徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2016年(平成28年)7月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1038 三面

徳洲会 多彩なテーマで36演題
日本透析医学会学術集会・総会

第61回日本透析医学会学術集会・総会が6月10日から3日間、大阪府で行われた。メインテーマは「持続可能な透析療法をめざして」。徳洲会は36演題を発表。口頭発表の概要を紹介する。

シンポジウム

倫理的な問題を常に含有

石原文緒・透析看護認定看護師 札幌徳洲会病院

「透析拒否を繰り返した維持透析患者との関わりを『看護倫理』をもとに考察する」透析の拒否を繰り返し、思いを把握・理解して看護につなげられないまま、十数年にわたる透析の末に他界した患者さんのケースを紹介。「透析拒否」という表面的な事態にとらわれるのではなく、価値観の対立やその要因を考え、とるべき行動について患者さんとともに考える必要があったと振り返った。

石原看護師は生活と治療が密接に関連している透析では、患者さんにとっての「最善」に絶対的な正解がないことを示唆。「腎不全保存期から、非導入を含めた治療法の選択、透析導入期、透析維持期、終末期に至るまで倫理的な問題を常に含有している」と指摘した。

そのため、患者さんを理解する努力を続けることや、先を見すえて“点のかかわり“で終わらないことの大切さを訴え、それらが個人にとどまらず、組織や制度の側面からも支えることが「倫理的な支援につながっていくのではないでしょうか」と締めくくった。

地域連携のポイントを解説

鹿児島病院の松本医長は自施設の取り組みを紹介 鹿児島病院の松本医長は自施設の取り組みを紹介

松本秀一朗・腎不全外科医長 鹿児島徳洲会病院

「鹿児島県における腹膜透析地域連携の取り組み~3年間で120例の導入経験の背景~」2012年5月から腹膜透析に取り組み15年末までに導入した120例をふまえ、地域連携を築く際の工夫や訪問看護ステーションとの連携ポイントなどを説明した。

はじめに鹿児島県の特徴として離島・へき地や高齢独居者が多いことを紹介。松本医長は腹膜透析の適応患者さんが多いと予測し、安定した腹膜透析医療を提供するうえで、地域の医療機関、訪問看護ステーション、介護施設との連携関係の構築が最重要課題と認識。腹膜透析の導入決定時点で、退院経路の検討を開始し、円滑な連携を図っていることを明かした。

12年5月当時は連携先がなかったが、現在では14カ所の訪問看護ステーション、30カ所以上の介護老人保健施設と連携している様子を強調。連携先を増やす努力として、多職種(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・医療事務など)による出張勉強会などを行っている。

「在宅や地域でのライフスタイルの継続が可能となり、患者さんにとって満足度の高い腎代替療法が提供できるようになっています」とまとめた。

早期発見の重要性強調

小林修三・腎臓病総合医療センター長 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)

「無症候性PAD~早期発見と治療戦略」透析患者さんのPAD(下肢末梢血動脈疾患)には、①高い有病率、②病変が血管石灰化と、下肢のより末梢にあるため治療に難渋点、③下肢切断を介した死亡率の高さ、④無症状期を経て急な潰瘍出現での発症――などの特徴が見られ、症状が見られない時期に早期発見する重要性を指摘。透析患者さんの下肢切断率や切断した場合の1年死亡率など、裏付けるデータを示しながら説明した。

治療戦略としては「積極的な血行再建は必須」としながらも、NST(栄養サポーチーム)やリハビリテーションなどを含め「集学的治療とすべき」と指摘。また透析患者さんの場合、一度、潰瘍が現れると治療に難渋し、下肢切断後の生命予後が著しく不良となるため、自院で実践しているフットケアの様子を紹介。

潰瘍の発生件数が明確に減少していることを示し、早期診断とともにフットケアを含めた適切な治療を行う重要性を強調した。

一般演題

「持続可能な透析療法をめざして」をテーマに多くの医療関係者が参加 「持続可能な透析療法をめざして」をテーマに多くの医療関係者が参加

湘南鎌倉病院は7人が発表。持田泰寛・腎免疫血管内科医長は「透析アミロイドーシスによる副腎不全と考えられた1例」。長期透析患者さんに低血糖を合併した場合はDRA(透析アミロイドーシス)による副腎不全も考慮する必要性を指摘し、皮膚生検が診断に有用だったと報告した。石岡邦啓・腎免疫血管内科部長は「腹膜透析(PD)患者の僧帽弁石灰化(MC)新規発症の予測因子についての検討」と題し、PD導入前の虚血性心疾患既往例、baPWV高値、 LDL―C高値は新規MC発症の予測因子となる可能性を示唆。

日髙寿美・血液浄化部長は「赤血球造血刺激因子製剤の差異がCD34+細胞数に及ぼす影響」。長時間作用のCERA製剤と短時間作用のエポエチンベータの2剤でCD34+細胞数の変化を比較した結果、CERAには増加効果があり、心血管疾患合併の多い透析患者さんに良好な影響を及ぼす可能性を示唆。大竹剛靖・腎免疫血管内科主任部長は「重症下肢虚血(CLI)を有する血液透析(HD)患者に対する膝下血管内治療(BK―EVT)+LDLアフェレシス(LDLA)併用療法の有用性」。EVT単独に比べ、EVT後早期の短期間LDLA併用のほうが有意に改善する可能性を示した。

塩野恵美子・看護副主任は「アフリカ諸国への透析支援」をテーマに、徳洲会がアフリカ17カ国に血液透析支援を行ってきた様子を紹介。現地の課題や対応策を示した。古田直幹看護師は「透析患者に対する運動療法はTUG(Time up and go test)を改善する」。透析患者さんに運動療法を導入した結果、TUGは有意に改善。転倒予防につながるとした。高室昌司・ME室技士長は「混合水の供給条件が起因と推測される透析用RO膜汚染の1例」と題して、井水と上水を混合して使用する場合、供給条件が透析液水質に影響を及ぼすことを警鐘事例として報告した。

大垣徳洲会病院(岐阜県)は4題を発表。野口享秀・透析センター名誉顧問は「糖尿病透析患者の血糖コントロールについて~透析センターにてインスリンデグルデクを使用して~」。認知症・視力障害や高齢のため自己注射が難しい患者さんに透析センターで週3回、看護師がインスリンデグルデクを注射したところ、血糖が有意に改善したことを報告した。

山本都夢・臨床工学技士は「透析前後によるSPP測定の検討」。動脈硬化症の患者さんの場合、透析後のほうが有意にSPP(皮膚潅流圧)値が低下。閉塞性動脈硬化症のスクリーニング検査は透析終了後に行うと、より正確な数値が得られる可能性を指摘した。久富俊宏・臨床工学科主任は「緊急シャント閉塞症例に対しダブルルーメンカテーテルを用いずに透析を行う方法」として、シャント閉塞時に吻合部直下へエコー下穿刺することでダブルルーメンを用いない透析が可能となり、医師不在の場合も透析が施行できることを示唆。中川紀子・臨床工学科副主任は「血液透析患者におけるクエン酸第二鉄水和物の長期使用経験」。CKD―MBD治療(慢性腎臓病による骨・ミネラル代謝異常)でクエン酸鉄第二鉄水和物を投与し持続型赤血球刺激因子製剤の使用量低下につながる有用性を報告した。

鹿児島病院は3題を発表。泉知美看護師は「腹膜透析における公衆浴場利用について」。感染リスクは低いと考えられるものの、患者さんの心理的障壁を課題と指摘した。益満美香看護師は「腹膜透析地域連携における病院看護師と訪問看護師のロールマネジメント」。トラブル対応の共通化などを図り満足度の高い訪問看護師による腹膜透析が継続できることをアピールした。城山良輔・臨床工学技士は「ショックバイタルの重度高カリウム血症に対し腹膜透析とCHDFを併用した1例」を報告。CHDF(持続血液透析濾過法)との併用療法は有効なオプションと示唆。

中部徳洲会病院(沖縄県)の林真奈美看護師は「透析患者におけるシャント閉塞低減への支援~シャントトラブルスコアリングを活用した効果~」を発表。STSを用いたことでシャント閉塞の早期発見につながり、スタッフの意識も高まった。札幌南青洲病院の眞野勉副院長は「当院における12年間の維持血液透析死亡患者の解析」。悪性腫瘍の場合、早めに透析を中止する傾向などを示した。このほか、千葉西総合病院が2題発表した。

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