徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)3月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1177 四面

札幌病院
札幌市災害時基幹病院に指定
同時多発する重症傷病者へ対応

札幌徳洲会病院は札幌市災害時基幹病院の指定を札幌市から受けた。これは災害が市内で発生した時、同時に多数発生する重症の傷病者に対し、迅速かつ円滑に医療を提供するのが目的。これまで札幌東徳洲会病院を含む12施設が指定を受けていたが、今回、札幌病院を含む4施設が指定を受け、合計16施設になった。

札幌市災害時基幹病院の通知書を手にする奥山院長 札幌市災害時基幹病院の通知書を手にする奥山院長

札幌市は災害時医療体制を一層強化・充実させるため、札幌市災害時医療体制検討委員会を設置、札幌市災害時基幹病院制度も見直してきた。同基幹病院を新たに追加するか検討段階の昨年8月、札幌病院に対し「札幌市災害時基幹病院の候補に挙がっており、9月初めの本会議で決定する」との打診があった。

そのような折、9月6日に北海道胆振(いぶり)東部地震が発生。市は一時、同基幹病院に関する検討を中断していたが、10月以降に検討を再開。災害時の体制強化の必要性を感じ、あらためて同院に依頼があり、1月23日に指定となった。

同基幹病院の役割は、札幌市消防局など行政機関および他の医療機関の収容要請に基づき搬送されてくる重症傷病者に対し、収容能力に応じ可能な限り受け入れを行うとともに、緊急手術など必要な医療を提供することにある。指定対象となる病院は、市内の病院のうち、災害時に24時間体制による緊急手術が可能な外科・整形外科など診療科を有するのが要件。

2018年9月6日の北海道胆振東部地震で倒れた薬品庫 2018年9月6日の北海道胆振東部地震で倒れた薬品庫

市は①札幌市の地域防災計画上必要と考えられる場所に位置している、②ヘリポートあるいはヘリコプター離着陸スペースを確保している、③札幌市内の地域バランスを考慮し、1区に1病院以上を指定する―ことに配慮し選定した。

同基幹病院は札幌市長の要請により活動を開始する(ただし災害の規模に応じ、病院が必要と認めた時は、市長の要請によらず自発的に活動開始)。また、市は発災後、同基幹病院が必要な医療を提供する時、①血液、医薬品、医療資器材、ライフラインの優先的供給、②情報の提供、③連絡要員等の派遣―など支援に努める。

奥山淳院長は北海道胆振東部地震を振り返り、「これまでブラックアウト(大規模な停電)を想定した訓練はしていませんでしたが、外傷センターとプライマリーセンターを中心に、院内だけでなく、消防隊や地域の病院など外部との連携もうまく機能しました」と強調する。

さらに「足りない設備や備品の準備も進めています。札幌市の期待に応えられるように、さらに体制整備をしていきたいと考えています」と意気込む。

災害時医療体制を強化

北海道胆振東部地震ではロビーでも患者さんに対応 北海道胆振東部地震ではロビーでも患者さんに対応

宮本浩義・事務部長も「胆振東部地震の時には、ふだんの4倍以上の救急受け入れを経験しました。混乱のなか、震災を乗り越えたことは、職員も大きな自信につながったと思います」と述懐。「札幌市が災害時医療体制の強化を目的に、当院に声をかけてくださったことは大変喜ばしいことだと思いますので、応えていきたいです」と積極姿勢を見せる。

同院は多職種からなる防災委員会を月1回ほど開き、防災マニュアルの見直しを進め、火災や地震に加え、ブラックアウト時の各部署の対応などを詳細に検討。また、足りない設備や備品の精査も行い、購入に向け準備をしている。

さらに、北海道胆振東部地震から日の浅い10月30日には院内の防災訓練も実施。防災マニュアルに基づき各部署の動きなどを確認し、有事の際に備えた。

奥山院長は「今回、指定を受け、札幌市に認められたことで、地域になくてはならない病院として成長してきたことを実感しています。当院は、まだまだ伸びしろのある病院だと考えていますので、職員一同ますます気を引き締めていきます」と展望する。

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