徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)12月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1523 1面

第1回徳洲会国際再生医療シンポジウム
最先端研究の基礎から臨床応用まで共有
国内外から延べ1100人超が参加し白熱議論

一般社団法人徳洲会は12月12日から2日間、神奈川県の湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)で「第1回徳洲会国際再生医療シンポジウム in 鎌倉」を開催した。テーマは「The Evolving Frontier of Regenerative Medicine(再生医療の最先端研究)」。再生医療分野の国内外の第一人者が集結し、21演題の講演と活発なパネルディスカッションを実施。2日間で現地参加者は延べ167人(うち海外から28人)、WEBでの参加者は延べ945人(うち海外から約300人)に達し関心の高さが伺えた。

「議論を深化させ研究者間コンセンサスを形成したい」と浅原大会長 現地には2日間で延べ160人超が参加し議論が白熱 日本の「メガ医療グループ」として担うべき使命を力強く語る東上理事長 再生医療分野の国内外の第一人者が集結し交流 シンポジウム終了後に湘南鎌倉病院見学ツアーを実施

同シンポジウムの大会長は浅原孝之・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)湘南先端医学研究所副所長兼再生医療開発研究部長、主催者は東上震一理事長、実行委員長は小林修三・湘南鎌倉病院院長が務めた。

初日の冒頭、浅原大会長は「本シンポジウムはクリスマスマーケットでの何気ない会話から生まれました」という逸話を披露しつつ、とくに血管内皮生物学の議論を深化させ、研究者間のコンセンサスを形成することを開催の趣旨として挙げた。東上理事長は、徳洲会グループが日本の「メガ医療グループ」として担うべき使命を力強く語り、とくに基礎研究分野への貢献に強い意欲を示したうえで、今回のシンポジウムがその重要な一翼を担うことへの期待を寄せた。

初日のセッション1「これからの再生医療」では、臨床応用が目前に迫る最先端の研究が集結。このうち落谷孝広・東京医科大学医学総合研究所未来医療研究センター分子細胞治療研究部門特任教授は、エクソソーム(細胞間の情報伝達を担う微小粒子)について講演した。

細胞が分泌する物質を利用する「細胞フリー治療」という革新的なアプローチに言及。具体的には、成熟した肝細胞に3種類の低分子化合物を作用させることで、多分化能をもつ肝前駆細胞(CLiPs)を誘導する技術を確立したことを報告。さらに、このCLiPsが分泌する微小なカプセルであるエクソソームが、肝線維症モデル動物で、強力な抗線維化作用を発揮することを明らかにした。

この成果は、従来の細胞移植治療が抱える課題を克服し、より安全で安定した再生医療を実現する可能性を秘めている。

セッション2「世界の血管再生」では、最初に浅原大会長が登壇し、今日の血管再生医療の礎を築いた細胞ベースの研究の原点と、その進化の歴史を説明した。議論の出発点となったのは、師であるジェフリー・M・イスナー博士が提唱した「血管新生療法」の概念。この思想を受け継ぎ、浅原大会長は1997年に血管内皮前駆細胞(EPC)を発見し、再生医療の世界に新たな扉を開いた。

その後、EPCの定義をめぐり、とくに血管を構成する能力がきわめて高い血管内皮コロニー形成細胞(ECFC)と、サイトカインなどを通じて血管新生を補助する造血幹細胞由来のEPCとの違いなど、科学的な論争が生じたことにも言及。現在は機能が低下した患者さん自身のEPCの機能や数を向上させるための新たな技術開発が進められるなど、臨床応用に向け着実に進んでいることを示した。

続いて、アマンケルディ・サルベコフ湘南先端医学研究所主席研究員は、最新のシングルセル解析技術を駆使し、胎生期における血管と造血細胞の共通の起源や、組織に常在するEPCの存在、さらには内皮細胞がもつ多様性を臓器ごとに明らかにしつつある研究成果を解説した。

2日目のセッション3「アジア細胞治療の現在」では、がん免疫療法からiPS細胞を用いた軟骨再生シートの開発まで、アジア地域での最先端の取り組みを幅広く紹介した。

続くセッション4「血管再生医療の現在」では、大竹剛靖・湘南鎌倉病院副院長兼再生医療科部長が、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)で末梢血に動員した自己CD34陽性細胞を用いた腎臓再生の臨床研究について講演した。急性腎障害(AKI)および慢性腎臓病(CKD)の患者さんを対象とした同研究では、細胞投与後に腎機能の指標であるeGFR(推算糸球体濾過量)が改善傾向を示したという結果を報告。これは、これまで有効な治療法が乏しかった腎臓病領域で、自己細胞を用いた再生医療が新たな突破口となり得ることを示す重要な初期結果とアピールした。

技術的・科学的課題の克服へ 国際的連携を通じ基準策定を

その後、ランチセッション「血管再生医療の未来」をはさみ、同シンポジウムの集大成となったセッション5「パネルディスカッション」を実施。座長のデヴィッド・スマジャ博士(フランス、パリ心血管研究センター教授)、パネリストのフィリッペ・エノン博士(同、セルプロテラ社代表、血液学移植研究所所長)、フワン・メレーロ-マーティン博士(米国、ハーバード大学/ボストン小児病院教授)、浅原大会長が、再生医療分野が直面する課題について議論を交わした。

ECFCのような前駆細胞の真の起源は骨髄なのか、それとも各組織にもともと存在する細胞なのかという、いまだ解決を見ていない根源的な科学的論争。研究室レベルの成果を安定した治療法へとつなげるために、不可欠な細胞の特性評価や製造プロセスの標準化の重要性。患者さん自身の細胞(自己細胞)を用いるべきか、健康なドナー由来の細胞(他家細胞)を用いるべきかという治療戦略そのものを左右する課題について、分野全体の共通認識を深めていった。

最終的に、数々の技術的・科学的課題を乗り越えるためには、国際的な連携を通じて明確な基準を策定することが不可欠とし、行動に移すためには、具体的な基準づくりを担うワーキンググループの設立が必要と提案、次回シンポジウムに向け明確な目標を打ち出した。

終了後、希望した25人が湘南鎌倉病院見学ツアーに参加。再生医療センター、予防医学センター、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)装置などを視察した。

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