ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2017年(平成29年)9月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1100 一面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は7月31日、鎌倉市役所で「救急救命士再教育病院実習にかかる派遣型ワークステーションに関する協定」を締結した。これは病院実習を行う救急隊員が、有事の際に医師とともに救急車で現場に向かい、病院前救護体制を強化することで救命率の向上を図るのが目的。締結式には松尾崇・鎌倉市長、同院の篠崎伸明院長らが出席し、さらなる連携強化を誓った。
協定書を手にする篠崎院長(右から4人目)と松尾市長(その右)
協定は救急救命士が生涯学習として行っている「再教育病院実習」を、救急車とともに救急隊員(3人チーム)ごとに派遣することで実施し、必要に応じて救急医が同乗した救急車で現場に出動、医師から直接指導・助言を受けることにより、救急技術や知識の高度化を推進する。締結式で互いの連携強化を誓う
締結式で松尾市長は鎌倉市の救急車出動件数が14年に1万件を超え、年々増加していることを明かした。今後、ますます救急需要が高まる見込みであり、そのなかに含まれる重篤な救急患者さんに対し、適切な対応が必要になると強調。「病院前救護体制の充実と強化を図ることは、市民の救命率の向上につながります。市民の安全のため、今回の協定はとても心強いです」と挨拶した。救急車の備品を確認する大淵センター長(車内右奥)
救急ワークステーション(WS)は8月7日から毎週月曜に実施し、全29回を予定。鎌倉市消防本部にある各出張所からローテーションで同院に救急隊員が派遣され、救急車は同院敷地内に待機。出動要請がかかるまで救急隊員は、さまざまなプログラムからなる病院実習に取り組み、有事に備える。救急隊員に再教育実習の内容を説明する山本医長(左)
医師が同乗するメリットについて、同院の大淵尚・救命救急センター長は救急救命士の職域を指摘する。救急救命士は静脈路の確保、医療器具を使用した気道確保、薬剤投与といった特定行為を行うことができる資格がある。病院実習では救急隊員が、搬送された患者さんへの処置をサポート
WSでの出動要請には判断基準として「(脳卒中を疑う)突然の激しい頭痛」、「喘鳴(ぜんめい)呼吸」、「多量の吐血」などキーワードが決まっている。これをふまえ通信指令室が総合的に判断して出動要請を行う。8月にWSは4回実施したが、そのうち出動要請がかかったのは2回のみ。山本医長は「始まったばかりなので、いまだ遠慮があるのかもしれません。こちらはいつ出動要請があっても対応できるよう、万全の体制を整えておきます」と胸を張る。