徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)12月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1215 一面

記念講演会開催
在宅末期がん患者さんに早期介入
「緩和ケア訪看ST札幌」開設

「緩和ケア訪問看護ステーション(訪看ST)札幌」がオープンした。従前は“みなし”としてホームケアクリニック札幌のサービスのひとつだったが、独立したことで、在宅患者さんへのサポートが、より早期から期待される。開設を記念し札幌市内で講演会も行った。

写真上/患者さんを訪問する山崎所長。写真下/ステーションのロゴマーク(左)を作成。訪問で使用する車にも

緩和ケア訪看ST札幌は、ホームケアクリニック札幌が“みなし指定”で行っていた訪問看護を独立する形でオープン。現在、登録患者数は札幌市内4区で計36人。7人の看護師と理学療法士1人、事務員1人が在籍し、開設2カ月にして300件を訪問している。訪看STでは珍しく、ほとんどが在宅で生活している末期がん患者さんだ。「訪問先では身体的な痛みをはじめとした全人的苦痛に対する緩和ケアに務めています。ただし在宅は生活の場ですから、病気以外で困っていることにも目を向けサポートします」と山崎美惠所長(緩和ケア認定看護師)。一事業所として独立することは念願だったという。
「人生の最期をどう過ごすか自己決定できない患者さんやご家族も少なくなく、もっと早くから看護師が“伴走”する必要性を感じていました。また、みなしでは介入時期が終末期に偏ることが多く、どの病期のがん患者さんのACP(意思決定支援)にも関わる必要性を感じたことも独立した理由です」

秋山センター長秋山センター長

地域の訪看STと連携しやすくなることも期待。山崎所長は「独立して札幌市と北海道の訪看ST連絡協議会に加入しました。市内には200カ所以上の訪看STがあり、その多くが同会に名を連ねています。地域に在宅看和ケアを広めるには連携が欠かせず、それは結果的に患者さんのメリットにつながると思っています」と明かす。

今後、山崎所長は地域包括支援センターや居宅介護支援事業所との連携、将来的にサテライトの開設などを視野に入れる。

200人超が詰めかける

開設記念講演会は定員を上回る盛況ぶり開設記念講演会は定員を上回る盛況ぶり

緩和ケア訪看ST札幌の開設を記念し、10月6日に市内で講演会を開催。訪問看護の第一人者であり、今年、ナイチンゲール記章を受章したマギーズ東京の秋山正子センター長(ケアーズ・白十字訪問看護ステーション代表取締役所長)を招き、特別講演を行った。秋山センター長は「がんと共に歩む力を」と題し、経験談を交えながら、在宅で療養するがん患者さんとかかわる際のポイントを示したり、がん患者さんと家族の相談支援を行うマギーズ東京の活動などを紹介したりした。

この後、「これからの在宅緩和ケアに求められること」をテーマに、秋山センター長、山崎所長、公立病院の退院調整看護師、大学病院の医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、ご遺族で討論会を実施。ご遺族のエピソードをベースに、それぞれの立場から意見を交わした。

最後に、山崎所長が講演。自らの訪看STを紹介するとともに、在宅の末期がん患者さんに多職種で対応するには目標の共有が大切などと訴えた。同訪看STの関連施設である札幌南徳洲会病院の前野宏総長の挨拶で閉会した。

当日は医療・介護専門職や一般の方など200人超が来場。山崎所長は「終了後、看護師資格をもつ方が当STで『ぜひ研修を受けさせてほしい』と声をかけてくださり、あらためて開催して良かったです」。

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