徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)4月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1079 四面

中部徳洲会病院
地域災害拠点病院に指定
災害に強いまちづくりに貢献

中部徳洲会病院(沖縄県)は沖縄県から地域災害拠点病院の指定を受けた。同拠点病院は災害発生時に、傷病者の受け入れや搬出、災害医療チームの派遣や受け入れなど災害医療活動の中心的な役割を担う。同院は昨年4月に沖縄市から北中城(なかぐすく)村に新築移転し、免震構造の採用や屋上ヘリポートの完備など旧病院から防災機能を飛躍的に向上。災害時の医療拠点として地域から大きな期待が寄せられている。

徳洲会グループ5施設目

地域災害拠点病院の指定書を掲げる伊波院長(前列右から2人目) 地域災害拠点病院の指定書を掲げる伊波院長(前列右から2人目)

地域災害拠点病院の指定書交付式が3月14日、沖縄県庁で行われ、中部徳洲会病院の伊波潔院長や眞玉橋顕一事務長らが出席した。同院のほかハートライフ病院、中頭病院の2病院が同時に同拠点病院の指定を受けた。

交付式では沖縄県保健医療部の砂川靖部長が冒頭、「地域災害拠点病院は自らが被災したとしても診療機能を喪失することなく、迅速に災害医療を再開し、他の医療機関の支援も行うなど、災害時の医療救護活動の中核をなす病院です」と説明。

続けて「県内にはこれまで(基幹災害拠点病院1施設を含め)8病院が災害拠点病院の指定を受けています。しかし、県内人口の35%が生活する中部医療圏には1病院しか指定されていませんでした。今回、中部医療圏の3病院を新たに指定することができ、大変心強く思っています」と期待感をにじませた。

災害拠点病院には、二次医療圏に原則1カ所設置する地域災害拠点病院と、都道府県に1カ所設置する基幹災害拠点病院の2種類ある。地域災害拠点病院を機能強化したのが基幹災害拠点病院だ。2016年4月1日時点で災害拠点病院は全国に712病院(基幹62病院、地域650病院)。

指定書の交付を受ける伊波院長(右) 指定書の交付を受ける伊波院長(右)

沖縄県内では、これまで8病院が指定を受けており、今回の3病院の追加で11病院に増加。徳洲会グループで地域災害拠点病院の指定を受けたのは、中部徳洲会病院で5施設目だ(表)。なお、沖縄県内には現在、DMAT(厚生労働省が認めた専門的な研修・訓練を受けた災害派遣医療チーム)が17チーム存在し、このうち1チームは中部徳洲会病院だ。

交付式では伊波院長が中部徳洲会病院を代表して挨拶に立ち、「当院が所在する北中城村が進めている“災害に強いまちづくり”を発展させていくために、災害拠点病院の指定取得は必要な取り組みでした。地域の方々と合同の災害訓練を定期的に開催するなど、いつ発生するかわからない災害に備えていきたい」と意欲を見せた。

中部徳洲会病院があるエリアは、もともと在日米軍専用のゴルフ場で、敷地は10年に日本に返還。その後、全体で東京ドーム10個分(約48ha)という広大な跡地を利用し、同村が「環境、健康、観光」をキーワードに再開発を進めている。

徳洲会グループの地域災害拠点病院

病院 指定時期
白根徳洲会病院(山梨県) 2014年2月
宇治徳洲会病院(京都府) 2015年4月
福岡徳洲会病院 2016年4月
岸和田徳洲会病院(大阪府) 2016年8月
中部徳洲会病院(沖縄県) 2017年3月
その一環で同院の隣には沖縄県最大規模の商業施設「イオンモール沖縄ライカム」が15年4月にオープンし、19年には同じエリア内に多目的アリーナが完成予定。この地区は大規模災害時の拠点(医療、物流、避難所)として位置付けられ、地域から大きな期待が寄せられている。将来的には同院、イオンモール、多目的アリーナを空中回廊でつなぐ計画がある。

中部徳洲会病院は1988年の開院以来、救急医療を中心に地域医療の充実に尽力。災害医療活動も熱心で、NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)やDMATの派遣に積極的に取り組んできた。16年の新築移転では、建物を免震構造とし、手術室を7室から10室に、ICU(集中治療室)を8床から10床に増床し、救急センターは広さを従来の3倍に拡張、同時に最大7人までの救急搬送患者さんの収容が可能になった。

屋上のヘリポートは災害時には自衛隊ヘリ(22tまで)の着陸も可能。このように新病院は災害時にも力を発揮できる設計・建築が特徴だ。

交付式への出席を終えた伊波院長は「当院の方向性としても、このエリアを防災拠点と位置付ける地域の要望としても、当院の災害拠点病院の指定取得は望まれていたことでした」と語った。

事業継続計画策定へ

「地域災害拠点病院の指定取得に向け、昨年8月以降、県との調整を進めてきました」と眞玉橋事務長 「地域災害拠点病院の指定取得に向け、昨年8月以降、県との調整を進めてきました」と眞玉橋事務長

災害拠点病院は、多発外傷や挫滅(ざめつ)症候群など災害時に多発するおそれのある重篤な救急患者さんを受け入れ、救命するための診療機能をはじめ、DMATの受け入れ、傷病者の広域搬送を実施できる体制を有するなど、災害時に拠点的な役割を果たすことが求められている。

指定を受けるには、大規模災害時にも病院機能を維持できる施設・設備が欠かせない。高い耐震性能をはじめ多数の患者さんを収容できるスペース、電力供給が断たれた場合に備えて非常発電設備や燃料の備蓄、食糧・飲料水・医薬品の備蓄、衛星電話など通信環境の整備のほか、原則として病院敷地内にヘリコプターの離着陸場をもつことが必要だ。このように運営面、設備面の双方で厳しい条件を満たさなければならない。

「地域と行政が一体となって災害に強いまちづくりを推進するなかで、医療拠点を担う当院としては、新築移転を機に屋上ヘリポートの構想を実現するなどして、地域災害拠点病院の指定取得を目指してきました。昨年8月以降、指定取得に向けて、申請に関して県の担当部局との調整を重ねてきました」と、県との折衝など実務を担当してきた眞玉橋顕一事務長は振り返る。

災害に備え地域を巻き込んだ防災訓練を実施することも、災害拠点病院に期待される役割のひとつ。眞玉橋事務長によると、新築移転後、すでに地域住民の方々を支えた災害訓練を実施。大型台風で土砂崩れが発生し、同院に多数の傷病者が訪れてくるという想定の下、トリアージ(重症度・緊急度の判定)や、公民館への避難、炊き出しなど、発災以降の動きを確認する内容だった。

「実際の動き方をシミュレーションすることができて、大変有意義な訓練を地域の方々と行うことができました」(眞玉橋事務長)。今後も定期的に実施していきたい考え。そのほかにも同院は新築移転以降、部署ごとの防災訓練を積極的に実施するなど力を入れている。

呉屋済仁・事務部長は「想定される災害は地震や津波といった自然災害のほか、米軍基地が多いという地域柄、航空機の事故なども念頭に置いています。今後30年間のうちに沖縄で震度6以上の地震が発生する可能性は30%前後にも上ると指摘する専門家もいます。災害対応に関しても地域としっかり連携を取りながら進めていきたいと考えています」と話している。

中部徳洲会病院は今後、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画=自然災害など緊急事態の発生時に、中核事業の継続や早期復旧を可能にするための方法・手段を取り決めておく計画)を策定するなど、病院を挙げて災害対応力の強化に努めていく方針。

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