徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2016年(平成28年)9月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1049 三面

徳洲会小児科部会
希少症例経験を共有
特別講演で糖質制限食

徳洲会グループ小児科部会は8月20日から2日間、中部徳洲会病院(沖縄県)で第6回症例発表会を開催、希少症例の治療経験などを共有した。特別講演には糖質制限食の普及に努める宗田マタニティクリニックの宗田哲男院長を招聘(しょうへい)し、糖質に代わり得るエネルギー源としてケトン体を紹介。特別講演はグループ外の医療機関からも多数の医療者が参加し、50人以上が会場を埋めた。

新里・新部会長(前列中央)の下、結束を固める小児科部会 新里・新部会長(前列中央)の下、結束を固める小児科部会

部会では新部会長を選出。神戸徳洲会病院の水戸守壽洋副院長に代わり、中部病院の新里勇二・副院長兼小児科部長が新たに同部会長に就任した。新里部会長は「部会は継続が大切だと思います。引き受けたからには責任もって努めたい」と笑顔で所信表明。

1日目の特別講演では宗田院長が実際の治療例を引き合いに、糖尿病患者さんにはカロリー制限食ではなく糖質制限食を提供するよう推奨した。同院では妊娠糖尿病患者さんに糖質制限食を提供、栄養指導も実施したところ、インスリン投与なしで管理可能となり、帝王切開率も減少したという。

厳密な糖質制限を続けると、肝臓が脂肪酸を原料に産生するケトン体が増加する。従来、このケトン体は身体の酸性化を招く物質であり悪影響を及ぼすと考えられてきたが、宗田院長は「インスリンが正常に機能(インスリン投与含む)していれば、ケトン体は身体に悪影響を及ぼしません」と指摘。むしろケトン体は糖質に代わって脳などのエネルギー源となり得る物質であり、糖質をほとんど摂取しなくても十分にエネルギーは確保できると強調した。

同院では妊婦さんや新生児だけでなく胎児のケトン体も測定、全例で成人基準値より高かったことから、ケトン体は胎児の栄養源である可能性も示唆した。

ケトン体が身体のエネルギー源となり得ることを示唆する宗田院長 ケトン体が身体のエネルギー源となり得ることを示唆する宗田院長

新里部会長は「これまでの常識を覆す講演内容でした」と、自身も勉強し、知識を深めていく考えだ。

2日目の症例検討会では5病院が8演題を発表、うち3題は研修医が登壇した。千葉西総合病院の陶山友徳2年次研修医は、珍しい小児の痛風例を提示。疼痛(とうつう)を訴える場所が通常の拇趾(ぼし)(足の親指)関節ではなく足首であったこと、小児の痛風は報告例がほとんどないことなどから、当初は膠原(こうげん)病や関節炎など疑ったが、関節腔(くう)から基準値より高い尿酸値を検出。問診から偏った食生活が判明し痛風と診断、その後は栄養指導で改善した。

陶山研修医は、「小児でも食生活の乱れなどにより、痛風はあり得ます」と注意喚起。会場からは、非常にまれな症例だけに、ほかに原因はなかったか、より詳細な検討を要請する声が上がっていた。

福岡徳洲会病院の田尻崇人1年次研修医は仙腸関節炎の1例を紹介。患者さんは腰背部に激しい痛みを訴えており、当初は左腸腰筋炎を疑ったが、骨シンチグラフィ(放射性同位元素を用いて骨の代謝状態を確認する検査)で、左仙腸関筋炎であったことがわかった。

同疾患は初期に多くの症状が見られるため「早期診断が非常に困難です」と田尻研修医。そのうえで、確定診断に骨シンチグラフィと、MRI(磁気共鳴画像診断)を用いたDWIBS(ドゥイブス)(全身MRI撮影法)が有用であったことを報告した。

福岡病院の東泰幸2年次研修医も小児の肺縦隔疾患の4症例を引き合いにDWIBSの有用性を紹介。肺縦隔疾患の診断では、DWIBSは、①3D画像で心臓の裏側の病変も検出できる、②全身画像を得られるため、複数臓器を一度に確認することができる、③肺炎と無気肺の鑑別が可能――などのメリットがある。

一方、CT(コンピュータ断層撮影装置)に比べ画像が不鮮明である、炎症と腫瘍性病変の鑑別が困難などの問題点もあり、東研修医は「他検査との併用で診断精度が高まると思います」とまとめた。

次回の部会は、榛原総合病院(静岡県)で開催の予定。

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