
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)07月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1552 4面
研究課題が科研費に採択された(左から)三木・主任研究員、圓岡・主任研究員、山口・主幹研究員
野崎徳洲会病院附属研究所(大阪府)は、2026年度文部科学省科学研究費助成事業(科研費)に申請した研究課題のうち、3課題が採択された。いずれも「基盤研究」(1人または複数の研究者が共同で行う独創的・先駆的な研究)区分で、B(研究費の助成が3〜5年間で総額500万円以上2,000万円以下)が1課題、C(同500万円以下)が2課題。
基盤研究Bは圓岡真宏・疾患機能ゲノミクス研究部主任研究員の研究課題「リン脂質スクランブリングによるシナプス除去の分子基盤の解明」。シナプスは神経細胞間に形成される接合部位。人間の場合、生後多くの神経ができ、2歳頃をピークに少しずつ減っていく。神経回路が成熟するための重要なプロセスで、うまくいかないと発達障害が起こると言われている。
圓岡・主任研究員の研究は、このシナプスが除去されるメカニズムに着目した内容。とくに、不要シナプスに内在する分子制御機構を明らかにすることを目的とし、解明できれば発達障害の治療薬などにつながる可能性が期待できる。
基盤研究Cのひとつは、三木梨可・周産期疾患研究部主任研究員の研究課題「Notchリガンドの差異による胎盤形成でのNotch3シグナルの役割」。妊娠高血圧症候群の発症は、胎児の絨毛外栄養膜細胞(EVT:胎盤を構成する栄養膜細胞の一種)が母親の子宮内膜へとうまく移動していかない(浸潤低下)ことが関係していると明らかになっているが、浸潤低下の原因は明らかにされていない。
三木・主任研究員は、これまでの活動で胎児側の要因を解明しており、今回の研究は母親側のNotchシグナル(細胞の分化などを制御するシグナル伝達経路)などからEVT停止メカニズムの解明を目的に行う。
もう1課題は、山口英樹がん転移研究部主幹研究員の「神経症状を合併するカウデン症候群でみつかった新規PTENバリアントの病的意義解明」。以前勤務していた研究所の附属病院医師との共同研究。神経症状を合併するカウデン症候群という非常に珍しい症例で、同医師が遺伝子プロファイル検査を行ったところ、PTEN遺伝子(がんを抑制する遺伝子)に今まで報告がない変異が見つかった。
今回の研究は、その新たな変異体の機能解明を目的としている。PTEN遺伝子の新しい機能がわかると、一般的ながんの治療法やメカニズムの解明などにもつながる可能性が期待できる。
圓岡・主任研究員と山口・主幹研究員は4月入職。高次腸・肝・腎 in vitro モデルの開発を研究テーマとし、日本医療研究開発機構(AMED)の研究費も獲得している根来亮介・高次生体モデル開発研究部主任研究員と、生体光イメージング技術を基盤とした脳神経活動・脳循環代謝の生理学的機序解明を研究テーマとする鈴木崇士・医工融合研究部上級研究員も仲間入りし、研究員の約9割が科研費やAMEDなどの外部研究費を獲得するなど、同院附属研究所は活気にあふれている。
徳洲会グループの病院附属研究所は、同研究所以外に札幌東徳洲会病院医学研究所、湘南鎌倉総合病院附属臨床研究センター。