徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)7月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1090 一・二面

韓国 京福大学校
看護学生が日本で初実習
徳洲会病院・施設に1期生20人

韓国・京福大学校医療保健学部看護学科「徳洲会クラス」の看護学生20人(4年生)が7月3日に来日し、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)と湘南鎌倉総合病院(同)で臨地実習を開始した。来日した20人は2014年に開設した同クラスの1期生で、徳洲会病院で実習を行うのは今回が初めて。両院以外にも特別養護老人ホーム(かまくら愛の郷、つるみね)、介護老人保健施設(リハビリケア湘南かまくら、茅ヶ崎浜之郷)、訪問看護ステーション(愛心、茅ヶ崎駅前)で実習。実習期間は14日まで。

2019年に看護師として入職

日本での初実習に意欲を見せる京福大学生と徳洲会関係者 日本での初実習に意欲を見せる京福大学生と徳洲会関係者

実習スケジュール(5人×4グループに分かれて実施。下記のスケジュールは一例)

1週目
(病院)
7月3日
(月)
来日(羽田空港着)
合同オリエンテーション
4日
(火)
施設別オリエンテーション
病棟(外科)
5日
(水)
外来・ER
透析センター
6日
(木)
病棟(内科)
7日
(金)
日帰り手術センター
手術室
8日
(土)
病院見学
9日
(日)
休日
2週目
(施設系)
10日
(月)
老健
11日
(火)
12日
(水)
特養
13日
(木)
14日
(金)
訪問看護ステーション
15日
(土)
帰国
京福大学校の徳洲会クラスは徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念に基づくケアを実践し、世界に通用する看護師の育成を目的とする。同クラスを卒業し韓国の看護師免許を取得後、徳洲会病院・施設でのインターンを経て、日本の看護師国家試験に合格した者が入職。1期生は2019年に看護師として入職する。徳洲会は国籍を問わず優秀な看護師を育成・採用する一環として、京福大と提携し同クラスの開設・運営に協力している。

同クラスの学生は韓国内の病院での実習に加え、4年時に「国際看護実習」として日本を訪れ徳洲会病院・施設で実習を受ける。今回、来日した20人は3日に湘南藤沢病院で全員そろってオリエンテーションを受け、4日から湘南藤沢病院と湘南鎌倉病院に10人ずつに分かれ実習をスタートした。10日からは介護施設での実習も行う(スケジュール表参照)。京福大のキム・ソンジェ教授とクォン・スンヒョク教授が学生を引率した。

「感染予防がしっかり」

ER から病室へ移された患者さんの処置など見学(左が実習生) ER から病室へ移された患者さんの処置など見学(左が実習生)

「失礼します。今日から韓国の看護学生が実習に来ています。見学させていただいてもよろしいでしょうか」。湘南藤沢病院の実習指導者のひとりである藤原裕太看護師が患者さんに挨拶して承諾を得ると、バン・スヨン実習生が一歩進み出て「よろしくお願いします」と一礼した。

ここは同院6階にある脳神経外科、泌尿器科、形成外科の混合病棟の一室だ。4日午後、病棟の設備や配置などひととおりの説明を受けた後、病棟実習が始まった。この病室に入院しているのは、翌日に内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」による前立腺全摘術を予定している患者さん。

バン実習生は森本麻美看護師と行動をともにし、術前処置に用いる下剤の用意の仕方などを見学。スタッフステーション内にある施錠された病棟ストック薬の保管庫から薬品(下剤)を取り出し、薬品使用時の書類への記入や、ダブルチェックのため他の看護師に確認のサインをもらう場面を目の当たりにした。森本看護師は一つひとつの動作のたびにジェスチャーを交えながら丁寧に手順を説明。このあと、粉末状の薬品を水で溶かし、コップで飲める状態にしてから、ふたりは患者さんのいる病室に向かった。

体位変換やおむつ交換を見学 体位変換やおむつ交換を見学

ミン・ジョンア実習生は藤原看護師に同行し採血を見学。血液中に細菌がいるかどうかを調べるための検査で、外部からの細菌の混入を防ぐ無菌操作をともなう採血の様子を真剣なまなざしで見ていた。イム・チャンヒ実習生はER(救急外来)から病室に移された患者さんへの処置や家族への説明の場面に立ち会った。チェ・ダスル実習生やイ・スンヒ実習生、ソ・グンジュ実習生、キム・ジュヨン実習生、キム・ミヒ実習生らも7階の一般外科病棟で、実習指導者の森巨樹看護師らに同行し、体位変換やおむつ交換などを見学した。

実習終了後、1日を振り返るカンファレンス(質疑応答)を実施。イ・ジウン実習生が進行役を務め、学んだことや印象などを一人ひとり報告した。「院内がとても清潔で感動しました」、「実習指導の看護師の方たちがとても丁寧に教えてくれました」、「感染予防がしっかりとなされていて学ぶべき点が多いと感じました」といった感想が挙がっていた。

「チーム医療学びたい」

患者さんへの処置を真剣な表情で見入る 患者さんへの処置を真剣な表情で見入る

湘南鎌倉病院ではパク・ソジョン実習生、キム・ソンヘ実習生、イ・ハンギョル実習生、イ・イェウン実習生、キム・ヘジン実習生が14階の内科系病棟(血液内科、腫瘍内科)で、ムン・ジェヒ実習生、ジャン・インソン実習生、キム・ジヨン実習生、キム・ジャヨン実習生、イ・ジェウン実習生が10階の外科系病棟(外傷整形外科)で、それぞれ実習を行った。

どちらの病棟も設備や備品、薬剤を扱う際のルールの説明から開始。薬剤を扱う際、ダブルチェックを必ず実行していることを見学した実習生は、安全意識の高さに感心することしきりだった。また、電子カルテを触ったことがなかったため、電カルシステムに興味津々。同院では患者情報の引き出し方、カルテの自動チェック機能など時間をかけて説明した。

病棟での説明には内科系では薬剤師、外科系では理学療法士も参加。韓国の病院では同じ病棟内で他職種のスタッフ同士が一緒に仕事をすることがほとんどないため、湘南鎌倉病院で「チーム医療を学びたい」と語る実習生が多かった。どのように多職種が連携しているか興味深く聞いていた実習生は「チームで動くから効率的です。患者さんにも優しく接していました」、「スタッフが慌てていなく、いつでも穏やかなのが良かったです」と感想を語っていた。

湘南鎌倉病院では韓国籍の看護師(手前)が電子カルテについて説明 湘南鎌倉病院では韓国籍の看護師(手前)が電子カルテについて説明

実習後にはカンファレンス(質疑応答)を実施。実習責任者の中山美加・看護師長は医療安全について「当院は国際的な医療機能評価であるJCI認証を取得しています。ダブルチェックなどの決まりは明文化していますが、患者さんに安全・安心な医療を提供するためには必要なことです」と説明した。

チーム医療の捕足として、外科系病棟を回った班の実習指導者である佐藤千尋看護師が、同院のリハビリカンファレンスを紹介。同カンファレンスは医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW(医療相談員)が参加し、入院直後から退院に向けて検討していることを強調した。「入院前は布団で寝ていたのに退院後はベッドを使うことを余儀なくされるなど、生活が変わる患者さんもおられるので、なるべく早くから退院に向けて動き出すことが大切です」という説明に、実習生は深くうなずいていた。

同院のオープンカウンター式のナースステーションについても意見交換。実習生の一人は「韓国にも、この形式は多いです。患者さんと家族がスタッフに話しかけやすくて良いと思います」と感想を話した。佐藤看護師は「薬剤師やリハビリスタッフの動きが見えやすいのもメリット。お互いの動きを見ることで、気遣いながら仕事ができます」とチーム医療に絡めて持論を展開した。

今後の実習について内科系病棟を回った実習生から「外科系病棟では手術前後の管理を見学したい」といった要望が挙がった。初日の締めくくりに中山・看護師長は「ぜひ、いろいろな職種とコミュニケーションを取ってください」とエールを送った。

合同オリエンテーション
歓迎ムード一色
“断らない医療”アピール

「徳洲会は“断らない医療”を実践しています」と篠崎・副理事長 「徳洲会は“断らない医療”を実践しています」と篠崎・副理事長

京福大学校の看護学生一行は7月3日午前、韓国・ソウル市の金浦空港を飛び立ち、東京・羽田空港に到着。その足で湘南藤沢病院に移動。昼食をはさんだ後、早速、オリエンテーションを受けた。

「徳洲会グループを挙げて歓迎します」と遊佐・常務理事 「徳洲会グループを挙げて歓迎します」と遊佐・常務理事

冒頭、一般社団法人徳洲会の遊佐千鶴・常務理事が「徳洲会グループを挙げて歓迎します。現場のスタッフも心待ちにしていました。有意義に過ごしてほしいと思います」とエールを送った。同院の宗像博美院長と梶原聖治事務長も駆け付け歓迎の挨拶を述べた。

日本の医療保険制度などを解説する佐々木部長 日本の医療保険制度などを解説する佐々木部長

このあと徳洲会看護部門教育部会責任者である同院の八木沼正子・看護部長が国際看護学を学ぶ意義とその必要性をテーマに講義。続いて徳洲会看護部門の佐々木和子部長が日本の医療と看護をテーマに、医療保険制度やチーム医療の重要性などを解説。

国際看護学をテーマに講義する八木沼・看護部長 国際看護学をテーマに講義する八木沼・看護部長

医療法人沖縄徳洲会の篠崎伸明・副理事長(湘南鎌倉病院院長)は歓迎の言葉を述べるとともに、徳洲会グループの全体像を説明。「徳洲会は“断らない医療”を実践し、救急医療、災害医療、先進医療、慢性期医療など幅広い医療に取り組んでいます」とアピールした。

その後、介護保険と介護報酬、高齢者入所施設の看護と介護、訪問看護師の役割などをテーマとするレクチャーをそれぞれ担当者が行った。

「一緒に仕事をする日が楽しみ」

全体朝礼で挨拶するひと幕も 全体朝礼で挨拶するひと幕も

合同オリエンテーションを行った翌4日の午前中、実習生はそれぞれ湘南藤沢病院と湘南鎌倉病院の全体朝礼に出席、挨拶した後、病院ごとのオリエンテーションに参加した。

湘南藤沢病院では八木沼正子・看護部長が同院の概要を紹介。病院の規模や患者数、医療機器、立地環境などに加え「その人らしさを尊重し、思いやりの心で根拠に基づいた的確な看護を提供する」という同院看護部の理念や教育体制を紹介。災害医療への注力や院内保育園などにも触れた。

続いて医療安全をテーマに、医療安全管理室の油谷明美師長が講義を行った。油谷師長は「“生命を安心して預けられる病院”という徳洲会の理念の実践のため、職員全員がリスクマネジメントに取り組むことが重要です」と強調。また、国際的な医療機能評価であるJCI認証が求めるIPSG(国際患者安全目標)や、同院の医療安全の取り組みなどを紹介した。このほか、個人情報管理や火災対応、感染管理をテーマにそれぞれ担当者が説明した。

湘南鎌倉病院のオリエンテーションでは冒頭、篠崎伸明院長が挨拶。「私たちが最も気を付けているのは安全、安心な医療です。患者さん第一主義をモットーに日々の診療を実践しています」と同院について紹介し、「一緒に仕事ができる日を楽しみにしています」と期待を込めた。

「目標を達成できるように頑張ってください」と湘南鎌倉病院の康・看護部長 「目標を達成できるように頑張ってください」と湘南鎌倉病院の康・看護部長

続いて康明子・看護部長が同院の概要を説明した。看護提供体制や医療安全、感染対策などの説明の後、将来展望にも言及。この3年のうちに、救命救急センターと外傷センターを併設した施設、さらには、がんセンターを建設する予定であることを明かした。

新人看護教育では3Mを目標に内科・外科・クリティカル系の3部署を経験することを説明。3MとはMate(仲間をつくる)、Motivation(動機付け)、Motion(行動する)。康・看護部長は「目標をもって当院に勉強に来ていると思いますので、達成できるように頑張ってください」と応援メッセージを送った。

その後、2班に分かれ、それぞれの実習指導者を柳澤真紀子看護師、佐藤千尋看護師が担当。内科系、外科系の病棟に分かれ、オリエンテーションを実施、病棟の目的やルールなどを共有し、実習に備えた。

実習生インタビュー

感動与えられる看護師に

イ・ドヨン実習生 イ・ドヨン実習生

実習を通じて、ひとつでも多くのことを学び、吸収したいと思っています。私は以前、韓国で手術を受けたことがあり、その時、看護師さんが手を握ってくれ安心したことをよく覚えています。私も小さなことでも感動を与えられる看護師になりたいです。また、患者さんの目線に立ち親近感や安心感を与えられるようになりたいです。

スペシャリスト目指す

イム・チャンヒ実習生 イム・チャンヒ実習生

人の役に立てる仕事をしたいと考えて看護師を目指しています。看護師にも感染や救急、手術など、さまざまな専門分野がありますが、私も特定の道を究めたスペシャリストになりたいと思っています。病院の雰囲気がとても良く、患者さんへの愛情がとても感じられ、この病院(湘南藤沢病院)で働きたいと強く思いました。

チーム医療が素晴らしい

キム・ジャヨン実習生 キム・ジャヨン実習生

近い将来、自分が働く職場を見学できて良かったです。院内の雰囲気も良く職員の方々も優しくて期待以上でした。今回の実習では、まだ韓国ではなじみのないチーム医療を学びたいです。多くの職種で1人の患者さんのことを考えるのは素晴らしいと思います。将来はICU(集中治療室)で働くのが夢なので、しっかり勉強します。

高齢者看護を修得したい

イ・イェウン実習生 イ・イェウン実習生

日本語はまだ難しいですが、今回の実習を楽しみにしていました。韓国でも高齢化が進んでいるので、日本の高齢者看護をしっかり学びたいと考えています。今回は病院だけでなく、いろいろな施設を経験できるのがとても楽しみです。将来は日本に限らず、途上国での災害救助などにも携わりたいと思います。

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