徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2015年(平成27年)8月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.993 一・二面

成田富里徳洲会病院
9月1日に新規開院
地域から救急医療へ期待感

医療法人徳洲会の成田富里徳洲会病院(285床)は9月1日、千葉県富里市に徳洲会グループ72番目の病院として新規開院する。同院周辺は一次・二次救急の担い手が不足しており、所属する印旛市郡医師会や住民の方々から救急医療の充実を望む声が大きいことから、同院は地元医療機関と連携の下、市外・県外救急搬送の低減に尽力する。また白部多可史院長が専門とする消化器疾患を中心としたがん医療、地域に実施施設が少ない健康診断・人間ドックにも力を入れる方針。

がん医療や人間ドックにも注力

地下1 階、地上11 階建ての成田富里徳洲会病院 地下1 階、地上11 階建ての成田富里徳洲会病院

成田富里病院は、成田国際空港から直線距離で約6㎞、京成本線「京成成田」駅から徒歩6分、JR成田線「成田」駅から徒歩8分という利便性の高い場所に立地。

建物は地下1階、地上11階建てで、敷地面積2万5112.89㎡、延床面積4万8991.97㎡。免震構造で、仮設診療ベッドを設計に組み込むなど災害医療を考慮したつくりになっており、災害看護に注力する瀬戸美佐子・看護部長は、「1階のフロントロビーは、いざという時にはトリアージ(重症度選別)スペースに活用する予定です。1、2階は廊下幅を広く取り、どこでも医療機器を使った診療が行えるよう随所にコンセントも配置しています」と紹介。

空港をイメージした開放的なエントランスは、災害時にはトリアージスペースとなる 空港をイメージした開放的なエントランスは、災害時にはトリアージスペースとなる

また、地域とのコミュニケーションにも配慮しており、町内会や自治会など直接医療に関連のない催しにも開放する多目的室を設置した。

開院時は23診療科(フロアマップ下参照)を標榜(ひょうぼう)。「可能な限り早期に、主だった診療科で充実した医療を提供できる体制を整えていきます」と白部院長は抱負を語る。

まず整備するのは救急医療体制だ。同院周辺には救命救急センターを擁する成田赤十字病院があり、三次救急体制は確立している一方、一次・二次救急体制の整備が追い付いておらず、その対策が喫緊の課題。同院は地元の印旛市郡医師会からも一次・二次救急医療への対応要請を受けている。

いずれ夜間透析にも対応することを考え配置した透析スペース いずれ夜間透析にも対応することを考え配置した透析スペース

「本当に重症な方を三次救急病院に適切に送るためには、その手前で重症度を選別する医療機関が必要」と白部院長。

同院では、白部院長が専門とする消化器外科、橋本亨・循環器科部長が専門とする循環器内科、澤浦宏明副院長が専門とする脳神経外科を中心に全科協力の下で救急搬送に対応し、手術加療や経過観察が必要ならば入院、問題なければ初療後に帰宅、同院で対応できない症例については成田赤十字病院に転送する考え。

「もちろん当院だけでは、すべての救急搬送には対応できません。地域医療機関の先生方との連携が肝要です。たとえば医師会の夜間・休日の当番医の先生が内科の時は、当院が外科、外科の時は当院が内科というように、うまくコンビネーションを組んでいければと思っています」と白部院長は構想を語る。

また、低侵襲ながん医療にも注力。3D内視鏡下手術システムを導入し、白部院長が専門とする消化器疾患を中心に安全に内視鏡下手術を行える環境を整備する。「がんは今やコモンディジーズ(一般的疾患)であり、市中病院が担うべき医療のひとつです」と白部院長は強調。今後は、同手術システムを用いて若手医師の教育にも腐心する。

がんを含めた疾患の早期発見や疾病予防のため、人間ドックや健診も行う考え。同院周囲には空港関連会社が多いものの健康診断や人間ドックに対応している医療機関は少なく、健診のために千葉市や東京都まで出向く人も多いという。

「住民の方々の健康管理を考えた時、健診や人間ドックはこれから最も重視される分野のひとつです」と谷河光範事務長。

今後は、成田空港から近い立地を生かし国内外からのメディカルツーリズムにも対応する方針だ。

「当院の立地なら、まず空港から当院に直行し検査を受け、何日か観光した最終日にまた当院に寄って結果説明を受けるという行程を組むことが可能です」と、谷河事務長は同院ならではのアイデアを披露する。開院後は国際医療支援室を設置し、多言語に対応を目指す意向だ。

1階にカテ室と内視鏡センター

手術室は将来的な拡張を考え9 室用意 手術室は将来的な拡張を考え9 室用意

同院は、急性心筋梗塞や上部消化管出血などに素早く対応できるよう1階にカテーテル室と内視鏡センター(12月稼働予定)を設置。救急車の到着する救急処置室から素早く両処置室に移動できる動線になっている。

循環器科は常勤医2人、非常勤医1人(週2回)の体制でスタート。心臓カテーテル治療数日本一の千葉西総合病院で循環器科部長を務めてきた橋本部長は、以前に成田赤十字病院など同地区の医療機関で働いた経験を生かして、病診、病病連携に活発に取り組み、地域全体で患者さんを診る構えだ。

「自分の両親や友人に提供する気持ちで検査、治療することが私のポリシーです。できることと、やるべきことは違うことを心に刻み、患者さんの側に立った医療を提供していきます」と橋本部長は決意表明。

消化器外科は白部院長を含めた常勤医3人体制。内視鏡センターは内視鏡検査専用の単純X線撮影装置を配備するなど緊急対応性を重視した。「消化管出血は処置が遅いと患者さんの命にかかわる可能性のある疾患ですから、当院では開院時から24時間・365日対応していきます」と白部院長は意欲を見せている。

320列CTや1.5T MRI 高性能医療機器を導入

320 列CT は1回の撮影で心臓や脳をカバー 320 列CT は1回の撮影で心臓や脳をカバー

成田富里徳洲会病院は320列CT(コンピュータ断層撮影装置)や1.5テスラMRI(磁気共鳴画像診断装置)をはじめ、高性能な医療機器を多数導入した。

多列化が進むCTの中でも320列は最高峰。「短時間の1回の撮影で16㎝幅をカバーできることから、拍動の影響をほとんど受けずにブレのない心臓の冠動脈撮影ができます。小児であれば肺も1回で撮影可能です」と同院放射線科の責任者を務める大西博之主任(診療放射線技師)は説明する。撮影データから3D画像を構成できるほか、動きのある立体画像を構成できる4D―CT機能も備え、強力に診断をサポートする。

救急医療での活用を想定して導入した1.5 テスラMRI 救急医療での活用を想定して導入した1.5 テスラMRI

導入したCTは被ばく低減機能も有しており、造影CTの撮影でも従来に比べ少ない造影剤での撮影が可能。身体への負担を軽減しながら、精度の高い診断に貢献する。

血管撮影(アンギオ)装置は頭部、胸部、腹部、下肢と幅広く対応する汎用性の高い基本性能の優れた機種を導入。これも被ばく低減機能をもつ。

MRIは1.5テスラを導入。同院は今後、救急医療に力を入れていくことをふまえ、MRI用の問診が簡便で、迅速な検査の実施が可能である1.5テスラの装置を導入した。心臓ペースメーカーが体内にある患者さんは、1.5テスラ、3テスラともに原則MRI検査は不可だが、ボルトなど体内に埋め込まれた金属は、1.5テスラはおおむね問題なく検査できる。

心臓ペースメーカーの有無は胸のふくらみで判別できるが、体内金属の有無、材質の判別が難しい。意識障がいのある患者さんの搬送も多い救急医療の現場では一刻一秒を争うだけに、1.5テスラを選定し必要な検査の迅速な実施を優先。

血管撮影装置は汎用性の高い高性能機 血管撮影装置は汎用性の高い高性能機

大西主任によると病院全体のコンセプトは“和モダン”で、放射線科の受け付けなどは竹林や抹茶を連想させる濃緑を基調とした。成田は日本の玄関口であるだけに、同院は海外からの患者さんや人間ドック受診者を受け入れる医療ツーリズムに積極的に取り組む考えだ。大西主任は「世界の病院に引けを取らない診断装置をそろえています」とアピールする。

来春には、血流や代謝などから臓器の機能を確認するSPECTとCTのフュージョン(融合)画像を得ることができるSPECT―CTを導入する計画があり、さらに将来的にはPET(陽電子放射断層撮影)――CT、放射線治療機器(リニアック)を入れる構想もあるという。

大西主任は、「地域の開業医の先生方に、当院の医療機器を使っていただく共同利用(検査目的の紹介患者さんの受け入れ)を推進し、信頼関係を築いていきたいと考えています」と抱負を語っている。

8月22~23日に内覧会

成田富里病院は8月23日午前11時半からは新病院完成の祝賀会を実施。

また8月22日から2日間、内覧会を開催する(両日とも午前10時~午後3時まで)。

「ぜひ新しくなった病院をオープン前に見に来てください」と谷河事務長は呼びかけている。

白部院長
「地域トップ級の急性期病院に」

「仕事の質を保つには従業員のモチベーションが不可欠」と白部院長 「仕事の質を保つには従業員のモチベーションが不可欠」と白部院長

白部多可史院長が目指すのは、地域トップクラスの急性期病院。要望の多い救急医療に全科対応でき、職員が家族や知人に自信をもって勧められ、勤めていることに誇りをもつことができる病院が目標だ。

しかし、ただ診療科がそろうだけでは、そうした病院にはなれない。白部院長は「病院に限らず、どこの会社でも同じですが、企業体の質は職員のモチベーションによるところが大きい」と、従業員が生き生きと仕事に打ち込め、良い仕事をしているという満足感が得られる環境づくりを掲げる。

精神面だけではモチベーションは保ちきれないため、「良い仕事には経済的・時間的余裕も大切です」と、がむしゃらに働くのではなく時間を有効活用する賢明な働き方を推奨。たとえば会議などは、あらかじめ論点を明確にしたうえで行うなど時間の無駄を排すほか、業務改善アイデアは全職員から募る。

また、モチベーションの維持には具体的な目標が必要なことから、開院時は3病棟150床(急性期2病棟、慢性期1病棟)スタートの病床を、2017年4月までに285床フルオープンすることを宣言。

「来年4月には呼吸器外科、形成外科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、病理診断科の常勤医が内定しており、病院はより活性化します。一歩一歩、目標に近づける体制を築き、職員の気持ちをひとつにし、活力ある職場をつくっていきます」と抱負を語っている。

瀬戸看護部長
地域密着型看護を実践

「アットホームで温かい看護を提供したい」と瀬戸・看護部長 「アットホームで温かい看護を提供したい」と瀬戸・看護部長

地元出身者が多いという成田富里病院看護部。「職員の血縁者や知人が受診する機会も少なくなく、“恥ずかしい看護はできない”とよく話しています」と瀬戸・看護部長は笑顔で語る。そのぶん、細かなニーズを把握しやすく、「受診して良かったと心から思っていただけるようなアットホームで温かな、地域密着型の看護を提供していきます」。

そのためには教育体制が重要。同院には若い看護師が多いことから、パートナーシップ制度を導入する。これは、若手看護師と先輩看護師が1組になって看護を提供する制度。2、3年目の看護師には患者さんの状態の判断、適切な看護の提供、電子カルテ入力――など、看護業務すべてを、ひとりでこなすのは難しく、「この制度によって看護の質が担保できると同時に、苦手意識からの離職防止につながります」と瀬戸・看護部長は不安のない状態で看護する大切さを訴える。

中堅看護師らのためには専門看護の研修を実施。とくに同院の診療のメインとなる内視鏡治療や心臓カテーテル治療について、専門知識や技術を習得できるようグループ病院での一時研修などを実施していく考えだ。また、災害看護に興味のある看護師も多いことから、瀬戸・看護部長主導で独自に災害看護研修なども行っていく。

「当院にはICU(集中治療室)が10床、HCU(高度治療室)は各病棟に4床ずつあります。魅力ある教育環境を整備し、できるだけ早期にこれらを稼働していきます」と展望を明かす。

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