徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)8月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1096 一面

吹田徳洲会病院
アイセンターをオープン
医師4人体制で難治疾患対応

吹田徳洲会病院(大阪府)は7月1日、難治眼疾患にも対応可能なアイセンターを開設した。関西の眼科のリーディング病院である多根記念眼科病院から前院長、前副院長含め眼科医4人を招聘(しょうへい)し、眼疾患にかかわりの深い形成外科、耳鼻咽喉(いんこう)科も同時にオープン。最新鋭の検査・手術機器を用い、近視矯正から難治眼疾患の診療まで幅広く対応している。同院が立地する北摂(ほくせつ)地区は難治疾患の手術ができる眼科が少なく、初週から7月の外来・手術予定が次々に埋まるなど、高いニーズを見せている。

互いに評価し医療の質担保

内覧会で最新の眼科医療を見学する参加者 内覧会で最新の眼科医療を見学する参加者

眼疾患の診療は、医療機器・材料の進歩にともない飛躍的な進化を遂げており、従来は諦めなければならなかった「見えにくさ」の改善が見込めるようになっている。

吹田病院はそうした技術革新の恩恵を患者さんが受けられるよう、最新鋭の機器を導入。

7月1日には、同院で可能な治療内容や導入した医療機器を紹介するアイセンター内覧会を開催し、一般437人、医療関係者36人が参加した。一時はセンター前に順番待ちの列ができる盛況ぶりとなった。

内覧会では医療関係者らがパネルや動画を用いて眼科特有の医療機器を紹介。

具体的には、白内障治療時、従来はメスで丸く切り取っていた水晶体前嚢(ぜんのう)(水晶体の上の膜)をコンピュータ制御のレーザーにより、正円に切除可能なフェムト秒レーザー。角膜表層の混濁を高い精度で除去可能なエキシマレーザー。飛蚊(ひぶん)症(目の前をちらちらと糸のような異物が舞って見える症状)治療に有効なYAGレーザー。

ほかにも、ごく初期の加齢黄斑変性症(網膜の中心部に異常な血管が発生する疾患)や緑内障の発見が期待できる三次元眼底像撮影装置(OCTアンギオ装置)などの説明を、一般参加者らは熱心に聞いていた。

小児の近視進行予防期待

眞野センター長(中央奥)の機器の説明に耳を傾ける参加者ら 眞野センター長(中央奥)の機器の説明に耳を傾ける参加者ら

特殊な形をしたコンタクトレンズを就寝時に装着し、網膜の形を一時的に矯正することで、裸眼視力の矯正を目指すオルソケラトロジー。この治療法は、小児の近視の進行予防が期待できるとの話もでた。

同センター長の眞野富也副院長が得意とする多焦点眼内レンズによる視力矯正の説明にも感嘆の声が上がった。

従来は、白内障手術で取り除いた水晶体の代わりに単焦点レンズを眼内に挿入していたため、近くにピントが合うレンズを挿入すれば遠くが、遠くにピントが合うレンズを挿入すれば近くが見えづらく、メガネが必要だった。

医療関係者らには手術機器も詳しく紹介 医療関係者らには手術機器も詳しく紹介

しかし、厚生労働省が2008年、遠近両用レンズを眼内に挿入する手術を先進医療として認可、同レンズを用いやすくなったことから、術後の見え方を大幅に改善することに寄与。今後も、この先進医療を実施していく考えだ。

さらに、自由診療になるが、遠近だけではカバーしきれなかった中間地点(1m前後先の位置)にもピントを合わせた遠中近対応レンズも近年登場。メガネのいらない生活も夢ではなくなってきている。

オープンシステムも予定

アイセンター前に長い順番待ちの列も アイセンター前に長い順番待ちの列も

医療関係者を対象とした内覧会では手術機器も詳しく紹介。

同院ではアイセンターの医療機器を地域の医療機関が共同利用できるオープンシステムを導入する予定で、具体的な利用方法や開始時期などについて、多くの質問が上がっていた。

同院のアイセンターは白内障、緑内障や、斜視などの小児疾患、網膜剥離(はくり)や加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、涙道疾患、角膜疾患、眼瞼(がんけん)下垂や眼瞼腫瘍、眼窩(がんか)底骨折、眼窩腫瘍など眼にまつわるほとんどの疾患・外傷に対応可能だ。

所属眼科医は4人体制で、専門性が少しずつ異なっている。眞野センター長は多焦点眼内レンズを用いた白内障手術、緑内障手術、屈折矯正手術、角膜移植。張國中・副アイセンター長は涙道専用の内視鏡を用いた涙道疾患手術、白内障手術、緑内障手術、網膜硝子体(しょうしたい)手術。福井佳苗アイセンター部長は白内障手術、屈折矯正手術に加え、オルソケラトロジーを含めた小児眼疾患治療。藤井誠士郎・後期研修医は白内障手術、緑内障手術、網膜硝子体手術――と、それぞれの得意分野の視点から互いの医療を評価することで、医療の質の担保に努めている。

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