2018年(平成30年)6月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1136 一面
南部徳洲会病院
地域災害拠点病院に指定
徳洲会グループで6施設目
南部徳洲会病院(沖縄県)は3月30日、沖縄県から地域災害拠点病院の指定を受けた。同拠点病院は災害発生時に、傷病者の受け入れや搬出、災害医療チームの派遣などを行い、地域の医療救護活動の中核を担う。同日、琉球大学医学部附属病院も指定を受け、県内の同拠点病院は13施設になった。赤崎満院長は「地域に対し一層大きな責任をもつことになります」と意欲的だ。
交付式で地域災害拠点病院の指定書を掲げる赤崎院長(左)
厚生労働省は2017年3月末、各都道府県に対し、地域災害拠点病院の指定要件の改正を通知した。追加された内容は事業継続計画(BCP)の整備と、それに基づく訓練の実施。これは熊本地震(16年4月)以降に開催された「医療計画の見直し等における検討会」での議論を反映したもの。
BCPとは自然災害など緊急事態の発生時に、中核事業の継続や早期復旧を可能にするための方法・手段を取り決めておく計画をいう。南部病院では、同拠点病院の指定を受けるにあたり、桃原民生・総務課施設主任を中心にBCPを整備。実践で使えるものにするため、発災直後、1時間後、2時間後などと区切り、具体的な行動を示すアクションカード形式で作成した。
徳洲会グループの地域災害拠点病院
病院名 |
指定時期 |
白根徳洲会病院(山梨県) |
2014年2月 |
宇治徳洲会病院(京都府) |
2015年4月 |
福岡徳洲会病院 |
2016年4月 |
岸和田徳洲会病院(大阪府) |
2016年8月 |
中部徳洲会病院(沖縄県) |
2017年3月 |
南部徳洲会病院(沖縄県) |
2018年3月 |
桃原主任は「作成したBCPをもとに、院内で災害訓練を実施し、より実践的なものに改善していきたい。また、職員の携帯する病院のポケットガイドに、BCPの内容を入れ込み更新する必要もあります」と課題を示した。
BCP以外にも運営面、設備面で厳しい要件があるが、同院はJCI(国際的な医療機能評価)認証(15年12月取得)を受けるにあたり、院内に防災委員会を立ち上げ、「施設管理と安全性(FMS)」を整備。こうした取り組みが地域災害拠点病院の指定にフォローウィンドとなった。
また、同院は同拠点病院の指定を受ける前から、県内の8病院と「大規模災害時の相互応援協定書」を締結。災害発生時に医療資材や医薬品の提供、職員の派遣など応援を迅速に遂行することを相互に約束している。
3月に実施した島尻消防組合との災害訓練の様子
今回の指定にあたり赤崎院長は、「地域の皆さんに当院の立場を示す良いきっかけになりました」と気を引き締めたうえで、「当院は沖縄本島南部の中心に位置し、その東側と南側には地域災害拠点病院がありませんので、この地域に果たす当院の責任は大きいと思います。各地域の消防本部や病院と協力し、訓練を重ね、しっかり対策を取っていきたいです」と意気軒高だ。
また、中部徳洲会病院も昨年3月、同拠点病院の指定を受けている。屋上ヘリポートを擁する病院は県内に南部徳洲会病院と中部徳洲会病院だけということもあり、災害時には救急患者さんの搬送などで連携がより重要になってくる。このため、赤崎院長は他院と連携した災害訓練の必要性も感じている。
「沖縄本島はこれまで地震が少なかったため、職員の災害に対する意識がまだ低い」と警鐘を鳴らす赤崎院長。このため災害訓練を重ね、職員の意識を高めることが今後の課題。「39年前に当院を開設して以来、地域での立ち位置は変わらず救急医療を求められています。災害時にも地域のニーズに応えられるように精進していきます」(赤崎院長)。