2018年(平成30年)10月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1155 三面
期待される歯科医療の未来展望
佐野・東京西病院副院長を大会長に
日本先進インプラント医療学会総会
日本先進インプラント医療学会第21回総会・学術大会が9月22日から2日間、都内で開かれた。テーマは「インプラントを通して期待される歯科医療の未来」。東京西徳洲会病院の佐野次夫・副院長兼歯科口腔外科部長が大会長を務め、特別講演では千葉西総合病院の三角和雄・院長兼心臓病センター長が登壇した。
三角・千葉西病院院長が特別講演
大会長の佐野副院長(左)と三角院長
大会長講演で佐野副院長は
「骨伝導能に優れたAQBインプラントを用いたソケットリフト法の臨床応用」をテーマに講演。インプラント手術で難症例とされるのは、下顎(かがく)では下顎管(かがくかん)までの距離が短く、さらに幅径が狭小の場合、上顎(じょうがく)では上顎洞(じょうがくどう)底部さらに梨状孔(りじょうこう)までの骨量が少ない場合とされる。これらの症例では一般的にインプラント植立(埋入)前に骨造成を行わなければならない。
佐野副院長は低侵襲のソケットリフト法を推奨しながらも、安易な施術はインプラントの上顎洞内迷入を来すことを指摘。写真や図を用いて施術のポイントを示したうえで、強力な骨伝導能を有するAQBインプラントを紹介した。これは移植材料を用いなくても挙上した洞粘膜と洞底部の間に新生骨を早期に獲得できるのが特徴だ。
三角院長(左)の講演終了後に佐野副院長より感謝状を贈呈
また、AQB1回法は病診連携をするうえで有用であると強調。「当院でインプラントを植立した後、上部構造は、かかりつけ医がつくります。AQBインプラントなら上部構造の完成までの時間を短縮でき、1度に多数のインプラントの植立が可能です」と説明。さらに、診療所医師と定期的に勉強会を開催し、最新情報の共有や課題解決を行っていることを報告した。
特別講演で三角院長は
「歯が悪いと、生命にかかわるというのは本当なのか?~歯科領域における循環器系疾患の重要性について~」と題し講演。「歯→死とならないために」とテーマを据え、①歯痛から狭心症を考える、②ステントが留置されて、抗血小板薬を飲んでいる患者さんに対する歯科治療、③歯周病と虚血性心疾患のかかわり、④感染性心内膜炎(IE)の予防――を解説した。
参加者はインプラントに関するさまざまな知見を深め研鑽
まず、歯痛を主訴に来院したが、歯科的には問題なく狭心症が疑われた症例を提示。薬剤溶出性ステント(DES)留置後に歯痛は消失したが、DESの問題点としてステント血栓症がある。これを予防するために2種類以上の抗血小板薬併用(DAPT)が必要不可欠となるが、DAPTの継続が抜歯やインプラント手術の際に出血リスクを高めることを指摘した。これに対し、自身の症例やインプラント専門家の意見を交えながら対策やポイントを示した。
次に歯周病と虚血性心疾患のかかわりでは、歯周病が糖尿病を悪化させ、さらに動脈硬化を進展させるなど深いつながりがあることを説明。IEの予防にも言及し、口腔内出血をともなう歯科処置には感染のリスクがあり、予防策が必要と強調した。最後に「循環器科領域と歯科領域は臨床的に密接な関係にあり、同じ施設内に両方の診療科があれば、お互いの患者さんに最良の医療環境を提供できます」と締めくくった。
一般口演では東京西病院の中澤貴士・歯科口腔外科後期研修医が
「歯槽骨(しそこつ)骨折を伴う多数歯欠損症例にHA1回法インプラントを用いて審美的ならびに機能的回復を図った1例」、ポスターでは同院の久保寺翔・歯科口腔外科医師が
「インプラント周囲炎外科的療法後の予後に関する臨床的検討」をテーマにそれぞれ発表した。