徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)9月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1100 三面

全国介護老人保健施設大会
徳洲会23施設48演題
グループ初参加も続々

第28回全国介護老人保健施設(老健)大会が愛媛県で3日間行われた。メインテーマは「坂の上に輝く一朶の白い雲~超高齢社会のニーズに応えられる老健を目指して~」。登録参加者が4000人を超えるなか、徳洲会グループは老健23施設が計48演題(うちポスター発表2題)を発表した。テーマは多岐にわたり、なかでも多く見られた口頭発表の概要を中心に紹介する。次回は来年10月に埼玉県で開催予定。

徳洲会の老健が愛媛に大挙集結

リハビリテーション

千葉徳洲苑の川口和己・理学療法士は「セラピー犬のパワーで立てた!~リハビリに動物介在療法を取り入れて~」と題し発表。ADL(日常生活動作)の低下が見られていた入所者さんにセラピー犬を用いたアニマルセラピーを導入したところ、立位が取れるまでに改善した。

みさきの郷(千葉県)の兼坂啓介・理学療法士は「ロコモーショントレーニングの効果検証」。通所リハビリテーション利用者さんにロコモーショントレーニング(片足立ちやスクワット)を実施したところ、静的バランス能力のみ改善が見られた。今後は動的バランス能力の向上を含め、さらに研究を続ける方針。

まつど徳洲苑(同)の杉山孝志・理学療法士は「さぁベッドから起きよう! 離床とQOL向上を目指して」。重度両片まひで発語や表情も乏しい全介助が必要な利用者さんに、刺激を与えるきっかけとして足漕ぎ車いすを導入。覚醒レベルの向上や自発性の向上などを認めた。

リハビリケア湘南かまくら(神奈川県)の東隼世・介護福祉士は「コグニサイズは転倒防止につながるか」。認知症予防で運動と同時に計算や、しりとりなどを行うコグニサイズを短時間、通所リハビリ利用者さん17人(要支援5人、要介護1~2が10人、要介護3~4が2人)を対象に週1回、2カ月間実施したが、転倒の頻度に変化は見られず、転倒予防につなげる知識と専門職との連携が必要なことを示唆した。

かまくら(同)の小川彩・作業療法士は「運動療法による下肢の浮腫軽減~リハビリ介入時における運動療法の場面から~」。リハビリ時に浮腫に対する運動療法を実施し、浮腫が軽減できたケースを報告、症例数や期間を増やし、運動療法と浮腫軽減の関連性について、さらに検証していく。

在宅支援と地域連携

武蔵野徳洲苑(東京都)の小野寺大吾・理学療法士は「在宅生活を始めて見えた課題への取り組み家族ニーズの顕在化とIADL向上を目指して」。退所後、利用者さんが在宅生活を送るなかで、介助者の負担が増加していることが判明。背景にIADL(手段的日常生活動作)の伸び悩みがあったことから、ショートステイによるレスパイトや、電動車いすの導入などを提案した。

リハビリケア湘南かまくらの国藤久貴・介護福祉士は「ショートステイリピート率向上の取り組み」。施設サービス向上の一環で、委員会を立ち上げ、利用者さんへのアンケート調査を通じてショートステイの質向上とリピート率の改善を図った。一部で効果が得られたものの、有効回答数が少なく、より意見が聞ける仕組みづくりの必要性を指摘。

かまくらの井上純子・事務職員は「短期入所稼働率と入所稼働率の対比について~在宅復帰との関係とは~」。過去2年間の入退所に関するデータをもとに、短期入所・入所稼働率の変化を検証。長期入所の対象者減少により、短期入所の稼働率アップや情報発信の強化などを課題に示した。

松原徳洲苑(大阪府)の長手里美・介護副主任(介護支援専門員)は「種子島に連れて帰りたい~退職を機に1か月間種子島で母と生活をします~」。在宅復帰は困難と家族が判断し特養に入所申請したものの、リハビリの成果で退所し故郷の種子島に戻った例を報告。

出雲徳洲苑(島根県)の石川慎也・理学療法士は「在宅復帰に対する当施設の現状と今後の対策」。在宅復帰率の向上に向け、職種間の連携強化を図ろうと全職員にアンケート調査を実施。在宅復帰可能な対象者の選出と早期支援、家屋情報や退所後の利用資源などを考慮した具体的なゴール設定といった改善策が見えたことなどをアピールした。

全般的なケア

会場ではセラピー犬と触れ合ったり(上)、みかんジュースをふるまう企画も 会場ではセラピー犬と触れ合ったり(上)、みかんジュースをふるまう企画も

シルバーケア常盤平(千葉県)の染谷百合子・介護福祉士は「両面吸収パット使用による漏れのない排泄(はいせつ)介助」。両面から尿を吸収できるパットを導入し、おむつを含め当て方に工夫を施し、身体拘縮やまひのある利用者さんの尿漏れなどが改善したケースを紹介した。

四街道徳洲苑(同)の永山俊弘・介護福祉士は、昨年10月から離床などを知らせるセンサーマットなどをすべてはずした取り組みを紹介。ひとり歩きなどのリスクが高くなったものの、見守りの強化や低床ベッドの導入などで大きなトラブルはないことを強調するとともに、さらなる職員の連携強化を図る考えだ。

みさきの郷の奥田裕樹・介護士は「認知症者の食事支援に向けた多職種連携」がテーマ。認知・嚥下(えんげ)機能の低下が見られ、食事摂取が進まない入所者さんに、多職種でアプローチし、専門的な観点から食前・食事中・食後の問題点を抽出。援助方法を検討・実施したところ、より質の高い支援が実現した。

ゆめが丘(神奈川県)の鈴木由美子・介護副主任(介護福祉士)は「『家に帰りたい』心の声を形にするために チームで支える在宅復帰~素敵な未来予想図の描き方~」。こまめなカンファレンスや記録、統一した対応などで、ろう唖(あ)で発語ができない利用者さんが在宅復帰する過程を報告した。

静岡徳洲苑の土屋則子・介護福祉士は「心と体にしみるラベンダー 香りのある生活がもたらす心身への影響」。加湿や消臭、リラックス効果などを狙い、希釈したラベンダーのオイルを定期的に噴霧したところ、インフルエンザの発症率低下といった相乗効果が得られた。

あじさい(静岡県)の戸塚健太・理学療法士は「老健来たら元気になった!~『母さんと一緒に暮らしたい』を叶えるために~」。心疾患などに起因する廃用でADL全介助レベルの利用者さん(40歳代)が運動療法や寝たきりにさせない、できることはすべて自分でするといった生活リハビリにより、ADLが大幅に改善、在宅復帰につながった。

宇治徳洲苑(京都府)の行田翔平・介護福祉士はストーマ(人工肛門)造設術後から排便装具をはずす行為が見られる認知症の入所者さんへの取り組みを紹介。施設でその人らしい笑顔ある生活が送れるようになるなど、成果を認めた。

施設長や顧問も積極的に発表

【整容ケア】
片山広美・宇治徳洲苑介護福祉士「尊厳を重視した入浴 要介護状態の利用者を家庭浴槽に」

【体位保持・変換・移動】
西康一・吹田徳洲苑(大阪府)介護福祉士「当施設での多職種連携による車椅子座位支援の取り組み」

【リスクマネジメント】
石山仁志・舟形徳洲苑(山形県)介護福祉士「送迎時の不安解消に繋げる取組み 急変対処訓練から学んだこと」、川上哲郎・茅ヶ崎浜之郷(神奈川県)介護福祉士「事故再発予防に対する業務改善へ向けての取り組み」、並河俊弘・吹田徳洲苑事務責任者「吹田徳洲苑で発生した離苑事故とその対策について」

【食事(栄養)ケア】
弘井比佐子リハビリケア湘南厚木(神奈川県)介護主任(介護支援専門員)「『口から食べる』『自分で食べる』ための多職種連携」、稲田誠司・松原徳洲苑栄養科副主任(管理栄養士)「新規栄養補給食品作成における経過と報告」、番場恵・吹田徳洲苑介護福祉士「胃瘻(いろう)造設者の経口摂取移行のための援助について」、岩城知津・同管理栄養士「当苑における経口移行の取り組みと効果」

【認知症】
菊池久乃・静岡徳洲苑介護副主任(介護福祉士)「顔面体操で利用者の反応は改善するか? 表情筋へのアプローチと回想療法」、木村健シルバーケア常盤平介護福祉士「レクリエーションによる認知症状の変化」、吉田正子まつど徳洲苑介護福祉士「『老いになんて負けない!』学習療法(粋々大学)で生きがいを見い出した利用者の苑生活」

【医療と看護介護】
齋藤真理・シルバーケア常盤平看護師「褥瘡処置薬剤を変えてからの劇的変化  褥瘡(じょくそう)委員会からの助言にて」、田端晋也・岸和田徳洲苑(大阪府)支援相談員「看取りに関わる支援相談員の役割」、角田尚子・八尾徳洲苑(同)介護副主任(介護支援専門員)「終末期ケアに介護職員が積極的に関わるために」、石飛僚・出雲徳洲苑介護福祉士「はじめての看取りへの取り組み」

【コミュニケーション】
黒田直緒・余目徳洲苑(山形県)介護福祉士「スピーチロックの軽減に向けての取り組み 自己の声かけを意識して」、前田明美あじさい介護副主任(介護福祉士)「アンケートの聞き取りからできた本箱 あなたの事を教えてください、認知症利用者との関わり」

【管理・運営等】
赤木浩美・岸和田徳洲苑(大阪府)介護副主任(介護福祉士)「ユマニチュードと新人教育~寄り添う介護を目指します」、土井敏之・八尾徳洲苑介護主任(理学療法士)「学会発表支援プログラムの成果と課題」、仲村紀子・同介護福祉士「中堅職員の人材育成に繋げるサブリーダー制の導入」

【医師と医療】
栗田明・武蔵野徳洲苑施設長(医師)「脳血管障害と心房細動に関する臨床的検討」

【レクリエーション】
石川一郎・武蔵野徳洲苑顧問(事務職員)「武蔵野徳洲苑における音楽療法」、鈴木亜希子はさま徳洲苑(千葉県)介護福祉士「みんなが変わった!レクリエーションの効果 毎日楽しくレクリエーションをしよう」

【業務改善と効率化】
市川穂寿美はさま徳洲苑介護福祉士「接遇ワーストワンになって」、金岡紀子ゆめが丘事務職員「ペーパレス化 Are you ready? ~電子カルテの普及を目指せ 事務職の挑戦」、鈴木真一かまくら介護福祉士「当施設における介護職員のストレス要因と課題~アンケート調査実施によるストレス解消への工夫」、土井・八尾徳洲苑介護主任「2通りの申し送り方法の比較検討」

【排泄】
安田祐希・光徳苑(鹿児島県)介護士「自然排便を目指して~薬から水分・食物繊維へ」

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