2019年(平成31年)3月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1177 二面
山北病院
ドクヘリで転院搬送
隣地開設のヘリポート活用
ドクターヘリの近くまで救急車で患者さんを搬送・収容
山北徳洲会病院(新潟県)はドクターヘリが離着陸するためのヘリポートを昨年8月、隣地に開設した。その後、ドクターヘリで転院搬送を行う救急事案が発生、ヘリポートを活用する機会があった。
患者さんは40代男性で、午前3時頃に自宅の階段から転落。家族が発見したものの高齢のため介助が難しく様子を見ていた。しかし昼になっても動きがなく家族が救急要請、同院に搬送された。
当時、救急搬送を受け入れたのは、札幌東徳洲会病院から地域医療研修で同院に勤務していた久保田瑛進・初期研修医(2年次)。「救急隊からの情報で、うつ病の既往があり、アルコール摂取後に階段から転落したとのことでした。その時点では、頭蓋内出血などを起こしている可能性が考えられました」と振り返る。
患者さんの両下肢は不全麻痺(まひ)の状態だった。同院に搬送後、頭部CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像診断)など検査を実施。「画像から頚椎(けいつい)骨折を認めたほか、脊髄(せきずい)損傷を疑いました」。同院での対応が難しかったため、新潟県立新発田病院への転院搬送を決定。患者さんの容態から、搬送には医師の同乗が望ましかったものの、院内にいる医師は3人と限られ、このうちひとりでも数時間にわたり不在になることは避けたかった。
「当院の黒岩宙司院長に相談したところ、ドクターヘリを要請することもできると教えていただきました。ドクターヘリであれば医師が搭乗してくるので要請しました」(久保田・初期研修医)。
約20分後に新潟大学医歯学総合病院を拠点とするドクターヘリが山北病院に到着、患者さんを新発田病院に転送し、直ちに処置が行われた。「救急のファーストタッチを行い、初期診療後に適切な医療機関に転送できました」と久保田・初期研修医。その後、病状が安定した患者さんはリハビリテーションのため山北病院に転院している。