徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)12月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1215 三面

離島応援――田原・出雲病院院長の提言 ④
「人生には必ず節目があり
ふと転勤を考える時がある」

「その人に合った勤務時間の設定も」と田原院長「その人に合った勤務時間の設定も」と田原院長

「結局、医師が集まらないと離島応援はできません。医師の確保、医師の離職防止が、当たり前ですが、重要です」と出雲徳洲会病院(島根県、183床)の田原英樹院長は言いきる。

医師確保については、古くからの友人や先輩、後輩はもちろんのこと、さまざまな会合に出席し、交流を広げ、知り合いになった医師に地道に声をかけ続けることに尽きるという。「人生には必ず節目があり、ふと転勤を考える時期があります。その時に、誘われていたことを思い出してもらうことが大切です」と田原院長。出雲病院で田原院長を除いた13人の常勤医中、同院開院時(2006年4月)に宇治徳洲会病院(京都府)から転勤してきた医師が1人、自ら応募してきた医師が1人、大学医局から派遣されてきた医師が3人。それ以外の8人の医師は、すべて田原院長の知り合いだ。

同院への入職理由について、自ら応募してきた医師は「離島医療にも興味があった」。大学医局派遣の3人中2人は同院を希望し入職、また、田原院長に誘われ、同院が自分のスタイルに合っていた医師が7人。うち1人は以前から「徳洲会が実践している患者さんのための医療に感銘を受けていた」というのが動機だ。

医師にしかできない仕事に専念できる環境を

離職防止については「『医師の働き方改革』を進める必要があります。大事なことは、限られた時間のなかで、医師にしかできない仕事に専念できる環境を醸成することです」(田原院長)。

これには、まずメディカルクラーク(医師事務作業補助者)の活用が挙げられる。診断書や紹介状、退院サマリー、処方箋・臨時処方箋の作成代行から、入退院に関する入力作業、外来補助。また、病棟回診や家族面談にもメディカルクラークが可能な限り同行し、医師がボイスレコーダーに録音した音声をカルテに記録する。

さらに、輸液が切れる前のアナウンス、患者さんの要望聞きなど、あらゆる面から医師をサポートし、医師は医師にしかできないことだけに専念する。

医師の勤務体制の見直しも必要だ。当直明けは午前9時で帰宅、患者さんの家族への説明は午後5時までに終わらせる(家族が来院できない場合は電話で対応し、できれば録音しておく)。午後5時からは当直医に引き継ぎ、夜間は主治医を呼び出さない。当直や夕診の免除、フレックスタイム制の導入などだ。「子育て中や親の介護を担っている医師、単身赴任中の医師のために、その人に合った勤務時間を弾力的に設定することで、長く勤務してもらえるようになります」と田原院長は自らの経験をもとに説く。

すでに出雲病院が導入している「複数主治医制」も、完全な休息時間の確保や、主治医が出張中や外来・検査・手術などで患者さんに対応できない時に、迅速な対応が可能になるなどメリットが多い。今後の課題としては、まだ副主治医の概念が十分浸透していないところもあるため、一層の理解促進を図っていく考えだ。

田原院長は「とにかく、その先生の希望が叶うような環境をつくることが重要です」と語気を強める。(つづく)

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