徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)03月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1536 3面

第31回日本災害医学会
「災害を科学する~経験を科学に」
徳洲会グループ&TMATが13演題発表

第31回日本災害医学会総会・学術集会が3月19日から3日間、新潟県で開催された。テーマは「災害を科学する〜経験を科学に 新潟&熊本から発信」。徳洲会グループとNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は合計13演題を発表した。主題演題を中心に紹介する。

今後の国際緊急援助について提言する合田・副センター長 事務局の視点でTMATの支援者支援を説明する野口・事務局長 今回も多くのTMAT隊員が発表

札幌東徳洲会病院の合田祥悟・集中治療センター副センター長(TMAT医師)は、「これからの国際緊急援助の在り方について」をテーマにしたパネルディスカッションに登壇。「『All Japan』で挑む国際緊急援助の未来-ミャンマー地震でのGO-NGO連携を超えて-」と題し、ミャンマー地震(2025年3月)でのTMATの活動について発表した。

TMATは、各国政府機関(GO)がアクセス困難な震源地に近い地区で、モバイルクリニックを開設し活動。現地のNGO(非政府組織)や企業との協働、日本の他のNGOとの連携により、互いのリソースを有効活用しながら効率的な支援を展開した。合田・副センター長は、他のNGOとの情報共有などにより、GOと協働できたことを紹介し、官民が活動を補完し合う「GO-NGO連携」の有効性を指摘。

世界情勢が複雑化するなか、今後の国際緊急援助のあるべき姿として、①組織の枠組みを越えた統合:個別の組織活動から“All Japan”パッケージでの支援、②平時からのプラットフォーム構成:有事に即応できる官民共同の対応・訓練、③現地主導の尊重:現地の力を引き出し、自立を支援するパートナーシップ、④DX(デジタル変革)化:現地情報のデータ共有による可視化と評価を提言として掲げた。

「極限状況を乗り越える力─国際緊急人道支援における『支援者支援』の多角的アプローチ─」をテーマにしたパネルディスカッションでは、TMAT事務局長の野口幸洋・一般社団法人徳洲会(社徳)医療経営戦略室課長が登壇。「民間NGO医療支援チームにおける海外派遣隊員のサポート体制」と題し、TMATが国外で災害医療支援活動を行う際の隊員に対する支援について発表した。

はじめに、近年、海外災害では政治的・治安的課題を抱える地域での支援ニーズが増加し、隊員へのリスクが一層高まっていることを指摘。事務局として、今までの活動経験から支援者(隊員)支援の課題を洗い出し、とくに①補償(保険・賠償・給与)、②メンタルヘルス、③病院など所属している機関への支援――の強化に努めていることを説明した。

具体的に、①では保険会社と連携し、災害支援時の専用保険加入制度を構築して補償を充実、②では活動終了後1週間・1カ月・3カ月でメンタルヘルスチェックを実施し、専門家によるフォロー体制も確立、③では所属機関の窓口を明確化し、毎日の活動報告を共有――などを挙げ、隊員と所属機関双方の安心感につながっていることを強調した。

野口・事務局長は「派遣隊員が“組織から支えられている”と実感できる体制が、持続可能な災害医療支援を実現するための重要な基盤と考えます」と指摘。より強固なサポート体制の構築に意欲を見せた。

一般演題(口演)では、福岡徳洲会病院の牟田隆則・集中治療センター医長が「台湾における大規模震災・津波想定訓練への参加経験」と題し発表。昨年、台湾での災害訓練に日本の民間NGOのロスター(登録隊員)医師として参加した様子を紹介し、軍民協力や多国間協働の大切さを指摘するとともに、あらためて日本の災害医療体制に国際連携強化の必要性を認識したことを明かした。

また、岸和田徳洲会病院(大阪府)の古田宏リハビリテーション科副室長(理学療法士)が「局地災害における受け入れ体制構築と当院の課題」をテーマに、自院の隣接市での大規模火災などで多数傷病者を受け入れた事例を発表。受け入れるための体制や設備だけでなく、発災を覚知し迅速かつ的確に行動するためのシステム構築の重要性について強調した。

ポスター発表は次のとおり。▶野口・事務局長「避難所支援からみる民間NGO医療チームの役割 ─TMATの30年の活動を通して」▶阪木志帆TMAT事務局員(社徳医療安全・感染管理部副主任)「NGOの医療支援活動における事務職の役割—病院業務経験を生かした災害医療支援の可能性—」▶柳川拓哉・四街道徳洲会病院(千葉県)・TMAT薬剤師「フィールドホスピタル展開訓練を行い見えた課題について」▶吉川瑞帆・四街道病院・TMAT薬剤師「災害時薬物治療を行う際に必要となる資材の作成と使用時の課題」▶加瀬怜子・札幌東病院看護師「訓練を通じて見えたDMATの地域貢献:一般病院支援の実際と今後の課題」▶村田宇謙・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)救急総合外科部長・TMAT医師「自院被災を想定した病院防災訓練の実践と課題 ーTMAT講師による実地シミュレーションの報告」▶小栗悠太・千葉徳洲会病院看護師「車両突入事故の経験から明らかとなった院内災害対応のアプローチ」▶渡會輝美・庄内余目病院(山形県)看護師「災害支援ナース必携マニュアル改訂における意思決定プロセスの理論的分析~制度移行期における不確実性下の意志決定と理論の実践的循環~」▶浅野京香・徳之島徳洲会病院(鹿児島県)・TMAT看護師「スポーツイベントを活用した国際EMT訓練:徳之島トライアスロン大会における症例検討と運営体制の改善」

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