徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)12月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1215 二面

今村・生駒病院総長
大型台風で中止に至ったALSO-Japan 学術集会
大会に込めた狙い

生駒市立病院(奈良県)の今村正敏総長が大会長の「第5回ALSO-Japan 学術集会~チーム医療で支えるお産~」は、奈良市内で10月13日に開催が予定されていたものの、当日、大型台風の接近により、やむなく中止となった(ただし学術集会そのものは抄録集の発行をもって開催されたものとみなす扱いとなった)。周産期医療の向上に資する重要な学術集会だけに残念な事態となったが、今村総長は大会長として学術集会にどのような狙いを込めていたのだろうか、その思いを聞いた。

助産師が正常経膣分娩の管理を

「正常経膣分娩の管理は助産師に」と今村総長「正常経膣分娩の管理は助産師に」と今村総長

今年は生駒病院が学術集会の事務局を務めた。

今村総長は、はじめに「自然災害とはいえ、講演予定の先生方や座長の先生方には、準備されたにもかかわらず、その機会を提供できず申し訳なく思っております」と胸中を明かした。

続いて今回のテーマである“チーム医療で支えるお産”に込めた狙いを聞くと、まず指摘したのは地域での分娩(ぶんべん)が困難になっているという実状だ。「分娩施設は地域の重要なインフラのひとつですが、分娩施設の集約化が進んでおり、その結果、地方での分娩施設が減少しています」と訴えた。

そのうえで、地域のお産を安全に維持していくには、医師、助産師、その他の医療従事者がチームとして協力することが欠かせず、地域の産婦人科医の減少をふまえ、「今後、地域での分娩は助産師さんが中心となって担うべきであろうと考えます」と明かした。

助産師が中心となって分娩を担う具体案として、「助産師による正常分娩の管理」を挙げる。具体的には、病院や診療所に勤務する助産師の権限で実施できる分娩管理業務として、子宮収縮剤の投与、出血に備えた血管確保、会陰膣(えいんちつ)裂傷の局所麻酔下での修復――を追加することを提案。
「これらは正常経膣分娩の管理にともなう医療的処置の範囲内として助産師に認められるべきものです。産科関係者は、助産師がこれらを行う環境を整備していくことが必要です。もちろん助産師はエビデンス(科学的根拠)に基づく産科医療をしっかりと理解し、多職種チーム医療として実施することが肝要です。またハイリスクの母体は適切な医療機関に紹介することが大前提です」と今村総長。続けて「学術集会では、これらについて議論を深めるプログラムも用意していました。今後の学術集会などに引き継がれることを期待しています」と展望している。

今村総長は大会長として、「産科医療の進歩」をテーマとする大会長講演を予定していた。「産科医療は、この50年で飛躍的な進歩を遂げました。超音波(エコー)検査や胎児心拍モニター、胎児心エコー、遠隔診療、さまざまな医薬品の登場と進化により、母子のリスクを早い段階で見つけ出すことが可能になり、適切な対処につなげやすくなっています。こうした技術の発展により、助産師が正常分娩管理を実施しやすい状況になっていると言えます」(今村総長)

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