徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)2月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1171 一面

徳洲会グループとシーメンスヘルスケア
画像診断支援AIを共同研究
検体検査工程の完全自動化なども

徳洲会グループの本部機能を有する一般社団法人徳洲会(社徳、東京都と大阪府の2本部体制)とシーメンスヘルスケア(東京都)は2月5日、社徳東京本部大会議室で記者会見を開き、AI(人工知能)ソリューション(解決法)を用いた画像診断の共同研究と検体検査工程の完全自動化、人材最適化に向けた超音波研修プログラムに関するパートナーシップ(共同事業)契約を締結したと発表した。医療の質と量の向上を図り、医療サービスの変革を目指すのが狙い。AIについては、まず胸部CT(コンピュータ断層撮影)画像の評価支援に的を絞り、7月までに成果を出す計画。AIによる画像診断支援は離島・へき地での医療の質向上にも貢献することが期待される。

人材最適化で患者体験価値 向上へ

会見場で固い握手を交わす鈴木理事長(右)と森社長 会見場で固い握手を交わす鈴木理事長(右)と森社長

今回のパートナーシップの締結は、医療ビッグデータを保有し、世界の先端的な医療を取り入れ地域医療の充実を目指す徳洲会グループと、医療機関のバリュー(価値)向上に向けた取り組みを世界規模で推進するシーメンスヘルスケアの思惑が一致し、実現した。

同パートナーシップでは、まず湘南鎌倉総合病院(神奈川県、許可病床648床)を主な拠点として展開する。同院は徳洲会グループの旗艦病院のひとつであり、国際的な医療機能評価のJCI(Joint Commission International)認証を取得している。

会見には大勢のメディアが参集 会見には大勢のメディアが参集

現在、同院は次世代の医療を見据えた高機能病院を目指し、陽子線装置などを備え、がんを包括的に治療する先端医療研究センターの開設や、外傷センター、救命救急センターの新築など、さまざまなプロジェクトが進行中。今回のパートナーシップは、その一環をなすべきものだ。

主なパートナーシップの内容は①同院の近隣にある湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県)内に、徳洲会とシーメンスヘルスケアが共同で研究開発拠点となる「AIコラボレーションセンター」を設立し、胸部画像などの診断支援を行うAIソフトウエアを研究、②同院に先進的な臨床検査システムと搬送システムを導入し、検体検査工程のさらなる自動化を推進、③「US(Ultrasound=超音波)アカデミー」を開講し、同院の臨床検査技師が、より専門性の高い生理検査に対応できるよう、シーメンスヘルスケアが継続的に超音波画像診断機器のトレーニングを提供――の3本柱。

離島・へき地病院の医療サービスに貢献

記者会見に出席した(左から)内藤彰彦シーメンスヘルスケア常務執行役員、森社長、鈴木理事長、東上震一・医療法人徳洲会副理事長、李進・湘南鎌倉病院放射線科統括部長、尾﨑勝彦TIS 社長 記者会見に出席した(左から)内藤彰彦シーメンスヘルスケア常務執行役員、森社長、鈴木理事長、東上震一・医療法人徳洲会副理事長、李進・湘南鎌倉病院放射線科統括部長、尾﨑勝彦TIS 社長

現在、画像診断技術の発展にともない、臨床での画像診断の役割が拡大する一方、大量の画像を読影する医師の負担は増加傾向にある。また、臨床医ごとの専門化も進んでおり、横断的な視点で画像情報を把握し共有することが求められるようになっている。

こうした課題を解決するため、徳洲会とシーメンスヘルスケアはAIコラボレーションセンターを設立し、CT検査のうち、約25%を占め(2018年、シーメンスヘルスケア調べ)、最も一般的な検査部位のひとつである胸部CT画像の読影をサポートするAIソフトウエアの共同研究を実施する。

肺や心臓、大動脈、脊椎(せきつい)といった胸部の各臓器や部位全体の読影をAIがサポートし、読影医がどの画像をより注意深く読影するべきか、あらかじめ印を付けるなどして知らせる。

これにより読影の効率化・高精度化が可能になると同時に、予想外の病変の早期発見にもつながることが期待できる。将来的には離島・へき地での医療サービスの向上にも貢献できる。

徳洲会グループが保有する医療ビッグデータは、社徳の完全子会社である徳洲会インフォメーションシステム(TIS、大阪府)が収集、データを匿名化、機密保持に万全を期し研究用に提供していく。

臨床検査室の業務33%削減が可能に

AI 共同研究の例
AI 共同研究の例 AI 共同研究の例

臨床検査室で業務を行う臨床検査技師の多くは、試験管の仕分けや搬送、廃棄など作業工程に、多くの労働時間を割いている。シーメンスヘルスケアによる調査では、検体搬送システムの導入により、自動化対象となる業務が約33%削減できることが判明(湘南鎌倉病院で受け付け、生化学検査、血液検査など、検体検査に関連するスタッフの1日の作業時間を集計し、検体搬送ラインの導入により自動化が可能となると算出できた作業時間の割合)。

同院はシーメンスヘルスケアの統合型免疫・生化学分析システム「Atellica Solution(アテリカ ソリューション)」と検体搬送処理システム「Aptio Automation(アプティオ オートメーション)」を導入し、ワークフロー(業務の一連の流れ)を改善する。

さらに国内初となる外来採血テーブル、病棟エアシューターと検体搬送処理システムの接続により、検査工程の完全自動化を推し進め、臨床検査技師が本来の専門的な業務に集中できる環境を整える。10月に稼働する予定だ。

また、さらなる人材の最適化を図り、臨床検査技師が超音波診断装置による生理検査に対応できるよう、シーメンスヘルスケアが超音波診断装置のトレーニングや最新情報を提供するUSアカデミーを10月にも開講する。

検体検査の完全自動化フロー図 検体検査の完全自動化フロー図

超音波検査は、装置のスペースを取らずリアルタイムで画像が読影できることや、患者さんにとっても痛みや副作用がないことなどから、医療現場で最も多く用いている検査のひとつだ。

USアカデミーにより、同院はニーズが高く非侵襲的な超音波検査体制を拡充し、これまで以上に患者さんに寄り添った医療サービスの提供を目指す。将来的には、求めに応じて即応するオンデマンドでの超音波検査も視野に入れている。

「働き方改革」に合致 グループ病院へ展開も

共同研究開発拠点となる湘南ヘルスイノベーションパーク 共同研究開発拠点となる湘南ヘルスイノベーションパーク

目下、医療現場でも「働き方改革」が急務とされているが、今回のパートナーシップによるAIを活用した画像診断の効率化や検体検査のワークフロー改善、臨床検査技師の研修により、人材の価値最適化を図る取り組みは、働き方改革とも合致する試み。また、この3領域のプロジェクト同時進行は、世界的に見ても例がない。

今後、徳洲会とシーメンスヘルスケアの共同研究により生まれた成果は、同院を起点に徳洲会グループの他の病院にも展開し、グループ全体の医療の安全性と質、患者体験価値の向上に役立てる。

社徳の鈴木隆夫理事長は「今回のパートナーシップにより、医療業務のワークフロー改善と、より質の高い医療サービスが提供でき、患者体験価値の向上が加速します。新時代の医療の幕開けとも言えます」と期待感をあらわにしている。シーメンスヘルスケアの森秀顕社長も「徳洲会グループの、ひいては日本の医療の質向上と効率化に貢献できるものと確信しています」と意気込みを見せている。

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