徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)10月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1106 四面

スケールメリット
あるからこそ実現
徳洲会の研修

徳洲会グループは、2004年度に卒後2年間の初期研修を義務付けた新医師臨床研修制度がスタートする以前、1994年度から離島・へき地での研修を開始、これまで1500人を上回る初期研修医が同地での研修を修了している。離島・へき地での研修は指導医の下、診療科目にこだわらず救急医療から入院、外来診療などを担い、総合的な診療能力を身に付けるうえで絶好の機会だ。こうした取り組みはグループのスケールメリットがあるからこそ、実現できている。

離島・へき地 研修

離島・へき地での研修は、総合的な診療能力を身に付ける絶好の機会 離島・へき地での研修は、総合的な診療能力を身に付ける絶好の機会

徳洲会グループは現在、国内71病院をはじめ341の医療・介護施設などを北海道から沖縄県まで展開している。とくに離島・へき地医療を原点とし、同地に最新の医療機器・設備はもとより、マンパワーの充実に努めている。

離島医療に関しては鹿児島県の種子島、屋久島、奄美大島、喜界島、加計呂麻島、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄県の宮古島、石垣島、伊良部島などに、それぞれ中小規模の病院、診療所、介護・福祉施設などを設け、地域密着型の医療・介護サービスを提供。

へき地、農村地帯、地方部の医療についても、北海道の新ひだか町、帯広市、函館市、山形県の新庄市、庄内町、新潟県の村上市、静岡県の牧之原市、兵庫県の高砂市、愛媛県の宇和島市、鹿児島県の指宿市などで、同様の取り組みを行っている。

絶え間なく指導医を派遣

離島・へき地の医療機関では医師、看護師、コメディカル、事務職など各職種が連携、さらに離島・へき地外の徳洲会病院からの応援職員が加わり、同地の医療を支えている。応援職員に関してはグループのスケールメリットを生かし、主に都市部の大規模病院から短期・長期にわたり専門医や指導医クラスの医師を絶え間なく派遣。

また、徳洲会グループ内の診療科ごとの専門医などで組織する部会や主に神奈川県下の徳洲会病院医師から成る湘南外科グループ(SSA)などが音頭を取り、離島・へき地に応援医師を派遣している。

初期研修医、後期研修医に対しては離島・へき地ならではの全人的な医療を学ぶため、初期研修医は地域医療研修で2カ月間、後期研修医は3カ月間、同地での研修を必須化している。

離島・へき地での保健医療サービスの確保は、国の助言・指導の下、一義的には都道府県が担うものであり、民間の医療グループが自前で、こうした活動を継続している例は他に類を見ない。徳洲会グループの離島・へき地病院は、すべての病院にCT(コンピュータ断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴画像診断装置)など高度医療機器・設備を導入し、都市部に近い医療サービスの提供に注力している。

大きな責任感など醍醐味

藤田安彦・徳之島徳洲会病院(鹿児島県)院長 藤田安彦・徳之島徳洲会病院(鹿児島県)院長

離島・へき地での医療活動の醍醐味はいろいろありますが、私は大きく次の3つと考えます。

ひとつは幅広い診療スキルが身に付くこと。当院には小児から高齢の方まで来院し、さまざまな疾患に対応します。内科や外科はもちろん、徳之島3町の合計特殊出生率は全国でもトップクラスを誇り、産科や小児科領域もカバーします。

外来や入院だけでなく、訪問診療など在宅医療も実施。家族関係や生活環境などをうかがい知ることができ、疾患のみを診るのではなく、患者さんをひとりの人間として社会的背景も含め診療するスタイルが身に付きます。

ふたつめは大きな責任感をもてること。若手医師でも主治医として複数の患者さんを担当します。また、島に病院は当院のみ。まさに“最後の砦(とりで)”として、救急搬送も断ることができません。覚悟とともに大きな責任感が必要です。

最後はコミュニケーションスキルが養えること。地域の関係性が強く、医療活動を行いながら、島民の方々と触れ合う機会が数多くあります。患者さんと信頼関係を築くのに欠かせないコミュニケーションスキルが自然と身に付きます。

いずれも都市部に比べて医療資源が少ない離島・へき地特有の事情がベースにありますが、だからこそ味わえる醍醐味と言えます。不安に思う医療関係者も少なくありませんが、フォローの体制を整備していますし、またスキューバダイビングなど都市部ではなかなか味わえないプライベートを過ごせるのも特徴です。

大隅半島の“最後の砦”で研修

中山義博・大隅鹿屋病院(鹿児島県)院長 中山義博・大隅鹿屋病院(鹿児島県)院長

当院のある鹿児島県・大隅半島は東京都に匹敵する広大な面積がある一方で、人口10万人当たり医師数は全国平均を大きく下回っています。慢性的な医師不足のため、一人ひとりの医師は総合内科や総合外科という意識をもち、特定の臓器にとらわれない幅広い視点で診療を行っています。結果的に医師の診療範囲は広くなり、多くの患者さんを診る機会に恵まれ、生活背景を含めて総合的に診療する力が身に付きます。

当院はGeneral Mindをもった上級医が直接指導を行っているため、Hospitalist(内科疾患の入院患者を診る総合診療医)、Generalistを目指す医師にはうってつけの環境と言えるでしょう。

大隅半島は“陸の孤島”と言われ、救命救急センターや大学病院への搬送はカーフェリーを使用し、救急車で約2時間かかります。したがって、まずは当院で診ることが非常に重要になります。「当院が断ったら次の搬送先はない」ことを認識し、専門分野にかかわらず「まずは診てみる」というMindが研修中に自然に身に付きます。

専門医も少ないなか、この地域では初期対応がしっかりできる総合診療医への期待が強く、とても大きなニーズがあります。当院は「地域医療の最後の砦」という意識をもち病院一丸となって取り組んでいます。当院での研修を通じ「断らない医療」、「専門外でもまずは診てみる」というプロフェッショナリズムを身に付けた総合診療医に成長できます。

どこでも通用する総診医育成

水島豊・共愛会病院(北海道)院長 水島豊・共愛会病院(北海道)院長

当院を受診する患者さんは複数の疾患をもっている高齢の方が多くおられます。このため、ひとつの疾患だけでなく、複数の疾患を同時に診る必要があります。まさに、全人的な医療を実践でき、総合的な診療能力を身に付けるのにふさわしい環境にあります。

高齢の患者さんを診るうえで大切なのはコミュニケーションです。これは患者さん本人だけでなく、ご家族といかに円滑にコミュニケーションを取るかが重要になってきます。

高齢の患者さんは、自ら意思決定を行うことに難渋することが多々あります。このため、ご家族ともコミュニケーションを取ることが求められるのです。

コミュニケーション能力を養うことは総合診療を行ううえで、キーポイントになります。

また、在宅医療にもコミュニケーション能力が欠かせません。介護施設や患家に出向き、患者さんを診る機会が増えていますが、ここでも患者さんのみならず、介護者の方とコミュニケーションを取る必要に迫られます。

当院は職員数が350人余りで、アットホームな雰囲気があり、診療科の垣根がないところが特徴です。自らが、やりたいと思うことを職員みんなで後押しする風土が醸成されていると言えるでしょう。

職員間のコミュニケーションも活発で、全職員が研修をサポートしていきます。どこでも通用する総合診療専門医を育成できるのが当院の魅力です。

患者さんの事情に寄り添う医療を

増成秀樹・宮古島徳洲会病院(沖縄県)院長 増成秀樹・宮古島徳洲会病院(沖縄県)院長

都会の急性期病院から来た研修医は当院の入院・退院基準に驚くことがあります。急性期病院の場合、なるべく早く退院させてベッドの回転率を高めないといけないため、よく研修医から「まだ入院でいいのですか」と質問されますが、私は「無理して退院していただかなくても大丈夫だよ」と答えています。

もちろん何の考えもなしに入院を長引かせているわけではありません。急性期の状態が落ち着いたら、すぐに退院に向けた目標設定をします。たとえば「この患者さんはひとり暮らしだから、ひとりでトイレに行けるようになったら退院していただいても大丈夫」など、患者さんの事情に寄り添うことが大切だと指導しているのです。

当院では主治医、看護師、ケアマネジャーなどが密に連携しており、ケアの方向性が決まるのは早いです。目標に向けて全力で治療やリハビリを進めたり、関連施設の協力を仰いだりするため、在宅復帰率も低いわけではありません。

患者さんの社会的背景は自分から入り込んでいかないとわかりません。背景がわかると治療方針が立てやすくなりますし、患者さんにも優しくなれます。こういうスタンスが自然に取れるようになることが大切です。

将来、急性期病院で専門医を目指している研修医にこそ、当院のような離島病院で研修をする意義があります。患者さんの背景まで、しっかり診ることができる専門医がこれからの時代には必要です。宮古島の自然を満喫しながら、ぜひ有意義な研修生活を行ってほしいと思います。

「相談に乗る医師」が必要

松浦甲彰・名瀬徳洲会病院(鹿児島県)院長 松浦甲彰・名瀬徳洲会病院(鹿児島県)院長

離島・へき地医療の醍醐味のひとつは「患者さんの相談に乗る医師」になるための経験を積めることでしょう。今、患者さんや家族は「何でも相談できる医師」を望んでいるように感じます。幅広い疾患に対し、他院への紹介などを含め的確に対応できる、いわゆる“かかりつけ医”です。

近年、総合診療医が注目されているのも、「自分の専門領域ではない」などと門前払いされたり、相談に乗ってもらえないと感じていたりする患者さんの声が背景にあるように思います。総合的な診療能力と言っても、どんなケースにも完璧に対応するスーパードクターではなく、気軽に相談できる、相談すればきちんと応じてくれる医師が求められていると感じます。

都市部に比べて医療資源が限られている離島・へき地では、そうしたニーズに応えるために不可欠なさまざまな経験ができます。内科や外科、小児科、産婦人科、あるいは在宅、看取りなど、多岐にわたる領域を学べる機会が多く、患者さんとの距離が近いため信頼関係が築きやすい環境も醍醐味です。

ただし、離島・へき地と言っても状況は異なります。地域で必要な知識・技術を身に付けていくのが理想と考えているため、とくに若手の医師には、できるだけ離島やへき地で多様な経験を積み、困っている患者さんやご家族に幅広く手を差し伸べられる技量や人間性を磨いていってほしいと思います。

病院と訪問診療をつなぐ知識を

池田佳広・宇和島徳洲会病院(愛媛県)院長 池田佳広・宇和島徳洲会病院(愛媛県)院長

当院には内科の専門医が3人おり、循環器、呼吸器、神経内科と専門が異なります。地方の病院ながら幅広い専門科を指導できるのは、研修医にとってメリットになると思います。認知症患者さんの診療に力を入れているのも特徴で、当院は認知症の入院患者数が愛媛県トップ。今後、どの病院でも増えてくると予想されますので、研修期間のうちに学んでおくべきでしょう。

研修期間は、すべて自分で対応しようとするのではなく、ひとりでできること、できないことを理解することが大切。患者さんの状態は急変することもあるので、いつどんな検査をして、どのタイミングで専門医に相談するか、その判断ができるようになってほしいです。

また、急性期病院にいると、どうしても病気だけを診てしまいがち。救急に慣れている研修医は病気のための問診は上手にできますが、患者さんの背景まで情報収集できないことがあります。いざ退院する段階で、「ひとりでトイレに行けないけれど、どうすればいいのでしょう」とご家族から相談されて気付いた研修医もいました。

リハビリはどのように行っているか、退院後の生活を支援するためのサービスには何があるか――これらを含めた一連の流れを知ることが大切。これは実際に訪問診療を経験すると実感できます。病院だけでも、訪問診療だけでもいけません。双方をつなぐ知識を、当院のような地方病院の研修で学んでいただければ良いと思います。

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