徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)9月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1253 一面

生駒病院
安心・安全な“お産”実践
5年で通算400件超の分娩

2020年6月で開院6年目を迎えた生駒市立病院(奈良県)の分娩(ぶんべん)件数が、通算400件を超えた。昨年は年間145件で年々増加傾向にある。背景には、病院を挙げて“安心・安全なお産”を第一に掲げ、できるだけ妊婦さんや家族の方々の要望に応じたお産の実現に努めていることがある。満足度の向上につながり、2人目、3人目を出産するリピーターも増えている。今後も地域密着型の分娩施設として“幸せなお産”のために取り組んでいく考えだ。

2人・3人目産むリピーター増

産婦人科のスタッフ。前列左から2人目が今村総長産婦人科のスタッフ。前列左から2人目が今村総長

「担当していただいた先生が、とても穏やかで安心感がありました。助産師さんも優しく、てきぱきとしていて頼りがいがありました」

こう話すのは、6月末に第3子となる女の子の赤ちゃんを同院で出産した齋藤有加さん。16年に1人目、18年に2人目を出産したのも生駒病院だ。退院直前に取材に応じてくれた。

「きめ細かいかかわりを大切にしています」と辻川・看護部長「きめ細かいかかわりを大切にしています」と辻川・看護部長

「1人目を産んだ際、夫が仕事の都合で海外に行っていたため、里帰り出産でお世話になったのが始まりです。その時は切迫早産などありましたが、助産師さんたちに励ましてもらい、育児についても教えてくれて、とても助かりました。入院中は快適に過ごすことができました。それで2人目、3人目もこちらで出産しようと思いました」

夫の齋藤大介さんは「面会に来られたのが、いつも夜でしたが、対応していただいたスタッフの方々が、皆さん笑顔だったのが印象に残っています。今回は出産に立ち会うことができ、頑張っている妻の姿にとても感動しました」と顔をほころばせた。

妊娠期間中から出産、産後まで手厚くサポート妊娠期間中から出産、産後まで手厚くサポート
第3 子を出産し笑顔の齋藤さん夫妻第3子を出産し笑顔の齋藤さん夫妻

同院は開院した15年6月以降、地域の分娩施設として役割を果たすよう力を入れてきた。今村正敏総長(産婦人科)は「安全に配慮し、お母さんの要望にできるだけ応えるお産を大切にしています。妊娠中やお産の時に異常がなければ、不必要な医療介入は行わず、自然な分娩を心がけています。もちろん無痛分娩を希望される場合は、要望をふまえ、マイルドな鎮痛からしっかりとした無痛分娩まで対応しています」と説明する。産婦人科の常勤医は今村総長と山本嘉一郎顧問のふたりだ。

適切な妊娠・分娩管理を通じ高齢出産や糖尿病合併妊娠などにも対応。必要に応じて新生児集中治療室(NICU)を有する奈良県総合医療センターや近畿大学奈良病院と連携を取っている。

産婦人科と他科が使用している女性患者さん専用病棟の4階西病棟責任者を務める宇野光世主任(助産師)は「『ここで産みたい』、『ここで産んで良かった』と思ってもらえるように日々取り組んでいます。妊産婦さんのために、どうすれば良いかをスタッフ一同で考え続けています」と力を込め、谷渕真琴助産師は「初産の妊婦さんは、とくに出産に対する不安が強いため、『できていないこと』ではなく、『できていること』を伝えて自信を付けてもらい、不安を和らげてから出産を迎えられるように配慮しています」と心構えを説く。

お祝膳にも力入れる 外国人の分娩も増加

「美味しい」と評判のお祝膳(洋食)「美味しい」と評判のお祝膳(洋食)

同院はお祝膳(産後食)にも力を入れている。冒頭の齋藤さんも「美味しい」と太鼓判を押す。また2月からは形成外科外来と連携し、看護師や助産師がかかわりながら、出産後の産婦さんに対する“産後エステ”を開始するなど、サービスの向上を図っている。

外国人のお産も増え、昨年は5人が同院で出産した。市内の奈良先端科学技術大学院大学にはアジアや欧米からの留学生や研究者が多数在籍。家族と来日している方もおり、外国人の妊産婦さんが同院を受診している。第1子に続き第2子を同院で出産した外国人の妊産婦さんもいるという。

コミュニケーションの面では、閨谷美紅助産師と杉本ちえみ助産師が、助産師になる前に外国語大学で学んだ経験を生かし、英語とスペイン語に対応が可能。「質問しやすい雰囲気をつくるように心がけ、丁寧にお答えしています。帝王切開が多い国、無痛分娩が多い国など、それぞれ国によって傾向がありますが、各国のやり方に合わせています」と口をそろえる。

辻川美代子・看護部長は「開院当初から、当院で出産された産婦さんとご家族を招待しクリスマス会を催したり、3年前からは助産外来を開設したりして、妊娠中から産後まで安心していただけるよう、きめ細かいかかわりを大切にしています」とアピール。

今村総長は、医療従事者が周産期救急に対処できる知識・技能を身に付けるALSOという教育コースの開催に長年注力。コロナ禍で今年は開催が難しいが、今後も臨床のかたわら教育活動に取り組んでいく意向だ。

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