
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)02月09日 月曜日 徳洲新聞 NO.1529 4面
厚生会第一病院(大阪府)は1.5テスラのMRI(磁気共鳴画像診断)装置「MAGNETOM Flow.Plus」を導入した。装置の冷却に必要な液体ヘリウムを使用しない、または大幅に削減できる“ヘリウムフリー”と呼ばれる次世代型。AI(人工知能)を搭載し、より患者さんの負担が少なく、高画質の画像が撮影できる。すでに200件超の検査を行い、患者さんや院内外の医師から好評だ。関田哲也・放射線科技師長(診療放射線技師)は「いろいろな撮像方法ができるようになったので、活用して一層地域に貢献したいです」と意欲を見せる。同装置の導入は徳洲会グループで2施設目。
「積極的に活用して地域に貢献します」と村上修院長(右)、関田技師長
MRIは血管や臓器の状態を確認するための医療機器。強力な磁場が発生している筒状の装置内で害のない電波を当て、体内にある水素原子の振動を検出することで体の断面を画像化する。頭部や腹部、四肢、骨盤内の臓器(子宮・卵巣・前立腺など)、脊椎・脊髄など、さまざまな部位の検査で用いられる。
一般的に、撮影に必要な磁場を維持するには超電導磁石を超低温(マイナス270℃程度)に保つ必要があり、その際に液体ヘリウムを大量(1,000~1,500ℓ)に使用する。
通常、液体ヘリウムは装置内で冷却されているが、装置にトラブルが生じてクエンチ(液体ヘリウムが急速に気化し、大量のヘリウムガスが放出され白い濃霧を引き起こす現象)が起こると、室内の酸素濃度が低下する危険性から、排気管(クエンチパイプ)から排気する。MRIを再稼働させるには、液体ヘリウムを補充しなければならず、調達するまでの間、MRI検査が実施できないこともある。
「MAGNETOM Flow.Plus」は、“ヘリウムフリー”と呼ばれるタイプで、液体ヘリウムを0. 7ℓしか使用しない。密閉型設計により、導入後のヘリウム補充が不要なほか、磁場の再立ち上げについても自動回復機能を完備し、安全かつ早急な復旧が可能だ。
また、密閉型設計を生かして平日の夜間や休日など稼働していない時には冷却機を間欠運転させたり、一定時間稼働していないと自動で省電力モードに移行したりする省エネ機能を搭載。これらにより、液体ヘリウムの管理にともなうスタッフの負担軽減、クエンチリスクやランニングコストの低減などが期待できる。
AIを搭載している点も大きな特徴だ。各部位の位置を自動認識する機能などで最適な画像を撮影するためのプランを操作スタッフに提案。それをスタッフが確認すればよく、一から行う必要がない。また、ノイズ(画像上に生じる実際には存在しない虚像)の除去など画像を再構成する機能も備わり、これらによって検査時間が短縮。スタッフや患者さんの負担を軽減する。
厚生会第一病院は同装置を昨年12月中旬に導入。それまで15年ほど使用していたMRI装置がサービスエンドを迎えたことから更新した。「以前は電気だけで稼動する常電導MRI(0.4テスラ)でした。超電導MRIに切り替える場合、従来はクエンチパイプの敷設が必要なため、広いスペースが必要でしたが、MAGNETOM Flow.Plusはクエンチパイプを設置する必要がなく、大規模な改修工事を行う必要もないため導入できました」と関田技師長。
装置の更新にともない検査を待機していた患者さんや、検査時間の短縮などで、すでに200件超の検査を実施。従前よりも多いペースで実績を重ねている。関田技師長は「画像が各段に鮮明になりました」とアピール。続けて「整形外科では半月板や靱帯など細かいところまで、しっかり見えますし、脳神経内科ではMRA(磁気共鳴血管撮影)検査で脳の血管がきれいに映ります。数ミリの脳動脈瘤も見つけられるなど、早期発見になります」と語気を強める。
また、できる撮影方法が増えたことも強調。「全身MRI(DWIBS法)や頭部以外の拡散強調画像(DWI)なども可能となり、さまざまな診療科の医師が喜んでいます。実際に今までであれば、わからなかったであろう病気が見つかったケースもあります。患者さんからも検査時間が短いと好評です」(関田技師長)
導入にあたり、地域の診療所医師に周知したところ、「ぜひ患者さんを紹介させていただきます」といった声も聞かれたという。関田技師長は「24年12月に当院が徳洲会グループ入りする前は、スペースや費用の面から超電導MRIを導入できるとは思っていませんでした。グループのスケールメリットを実感しています。活用して地域に貢献していきたいです」。