりましたが、この3月には治験やゲノム研究など、より広い範囲で社会的貢献を果たすため、「臨床試験センター」として研究に関わる病院組織を統合しました。また、研究組織体制を高いレベルで維持するため、「医学研究所」を研究部門の中核とし、民間医療機関の柔軟性と即応性を生かして難治性疾患に対する高度医療の提供を目指します。さらに、地域の大学とも強い連携関係を築き、若手医師や病院スタッフに対する医学研究の啓蒙にも努めたいと考えています。

医学研究所インタビュー

徳洲会グループ病院初の研究センターとして、設立に至った経緯を教えて下さい。

札幌東徳洲会病院の前院長である清水洋三先生は診療に携わる者、みずからが医学研究に関わる事の意義と必要性について強い思いを持っておられ、民間病院に研究施設を設立することを長年構想されておりました。2012年に、医学研究所が文部科学省指定研究機関として認可され、その願いが実現に向けて動き始めました。

設立から現在に至るまでの苦労された点を教えてください。

第一に、組織体制の構築についての道のりです。臨床研究を正しく遂行するには、プロジェクトを立案、主導する医師やメディカルスタッフの他に、倫理的な問題の解決やプロトコル立案や進捗管理を支援する臨床研究コーディネーター、得られたデータの解釈を行う生物統計家、研究費を管理する経理、実験を担当するテクニシャンなど多くのスタッフが必要です。発足より5年間かけて人材確保と組織体制整備に尽力しました。現在もマンパワーが十分ではありませんが、限られた「資産」をもとに、大学や企業の人的な協力を得ながら多くの研究テーマに着手できるようになりました。これからは、連携大学院の仕組みなどを利用し、当院が診療と同時に学術研究の場としても活動の場を得られるよう、環境を整備していきたいと考えています。

第2に研究費の確保です。研究事業の推進には経済基盤となる研究費が必要です。これまでに文部科学省が交付する科学研究費をはじめとした官民の競争的研究費・助成事業より支援を頂いておりますが、潤沢な財政状況とは言えません。研究設備の拡充、試薬消耗品、人件費等への研究費の確保するうえでは、経営状況が大変ななか病院から多くの投資を得て今日の活動基盤を得ています。今後、アカデミアや企業と、より強固な連携体制を築き、大型の研究予算を獲得することが課題です。

札幌東徳洲会病院 医学研究所として、現在取り組んでいる一番大きな研究テーマはなんですか?

現在、大小合わせて年間10件以上の研究テーマが実験室で進められており、常勤の研究スタッフに加え、当院勤務の医師や北海道大学・旭川医科大学の大学院生が実験に参加しております。なかでも2014年より開始した多施設臨床研究である、「血液を使った低侵襲的な癌の診断に関わる研究」(UMIN000012810)が大きな研究テーマです。

血液や尿を試料として、がん細胞由来の遊離核酸(cell free DNA; cfDNA)を検出する、いわゆるリキッドバイオプシーは低侵襲がん診断の手段として大きな期待を集めており、我々は超高感度なデジタルPCR法を用いて、低コストかつ実臨床での運用可能な解析パッケージの開発を進めております。現在、主に大腸癌や膵癌などの消化器癌、乳癌、肺癌などの患者さんにご協力を頂き、血液や尿から遊離核酸を精製し、デジタルPCR法によりKRASなどのがん関連遺伝子の検出を行っております。

研究センターで目指しているものを教えて下さい。

民間病院の強みを生かしながら、多様化する医療ニーズに答えられるよう高度医療の下支えとなる研究開発を目指します。さらに当研究センターと、徳洲会グループの4研究機関、道内の医育大学、さらには民間企業と連携を通じて大きなネットワークを構築して研究を推進したいと考えています。自らが先進医療を切り拓く一員あるという自覚を病院全体で共有し、その成果を一日でも早く患者さんへ届けることが私たちの願いです。

研究部局

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