徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

池原 康一(いけはらやすかず)(石垣島徳洲会病院院長(沖縄県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

池原 康一(いけはらやすかず)

石垣島徳洲会病院院長(沖縄県)

2018年(平成30年)6月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1136

思いを少し外に向けることにより
幸せになる患者さんや仲間が増加
「顧客第一主義」の姿勢を決して忘れない

私が石垣島徳洲会病院の院長に就任して1年8カ月が過ぎました。月日が経つのは早いもので、患者さんや病院のために、いろいろ挑戦したい、改善したいと考えながらも、なかなか実行できずに過ぎてしまいました。

現在の石垣島は観光業を中心に好景気が続いています。しかし、健康の側面から見ると増悪傾向。かつて沖縄県は長寿県として有名でしたが、近年は長寿番付で男女ともに下降気味。65歳未満の死亡率や若年者の肥満率が全国ワースト1位になったこともあります。石垣島でも同様の傾向がうかがえ、当院の健診では糖尿病を含む生活習慣病の患者さんが非常に増えています。慢性腎不全の患者さんも多く、石垣島では透析施設が飽和状態です。慢性腎不全は沖縄県全体の問題となっています。

このため当院は健診事業に力を入れています。石垣島では2025年まで人口増加が予想されています。また、永住のため来られる方もいます。当院は島民の方々はもちろん来島者の健康を守ることも念頭に置き、健診事業を推進する必要があります。医療講演にも注力し、生活習慣病の予防などを啓発していく考えです。

また、国内を対象に健診と観光を組み合わせたメディカルツーリズムの提供も視野に入れています。糖尿病の教育入院などもメニューのひとつとして思案していますが、増加する健診に対応するためには、医師の増員が急務です。現在のところ応援医師を増やし乗りきっています。

5月度の徳洲会グループ医療経営戦略セミナーで、消化管内視鏡検査にAI(人工知能)技術を導入することにより、微小な病変の早期発見に役立つ可能性があることを知り、期待を寄せています。マンパワーの増強が難しい離島・へき地医療では、AI導入が人的資源のアシストに大きな役割を果たすと確信しています。

志向する医療ばかりでないが患者さんの笑顔に高い満足度

石垣島に来てから本を読む機会をつくるようにしました。病院の業務や経営について理解を深めるためです。基本的に医師は医療以外の分野について疎いことが多く、私も例外ではありません。

最近、インターネット通販会社Amazonについての本を読みました。同社には「Customers Rule!」という言葉があり、これこそがAmazon が成長した原動力となっているようです。言い換えると「顧客第一主義」ということでしょうか。

医療の現場でも「自分さえよければ良い」、「自分がしたいことさえすれば良い」という内向きの考え方をもつ人が増えているように感じます。徳洲会グループに属する多くの離島・へき地の病院は、それでは立ち行きません。私たちは「患者さん第一主義」でありたいと強く思っています。

私は外科医であり、オンコロジー(腫瘍学)に興味があるのですが、実際の現場では慢性期や高齢の内科系疾患の患者さんがほとんど。このため各種ガイドラインをそろえ学習し直し、他科のスタッフらに教えを請いながら診療しています。

私の毎日は、目の前にいる患者さんと真摯(しんし)に向き合うことだけです。決して私が志向する医療ばかりではありませんが、高い満足度を得ています。目の前の患者さんが満足し、幸せになるところを直接、感じられるからです。私だけではありません。離島・へき地では、多くの職員が、自分がしたい業務以外の対応にも迫られていることと思います。なかには複数の部署をかけもちしている職員もいるのが現状で、恐らく不満を抱えていることでしょう。

その一方で、私と同様に目の前の患者さんの笑顔を見て、満足感・幸福感を得ている職員もいると信じています。

客観的評価の成功を求めより多くの幸福を目指す

私の顧客は患者さんと職員です。どのように応えて満足していただけるのかを考えることが私の仕事です。私たち医療従事者が思いを少し外に向けるだけで、幸せになる患者さんや仲間が増え、さらに良い組織に発展していくと思います。

ただ、幸せ(幸福)とは主観的な評価であり、自己満足に陥るリスクがあります。組織としては幸せよりも、成功を求めるほうが良いでしょう。成功は客観的な評価であり、それが結果的に多くの人を幸せにするからです。

皆で頑張りましょう。

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