徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)2月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1171 四面

徳洲会グループ第3回QI大会
質向上や業務改善を推進
札幌南病院が1位に輝く

徳洲会グループ医療経営戦略セミナーが2月2日、大阪府で開かれ、第3回QI(Quality Improvement/Indicator)大会を実施した。同大会は医療の質向上や業務改善の推進を目的に、2015年に開始したTQM(Tokushukai/Total Quality Management=徳洲会グループ医療の質管理)プロジェクトの一環。日頃の活動成果を共有することで、グループ全体の底上げを図るのが目的だ。今回は全国の徳洲会病院・介護施設から96演題の応募があり、審査を経て10演題を選出。当日、10施設がそれぞれ発表し、参加者による投票の結果、札幌南徳洲会病院が1位に輝いた。1位から5位に選ばれた演題を紹介する。(関連記事あり)

96演題から10演題厳選し発表

第3回徳洲会グループQI大会演題一覧

順位 演題 施設名
1 感染性廃棄物の分別を徹底しゴミの減量化をはかる 札幌南徳洲会病院
2 画像診断見落としに対する業務改善(RCAを活用して)
~入院中の骨折見落としを防止する仕組み~
福岡徳洲会病院
3 インシデント報告数増加の取り組み
~部署目標を設定して~
庄内余目病院
4 画像所見見逃し防止・パニック画像の報告率向上
~新たに取り組み始めたカルテ記載を振り返り実施した業務改善~
与論徳洲会病院
5 職員食の食材料費削減への取り組み
~質を維持したまま無駄を省こう!~
鎌ケ谷総合病院
6 退院支援加算1取得に向けた取り組み
~院内外連携を強化~
生駒市立病院
7 退院後1週間以内の予定外再入院率の低減化 湘南鎌倉総合病院
8 口腔嚥下機能の向上を目指して 吹田徳洲会病院
9 転倒・転落事故に対する業務改善
~大丈夫!だって私が観てるから…~
介護老人保健施設コスモス
10 中心静脈カテーテル関連
血流感染(CLABSI)の低減
中部徳洲会病院
大会の冒頭、QI担当の東上震一・医療法人徳洲会副理事長は「QI大会は今回で3回目を迎えますが、臨床現場で問題意識をもち、どう解決していくか考え抜いたうえで、ここに至っています。皆さんの発表に期待しています」と参加者にエールを送った。

QI大会の目的は、グループ全体で医療安全の強化や質の向上を図るため、継続的に改善活動を行う体制をとり、その活動を評価・推進することにある。最終的には、72病院(当時)と40に上る介護老人保健施設(老健)各施設の最高の実践(ベストプラクティス)をグループに展開していくことを目標にしている。

今回は96演題の応募があり、審査を経て10演題を選出。その評価項目は「指標の目的が明確になっている」、「改善結果が出ている」、「グループに展開できる」など10項目。各施設とも趣向を凝らした発表を行った。

全演題発表後、一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長は「どの演題も多くのエネルギーを使って準備をしている様子がうかがえました」と驚いた様子。「ベストプラクティスはグループのなかで標準化していかなければいけません。第1回、第2回大会を含め、推進してください」と鼓舞。

表彰式はセミナー後の懇親会で実施。今回は順位のほかに、セミナーで講演した一般社団法人中部品質管理協会の古谷健夫・企画委員長による特別賞もあり、札幌南徳洲会病院が受賞、同院は投票による1位も獲得しダブル受賞となった。古谷委員長は「院内の風土改善にも努め、標準化していたところが素晴らしい」と評価した。

1位感染性廃棄物の分別徹底 札幌南病院

表彰式で1位に選ばれ笑顔を見せる四十坊克也院長(右上)ら 表彰式で1位に選ばれ笑顔を見せる四十坊克也院長(右上)ら

村中友香・介護福祉士が「感染性廃棄物の分別を徹底しゴミの減量化をはかる」と題し発表。目的は感染性廃棄物分別の減量化・標準化で、目標値は感染性廃棄物ゴミ分別100%、バイオハザード廃棄個数を月に20%減とした。対策として①廃棄可能なゴミの一覧をバイオハザード周囲に掲示、②サクション用感染性廃棄物の分別徹底、③サクション用感染性廃棄物の減少、④感染症法に沿った取り扱い方法の実施―を行った。

廃棄個数のカウントを始めた17年7月に比べ18年6月は約半分に減少。廃棄料金も大幅に削減できた。以前はバイオハザードのなかに一般ゴミが混入していないかだけを確認していたが、今回はゴミの分析を濃密に行ったことで結果につながったと強調。「時折、一般ゴミが混入しているため、今後も継続してゴミ分別を啓発していきます」と課題を示した。

表彰式で村中・介護福祉士は「職員全員で勝ち取った1位です」と喜びを伝えると同時に、北海道胆振(いぶり)東部地震での支援に対する感謝も述べた。

2位根本原因分析を実践 福岡病院

受賞の喜びを伝える上野・看護師長(左) 受賞の喜びを伝える上野・看護師長(左)

医療安全管理室の上野正子・看護師長が「画像診断見落としに対する業務改善(RCA:Root cause analysis:根本原因分析手法を活用して)~入院中の骨折見落としを防止する仕組み~」をテーマに発表。同院は患者さんの入院中の大腿骨(だいたいこつ)骨折を見落とした事例があったことから、RCAを実施し、再発防止策を立案した。RCAは問題発生に対し一般論の分析では具体的な対策が立てられないため、「なぜなぜ」と繰り返しながら根本原因を追跡する手法。

根本原因として①読影医師が不足し読影精度が低い、②院内に標準化された疼痛(とうつう)評価指標がない、③院内に標準化された申し送り書式がない―と指摘。改善策は医師増員、読影ダブルチェック、疼痛スケール標準化、SBAR(状況、背景、考察、提案の4要素を中心とする情報伝達ツール)を使用した申し送り。「記録の標準化などにより『見たいものしか見ない』という人間特性を考慮した安全対策ができました」とまとめた。

上野・看護師長は受賞式で「各スタッフが真摯(しんし)に取り組んできたからこそ実施できたことです」と喜びの声を上げた。

3位インシデント件数アップ 庄内余目病院(山形県)

「各部署からのインシデント分析にも取り組みます」と本間技士長(左から2人目) 「各部署からのインシデント分析にも取り組みます」と本間技士長(左から2人目)

本間久統・臨床工学技士長(医療安全管理室)は「インシデント報告数増加の取り組み~部署目標を設定して~」をテーマに発表。昨年度はインシデント(事故などの発生の恐れがある事態)報告数が大幅にアップしたが、依然として部署間の報告数に格差があるのが現状。そこで改善内容として、①各部署の月間目標数設定、②医局会でインシデント事例紹介、簡易報告書作成、報告の啓発、③3カ月ごとに分析結果掲示、各部門の医療安全会議でインシデント報告推進の啓発、④院長が率先してインシデント報告―を実践した。

その結果、各部署の目標を設定したことで、インシデント件数が大幅アップ。ただし目標を達成できなかった部署もあったことを課題とした。次いで、寺田康院長が医局から提出されたインシデント内容を紹介した。

表彰式で本間技士長は「各部署から報告されたインシデントの分析などを積極的に進めていきたい」と意欲的。

4位画像所見の見逃し防止 与論病院(鹿児島県)

「一次読影補助に対する意識が向上しました」と岩山主任(左) 「一次読影補助に対する意識が向上しました」と岩山主任(左)

岩山明法・診療放射線技師主任は「画像所見見逃し防止・パニック画像の報告率向上~新たに取り組み始めたカルテ記載を振り返り実施した業務改善~」をテーマに発表。17年1月から脳出血や脳梗塞など12所見を院内パニック画像と取り決め、これらを発見した際は担当医への口頭連絡を必須化、新たに翌5月から口頭連絡と合わせてカルテ記載を行うことにした。

その結果、診療放射線技師によるカルテ記載は、担当医から高い評価を得た。さらに所見の見逃し防止のためにダブルチェック体制を決めたり、一次読影補助のスキルアップを目的としたリスト表の作成を行ったりした。「疾病の早期発見は病院全体で取り組むという院長の考えの下、診療放射線技師が貢献できる可能性が示唆されました」。

表彰式で岩山主任は「離島病院ならではの大変さはありますが、これからも精進します」、久志安範院長は「どんどん症例を重ねて精度をアップできるよう期待しています」と呼びかけた。

5位残食数や食材料費を削減 鎌ケ谷病院(千葉県)

受賞後のスピーチで抱負を語る大作副主任(左) 受賞後のスピーチで抱負を語る大作副主任(左)

大作美奈子・栄養科副主任が「職員食の食材料費削減への取り組み~質を維持したまま無駄を省こう!~」をテーマに発表した。同院では1人当たりの食材料費の削減に取り組み、1カ月の残食数の目標を設定。人気メニューが売りきれないようにするなど職員食の満足度向上にも務めた。

具体的には18年3月~10月までの職員食の喫食数や残数を毎日記録し、データを分析して8~11月の献立を作成し、予定食数を決定。残数が0のメニューは多く用意し、すぐに売りきれないよう配慮した結果、9月には残食数の目標をクリア。8月は野菜価格の高騰などで食材料費が上昇したが、9月には落ち着き、茶代を除くと1食当たりの食材料費を削減できた。

大作副主任は「今後も喫食数や残食の記録とデータ分析を続け、残食数が増えないように維持し、食材料費が大幅に増加しないよう努めていきたい」。授賞式では「働く皆さんの活力になる食事を今後も提供していきたいです」と抱負を語った。

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