徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)10月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1106 一面

病気を診ずして病人を診る――
総合診療能力を養い全人的な医療へ

病気を診ずして病人を診よ――。医療界で古くから言われてきた言葉だが、高齢社会を迎え複数の疾患を有する患者さんが増加している日本では、まさにこの言葉が重みを増している。2018年4月にスタートを切る新専門医制度で、全人的な医療を行う総合診療専門医が新たな専門医資格として登場したのも、この表れだ。今号では全面をとおし、徳洲会グループの離島・へき地、地方病院での臨床研修をテーマにクローズアップする。

離島・へき地 研修 特集
宮古島徳洲会病院

すべてのステージを体験

離島・へき地 研修

宮古島病院は窓から海が見える開放的なロケーション 宮古島病院は窓から海が見える開放的なロケーション

宮古島徳洲会病院(沖縄県)のある宮古島は、沖縄本島から南西へ300㎞に位置し、エメラルドグリーンの海に囲まれた美しい自然の残る離島だ。年間入域観光客数は100万人に届く勢いで、同院では旅行で来た透析患者さんや旅行中の傷病者の方の対応も増加。マリンスポーツが盛んなため、ダイビングによる減圧症など離島ならではの症例も多い。

同院には一般病床(急性期)、地域包括ケア病床(回復期)、障害者病床(慢性期)と3種類の病床区分があり、健診センター、特定施設みやとく、さらに伊良部大橋を渡った先にある徳洲会伊良部島診療所も管理。増成秀樹院長は「初期治療からリハビリ、長期療養まですべてのステージを経験できます」と同院の特徴をアピールする。

増成院長は2018年4月に始まる総合診療専門研修プログラムのプログラム統括責任者も務める。同プログラムは中部徳洲会病院(沖縄県)と連携して実施し、3年間のうち最初と最後の6カ月間を宮古島病院で総合診療専門研修Ⅰ(外来や在宅医療中心)を実施する。同院の特徴を生かし、幅広い症例、ステージを学ぶことができる。

外来患者さんの治療方針について指導する増成院長(右) 外来患者さんの治療方針について指導する増成院長(右)

「総合診療専門医とは、初期治療から看取りまで患者さんに責任をもてる医師だと考えます」と増成院長。同院のような離島にある病院では、外科的な治療が必要な場合は沖縄本島に患者さんを送ることになるが、手術が終わったら必ず戻ってくる。その後の術後管理やリハビリは同院で行い、退院後の在宅医療にも対応。こうした一連の流れのなか、患者さんにとって最適な治療方法を選択できる技量が必要で、その考え方を学ぶことが同プログラムの目的となる。

研修期間中は定期的にカンファレンス(症例検討会)を行い、カルテの記載内容についても指導。また、医療講演の講師を担当し、地域住民への積極的なアプローチも経験できる。外来や病棟管理に追われるだけでなく、なるべくさまざまなことを経験し、考える力を養えるように環境を整えている。

増成院長は「病気だけでなく社会的背景まで診ることが必要とよく言われますが、当院で働いていると、これを意識せず自然にできるようになってきます。本プログラムを受けることで、この感覚を学んでいただき、都会に戻って働く場合にも生かしていただければと思います」とメッセージを送る。

ジェネラリストの経験積む

佐藤諒医師(福岡徳洲会病院所属、後期研修3年目)

佐藤諒医師(福岡徳洲会病院所属、後期研修3年目)

将来はスペシャリストの武器をもちながら、ジェネラリストとしても力のある医師でありたいと思います。宮古島病院では外来、病棟だけでなく、健診センターや徳洲会伊良部島診療所でも研修ができ、いろいろな経験のなかでジェネラリストとしての学びがあります。

外来では、自分が主治医として責任をもって3カ月間患者さんを診るため、社会的背景を含め時間をかけて話をし、しっかりと人間関係を築いていくことができます。伊良部島診療所の外来では、患者さんはちょっとした相談でも来院されるので、それだけ診療所が身近な存在なのだと実感しました。

こうした環境のなか、患者さんの先に生活があることを感じながら研修していますが、どこまで踏み込めば良いのか悩むことも多いです。しかし、考える時間はたくさんありますし、指導医や多職種のスタッフがサポートしてくれるのは心強いです。

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