臨床研究
Clinical research
Clinical research
千葉徳洲会病院は自ら医学研究を推進する目的で、2014年4月に臨床研究部を設立しました。2015年2月には文部科学省から研究機関としての認定を受けましたが、徳洲会グループでは札幌東徳洲会病院に続いて2番めとなります。今は良い治療法がない病気を次の世代では治せるようにするために、私たちは、医学の進歩に常に貢献し続ける努力が求められています。千葉徳洲会病院臨床研究部は、民間病院だからこそできる学術研究を通じて、次世代の医学に貢献する情報を世界に向けて発信していきます。
臨床研究部 室長 横地 智貴
従前から千葉徳洲会病院は企業主導の治験(医薬品医療機器等法の承認を得るために行われる臨床試験)に力をいれており、そのサポートを治験センターが担ってきました。また、文部科学省が主導する次世代ゲノム研究「オーダーメイド医療の実現プログラム」には、当院のゲノム室が大きく貢献してきました。それに対し、医師主導の臨床研究については、学術的な支援を行う部署がなかったため、医師が個人として研究に取り組むほかありませんでした。
しかし近年、指導医や専門医の認定条件として論文発表を義務付ける医学会が増えてきたことなどから、学問としての医学を志す病院職員をサポートする必要が生じてきました。そこで千葉徳洲会病院では、当院職員が医学研究を行う部署として、平成26年に臨床研究部を設立しました。
当院の臨床研究部の特色は、治験実務やゲノム医療プロジェクトへの支援に加え、病院職員の学術研究活動を計画段階から発表までフルサポートすることです。そうした活動には、医学研究の企画と実施はもちろんですが、データ解析、学会での発表や論文執筆なども含まれます。
たとえば、データの解析については、比較検定、単変量・多変量解析といったごく基本的な統計処理から、コーディングを要するバイオインフォマティクスに至るまでを支援します。更に、倫理委員会の承認のもと、必要であれば、塩基配列解読や変異探索といった遺伝子解析、ゲノム比較、分子レベルの機能解析などにも共同研究として対応できる体制を整えています。
また、論文執筆についても、海外の学術誌への英語論文投稿を強力にサポートします。当研究部の専任スタッフが、単なる和文英訳にとどまらず内容に踏み込む改訂を行い、海外の一流の医学研究者を納得させる論文を協同で執筆します。研究部を設立して二年あまりで、海外の専門学術誌に英語の研究論文7報を発表してきました(当院職員が責任著者の研究論文3報、共同研究4報、症例報告論文は除く)。
第一の目標は、高いレベルの医学研究の成果を、徳洲会グループから発信していくことです。そのためには、政府の科学研究費補助金や各種財団の公募研究費など、外部組織からの競争的研究資金を獲得することで、経済的基盤を固めていきたいと考えています。また、医師や看護師、コメディカルのキャリアアップの手段としての医学研究を、病院として積極的に支援していきます。
病院では、さまざまな薬剤や検査、手術手技、看護方法などが用いられていますが、私たちの誰ひとりとして、これらを発明したり開発した人はいません。こうした知識や技術は全て、先人が苦労して築き上げてきたものばかりです。私たちはそれを学校で学び、あるいは現場で教わってきたに過ぎません。先人が作り上げてきた「現代の医療」を利用している私たちは、次の世代のために「未来の医療」を作っていく義務があると思います。当院臨床研究部の目指す長期的な目標は、いま臨床研究の成果を着実に積み上げることで、未来の医療に貢献していくことです。