徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

増成 秀樹(ますなりひでき)(宮古島徳洲会病院院長(沖縄県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

増成 秀樹(ますなりひでき)

宮古島徳洲会病院院長(沖縄県)

2018年(平成30年)10月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1155

台風が多く患者さんの体調管理に腐心
“助け合い”や“いたわり”を日々実践
「院長は病院の父親」という言葉を胸に

10月初旬に宮古島に接近した台風25号で、今年、沖縄・奄美群島に接近した台風は12個めになりました。近年は1シーズン6~7個で、久しぶりに多いという印象を受けました。宮古島は“台風銀座”であり、毎年起こる自然災害ですが、毎回、不測の事態に悩まされます。長時間の停電、断水、雨漏り、飛来物による窓ガラスの破損などです。夏場の長時間停電ではエアコン停止にともない、高齢患者さんの体調管理も心配です。

また以前、屋外で台風対策のための作業をしていた当院職員が、強風にあおられて重症外傷を負う事故がありました。以後、暴風域内では、職員は屋外に出ないという原則の下で対応しています。そのため台風接近前に2勤務帯分の職員に出勤を依頼し、勤務終了後も院内待機をしてもらうことがあります。

病院では職員の数だけたくさんの物語がある

台風襲来時には、島全体が長時間停電・移動不能の状態になることが多いため、在宅酸素(HOT)を導入されている患者さん、透析患者さん、高齢独居の患者さんなどは、緊急避難的に入院することもあります。

さらに宮古島の北西約5㎞に位置する徳洲会伊良部島診療所は現在、無床診療所ですが、台風襲来時には宮古島との連絡橋が閉鎖となるため、臨時対応として夜間も医師、看護師、事務職員らを配置し、救急対応可能な体制を取っています。

国内外で災害医療活動に取り組むNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)に、当院から隊員を派遣できるようになることが私たちの理想です。

7月6日から7日にかけ西日本を襲った豪雨に、TMATは甚大な被害を受けた岡山県倉敷市に隊員を派遣。愛媛県と広島県でも調査活動を行いました。9月6日、北海道で発生した震度7の地震では、道内のグループ6病院がすべて停電、自家発電で対応しました。TMAT先遣隊は同日夕方に羽田空港を出発。この迅速性と行動力がTMATの財産と言えるでしょう。

当院の院長に就任して3年半。就任時に安富祖久明・一般社団法人徳洲会副理事長に言われたことのなかで、つねに心にとどめている言葉があります。

「院長は、病院の父親でいてください」

良いこと悪いこと、嬉しいこと悲しいこと、楽しいこと・つらいこと――病院では職員の数だけたくさんの物語があります。時に厳しく、時に優しく見守ることが大切であるというメッセージと受け止め、良き父親像を探求してきました。何かを伝える時、行動のともなわない言葉には力がないことを学びました。

また、組織をあるべき方向に向かわせるには、まず自らが楽しみつつ、その方向に歩み続けることの大切さを学びました。そして大きな目標のためには自分の小さな思い(我欲)を押し殺すことの大切さも学びました。やり方(How to do)よりも、あり方(How to be)がもっと大切であることも学びました。苦労はたくさんありましたが、同時に多くを学び自分が豊かになるのを知りました。

助け合い・いたわり・優しさ頼もしさを私たちの合言葉に

司馬遼太郎は著書『二十一世紀に生きる君たちへ』のなかで次のように述べています。

「人間は助け合っていきているのである。(中略)助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じることといってもいい。やさしさと、言いかえてもいい。(中略)これらは本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならないのである。その訓練とは、簡単なことである。例えば、友達がころぶ。ああ痛かっただろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分のなかでつくりあげていきさえすればいい。(中略)もう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよといった。自分に厳しく、相手にはやさしく、ともいった。いたわりという言葉もつかった。それらを訓練せよ、ともいった。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして“たのもしい君たち”になっていくのである」

助け合い、いたわり、優しさ、頼もしさ――これらは時代が変わっても、最も大切にすべきことであり、日々の医療活動でも、これらを実践できる病院でありたいと思います。

徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念実現のためにも、日々の訓練を皆で頑張りましょう。

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