2017年(平成29年)7月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1090 三面
札幌徳洲会病院
日本で医師を目指す
韓国の医師らに現地説明会
札幌徳洲会病院は5月15日、韓国ソウル特別市内で日本の医師国家試験受験予定者向け説明会を開催した。日本で医師として働くことを目指す現地の医師27人、医学生5人が参加。このうち2人は来年4月に同院に入職する見込み。
「説明会を継続していきたい」と中川・主任部長
説明会は、すでに日本の医師国試に合格し新医師臨床研修を受ける予定の人、来年、日本の医師国試受験の予定がある人、日本で医師として働くことに興味をもっている人――が対象。32人の参加者を前に札幌病院の奥山淳院長が挨拶した後、同院研修コーディネーターの中條秀樹副主任が「日本の臨床研修制度について」、「外国の病院における臨床研修の一部を認定するための手続きについて」を説明した。
外国人が日本の医師国試を受験するためには、日本語能力試験N1(幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力)と日本語診療能力調査が基準点に到達している必要がある。後者は、日本語を用いて診療するために十分な能力を有しているか否かを調査するもので、聴く、話す、書く、読み取る、診察する能力を総合的に評価する。今回の参加者は全員日本語が堪能で、すでに両試験とも合格している参加者が多かった。
続いて、同院の臨床研修プログラム責任者である中川麗・総合診療科主任部長が「日本での研修生活」をテーマに韓国語で講演。このなかで中川・主任部長は韓国と日本の臨床研修の違いや、同院で臨床研修を経験した徐東經医師を紹介した。
それによると韓国の医師が日本で働くことを目指す理由のひとつに、全人的な医療を学びたいという要望がある。韓国では、研修医や若い医師は上級医のサポートに回ることが多く、患者さんをひとりで担当する機会が少ない。これに対し日本の臨床研修では、指導医の下で実際に患者さんを診療することが多く、診断から治療、予後の経過観察まで、すべてに責任をもてるところが、韓国の医師から好評だという。
説明に真剣に聞き入る韓国の医師・学生
徐医師に関しては、日本の医師国試合格後の2015年5月~16年11月に札幌病院で臨床研修を受けた。不安を抱えて来日したが、「医学会に参加したのも担当医として診療したのも初めてで、新しい日常を経験できました。いろいろなタイプの医師と出会えて、自分を見つめ直すきっかけにもなりました」と満足して韓国に戻り、現在は南極駐在の医師として活躍している。
最後に中條副主任が「徳洲会グループ及び札幌徳洲会病院の概要」をテーマに説明し閉会。参加者の韓国人医師は「日本で医師として働くことに、さらに興味をもちました」と笑顔を見せた。
説明会は徐医師の提案によるもので、第1回を15年12月5日に開催。これに参加した白夏林医師が、16年の夏と冬に同院を見学。白医師からも説明会開催の提案があり、白医師による事前調査で「20人以上の参加見込みがある」とわかり、第2回を開催するに至った。
説明会開催により、参加者から同院への見学・実習の申し込みが増えている。すでに1人が見学を行い、来年度の入職を考えている。同じく白医師も内定しており、ともに来年、日本の医師国試を受験する予定だ。
韓国の医師を受け入れることは同院にもメリットがあることを、中川・主任部長は強調する。「徐医師から学んだことは非常に多く、研修に来てもらえて本当に良かったと思っています。自分では当たり前だと思っていたことを徐医師に指摘され、あらためて考え直すきっかけになりました」と振り返り、さらに「臨床研修プログラムのブラッシュアップもできました」と目を細める。
第1回説明会に比べ、今回は参加者が約3倍に増加したことを受け、中川・主任部長は「日本で医師として働きたいと考える韓国の医師は増加傾向にあると思います。これからも年に1回は説明会を実施したいと思います」と継続の意向だ。