徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)07月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1552 3面

徳洲会感染管理部会
薬剤耐性菌対策へグループ一丸
全国から担当者89人が参集し研鑽

徳洲会感染管理部会は6月13日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で2026年度感染管理担当者研修会を開催した。テーマは「薬剤耐性菌」。グループ内でのアウトブレイク(集団発生)事例の教訓をいち早く共有し、今後の具体的な対策に役立てるのが目的だ。外部講師による特別講演もあり、全国のグループ病院から集まった89人の感染管理担当者は、感染管理体制の強化に向け、決意を新たにした。

全国から89人の感染管理担当者が交流を深める

冒頭、深野明美・一般社団法人徳洲会医療安全・感染管理部部長が、開会の挨拶で「新しくグループ入りした病院の担当者も含め、今回の研修会で交流を深め、各病院の事例や取り組みをしっかりと学び、それぞれの現場で役立ててください」と呼びかけた。

「今回得られた知見を各現場の感染管理に還元してほしい」と佐藤部会長

副部会長の石塚孝子・札幌東徳洲会病院看護師長が、研修会のテーマに「薬剤耐性菌」を選択した理由について説明。耐性菌の拡大が、現代医療の根幹を揺るがすサイレントパンデミック(静かなる大流行)として世界中で深刻な脅威となっている現状を指摘。徳洲会グループでは昨年、耐性菌のアウトブレイク事例が複数施設で発生し、実地疫学専門家(FETP)が介入する事態となった。

新しくグループ入りした病院を含め参加者に交流を呼びかける深野部長

こうした背景をふまえ、現在の耐性菌の疫学やFETPによる介入事例をグループ全体で共有し、今後の部会活動や各病院の具体的な対策に役立てることが目的と強調した。

石塚・副部会長は研修会のテーマに「薬剤耐性菌」を選択した理由を説明

次に、教育、業務、法令、AMR(薬剤耐性)の各担当副部会長が、25年度活動報告と26年度活動計画を報告。さらに、東北ブロック長の齊藤由理・庄内余目病院(山形県)看護師長は、「アウトブレイクマニュアル」の更新を受け、万が一の際の組織的な初動対応を共有した。専門部会報告では、薬剤部会、検査部会、リハビリテーション部会、栄養部会の代表者が、多職種が連携した感染管理の取り組みについて報告した。

また、26年度手指衛生キャンペーンで用いる標語として、さいたま記念病院の「守る手、治す手、きれいな手」を決定。今後は手指衛生を啓発するポスターなどで活用していく予定だ。

アウトブレイク事例を検証 外部講師による特別講演も

休憩をはさみ午後の部は、部会長の佐藤守彦・湘南鎌倉病院感染対策室部長が座長、石塚・副部会長が司会を務め、「薬剤耐性菌対策」の実践的な事例検討に移った。

まず、2病院から耐性菌アウトブレイクの具体的な経過と対策を報告。最初に登壇した近江草津徳洲会病院(滋賀県)は、24年に発生したバンコマイシン耐性腸球菌のアウトブレイク事例を紹介した。同院では、一般急性期病棟での尿培養検査から初発事例が確認されたことを契機に、一斉スクリーニング検査を徹底。陽性者の隔離や、直接観察による手指衛生のフィードバック強化を進めた。

とくに環境整備の手順を見直し、共通の感染経路として浮き彫りになった尿廃棄作業を、尿取りパッドなどに吸収させ汚物室で処理する方法に変更するなど、徹底的なリスク排除を行い約6カ月で終息に至った。

続いて日高徳洲会病院(北海道)は、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌の検出事例と対応を報告。同院では、感染管理認定看護師が不在のなか、札幌東徳洲会病院などの巡回指導や協力を得て対策を推進。オムツ交換や喀痰吸引の手順を再検証し、吸引器の「1人1台体制」を確立、また手指消毒剤の個人別使用量のチェックや抗菌薬適正使用の見直しも行った。さらに、院内だけでなく地域の施設や事業所に対しても勉強会を開催し、地域全体での理解促進に努めた結果、定期スクリーニングでの新規発生をゼロに抑え込んだ。

その後、外部講師の山岸拓也・国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所薬剤耐性研究センター第四室長が、「薬剤耐性菌の疫学と薬剤耐性菌アウトブレイクの実地疫学調査」と題し、特別講演を実施。国内の流行状況は地域差が大きく、多発地域では入院時スクリーニングの検討に値する一方、未流行地域では一律の実施よりも標準予防策の徹底が重要と指摘。環境培養は感染源特定ではなく「清掃状況の確認」を主目的とすべきとアドバイスした。

質疑応答では、外注検査での結果判明までのタイムラグ(通常3〜4日)や、判定手法の解釈と行政への届出基準の整合性などについて議論。さらに、耐性菌保菌者の施設受け入れ拒否という「退院できない問題」も提起し、地域全体での受け入れルールの合意形成が必要とアピールした。

最後に佐藤部会長が閉会の挨拶に立ち、アウトブレイクという厳しい局面に立ち向かった各病院の労をねぎらった後、「グループの強みである組織的な支援体制を今後も生かし、今回得られた知見や学びを各現場の感染管理へ確実に還元してください」と呼びかけ、研修会を締めくくった。

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