徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)12月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1214 一面

松原病院の急変対応チーム
救える命を救うドクターブルー
蘇生技術高い看護師25人選抜

松原徳洲会病院(大阪府)は急変対応チームを立ち上げた。院内で患者さんの状態が急変し、心肺停止やショックを起こすなど重篤な事態に陥った場合、現場応援を各部署に要請する緊急コールである「ドクターブルー」を全館に放送する。同院は従来、メンバーをあらかじめ決めずに、現場に駆け付けられる職員が対応していたが、同チームでは看護師に関して一定以上の心肺蘇生技術をもったメンバーを選抜。看護師以外の医師や他職種は従来どおり、その都度現場に駆け付けられる職員が対応する。“救える命を救う”急変対応の質の向上を図る取り組みだ。

各自状況判断しスムーズに対応

「継続的に急変対応の質の向上を図ります」と口をそろえる(左から)綛谷医長、小幡主任、垣井医長

急変対応チームのメンバーは、2人の医師と、外来、ICU(集中治療室)、透析室、手術室、病棟の各部署から選抜した25人の看護師で構成。医師は同院外科の綛谷哲矢医長と心臓血管外科の垣井文八医長で、看護師のうち3人は小幡利恵・看護主任(救急看護認定看護師)、西村浩一・看護副主任(同)、末永浩美看護師(小児救急看護認定看護師)と認定看護師が名を連ねる。チームを編成したのは4月で、この5人が代表を務める。

ドクターブルーの際には院内にいるメンバーが現場に駆け付ける。なお、医師2人がメンバーに入っているが、手術などで手が離せない場合があるため、医師と他の職種に関してはドクターブルー発生時点で駆け付けられるスタッフが対応する。

小幡主任は「当院では従来、ドクターブルーがかかると、その時に駆け付けられるスタッフが無条件で集まっていました。大勢のスタッフが積極的に集まってくれるのはとてもありがたいのですが、現場で患者さんの周囲に人だかりができてしまい、手を出せず見ているだけのスタッフもいました。十分なスキルが身に付いていない看護師もいます。そこで、メンバーの整理が望ましいと考え、看護部内でメンバーを選抜し、チームを発足することにしました」と説明する。

メンバーの看護師はいずれもACLS(二次救命処置)のスキルを有するスタッフで固めた。ACLSは気道確保、心臓マッサージ、人工呼吸などCPR(心肺蘇生法)の基本から気管挿管、換気に加え、心電図モニターや除細動器などを用いた高度な救命処置をいう。「心肺蘇生技術の質を一定以上に保ち、少しでも救命の可能性を高めるためです。チーム発足以降、メンバーの責任感が高まったことに加え、それぞれが自分の役割を自覚し、指示がなくても各自で状況を判断し、スムーズな対応につながっています」(小幡主任)

心肺蘇生のスキルアップのため開催している「ACLS 運動会」

同院は3年前にNEWS(早期警告スコア)を導入。予期せぬ院内での心肺停止の発生を未然に防ぐため、患者さんのバイタルサイン(生命兆候)を点数化し状態変化を知らせるツールだ。院内急変による死亡リスクの低減に有効とされる。

綛谷医長は「ドクターブルーの対象事案は平均すると月3件ほどで、主に嘔吐(おうと)物による突発的な気道閉塞などが原因です。NEWS導入以来、予期せぬ心肺停止による院内死の発生は0件を維持しています。嘔吐物による気道閉塞など突発的なことは事前に察知するのが難しいですが、それらを除けば有効なツールとして機能しています。また、NEWSの高リスク症例について緊急対応チームで毎月振り返りを行いスキルアップにつなげています」と話す。

垣井医長は「急変対応チームの発足が現場でのスムーズな対応につながっています。急性期病院として全体の底上げが課題ですので、後進を育成しながら、より多くのスタッフが適切な急変対応を行えるようになっていくことが望ましいと考えます」と展望している。

同院看護部は同部全体の急変対応スキルの底上げのため、毎年「ACLS運動会」を企画、実施している。心停止を想定した実技訓練で、点数を競いながら技術の向上・定着を図る活動だ。

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