2017年(平成29年)10月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1106 二面
離島・へき地 研修 特集
名瀬徳洲会病院
若手に多くのチャンス
奄美大島の大自然のなかで都市部と変わらぬ医療提供に努める名瀬病院
今年度、地域医療研修などで約30人の初期・後期研修医を受け入れる名瀬徳洲会病院(鹿児島県)。取材時は徳洲会グループ病院から初期研修医と後期研修医がそれぞれ2人、グループ外から初期研修医2人、計6人が指導医の下で研修を受けていた。
初期・後期研修医は主に複数の入院患者さんを主治医として受けもつとともに、救急外来を担当。多様な患者さんに対応する。当直は月4~5回程度。このほか、初期研修医は訪問診療に同行したり、後期研修医は専門分野の外来をサポートしたりする。看取りを経験する場合もある。
同院の研修の特徴は研修医に経験する・考える機会を多く与えること。研修の責任者を務める平島修・徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター長は「都市部に比べ離島・へき地の医療機関はマンパワーなどが限られているのが実情です。ただ、その分、研修医にとってチャンスは多い」とし、指導方針をこう説明する。
「人の生から死まで、あるいは来院から自宅に戻った後のフォローまで医師がかかわる機会があります。そのチャンスを奪わないように気を付けています。これは私自身が徳洲会から学んだこと。当院ではベッドサイドをベースに、研修医でもかなりの責任をもたせて教育します」。
回診の際、患者さんの状態を確認するため頚椎(けいつい)体操を行う平島センター長(奥中央)
研修医は朝7時に出勤し、平島センター長と前日の外来について振り返った後、新入院・入院患者さんを回診。平島センター長は点滴や食事の状況などを見ながら研修医に質問し、考えさせたうえで、疾患のポイントや治療方針を説明した。
研修医が担当の患者さんの様子をうかがう場面でも後ろで見守り、研修医がとまどったり迷ったりした時などに適宜、アドバイス。その際も必ず質問を投げかけ導くように指導する。病室を移動する間も、次に回診する患者さんの疾患について簡単なレクチャーを廊下で行うなど余念がない。
もちろん、講義による教育にも注力。週1回、身体診察に関する講義、週2日、CT(コンピュータ断層撮影)カンファレンス(検討会)を開催するほか、不定期で松浦甲彰院長が死亡診断書など医師としての業務について解説する。
「総合的な診療能力を養うのに離島・へき地は理想的な環境」と指摘する平島センター長。同院は県外4病院と連携し、新専門医制度下での総合診療専門研修を実施する。
死について考えさせられた
坂口仁美医師(大阪大学医学部附属病院所属、初期研修2年目)
Common disease(日常的な疾患)と救急を学びたいと思い、2カ月間、名瀬病院で研修を受けました。複数の入院患者さんを受けもつかたわら、当直、救急外来、訪問診療、リハビリテーション診察(リハビリを行う前に患者さんの状態を診る)などを経験しました。大学病院と役割が違うこともあり、求められることやスピード感がまったく異なり、とまどうこともありましたが、とても勉強になりました。
とくに印象的だったのは看取り。「治療ができなくて悲しい」という単純なものではなく、言葉を発せられない患者さんの思いをいかにくみ取るか、主治医として人生の最期にどう向き合うか。こんなに人の死について考える機会はありませんでした。名瀬病院に来て本当に良かったです。