徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

赤崎 満(あかさきみつる)(南部徳洲会病院院長(沖縄県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

赤崎 満(あかさきみつる)

南部徳洲会病院院長(沖縄県)

2017年(平成29年)10月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1106

徳洲会は社会に光を放つ存在であり
職員一人ひとりが希望もてる未来へ
琉球王府の高嶺徳明に医療の原点を学ぶ

10月の早朝、午前5時。夜明けまで、まだ1時間余り。この時期、夜の8時頃は夏から秋の星座が夜空を飾りますが、未明には冬の星座が大きな幾何学模様を全天に織りなしています。南の空に雄大な姿を見せ、駆け上がる勇者オリオン。星座のなかで最も美しいオリオン座のベテルギウスとオオイヌ座のシリウス、そしてコイヌ座のプロキオンが描く見事な冬の大三角形。悠久の昔より、変わりなく輝く星々を散りばめたあまりにも広大な宇宙。その美しさに心を奪われながら、些細(ささい)なことに思い悩む自分の卑小(ひしょう)さを感じます。

1983年に秋田大学を卒業し、地元のために少しは役に立つ医師になろうと、開講したばかりの琉球大学医学部第二外科に入局しました。心臓血管外科を中心に、諸先輩にお世話になりましたが、とくに大学の2期先輩の伊波潔(いはきよし)先生(現・中部徳洲会病院院長)には、手術のみならず仕事のやり方、患者さんの診方や接し方を一から教えてもらいました。

医療行為を習得するには必死の努力と覚悟が必要

97年、大学から南部徳洲会病院に心臓血管外科の立ち上げで派遣されました。徳洲会との出会いでした。南部病院に勤めて、すぐに当院が好きになりました。救急を断らないということを本当に実践しており、救急医療に対する職員の意識の高さと行動力に驚き、これが徳洲会なのだと感じました。末梢(まっしょう)血管や肺の手術、一般外科の手術をやりながら、心外の開設準備をしました。日々、救急に携わることで、大学病院で仕事をしていた時とは別の形で、沖縄のために役に立っている実感がありました。

沖縄の医療の先達に高嶺徳明(たかみねとくめい)がいます。彼は17世紀の琉球王朝時代に生を受けました。中国語を習熟し、琉球王府の中国語通事になりました。当時の琉球王の孫が口唇裂(こうしんれつ)をもっており、憂えた王は、中国の福州の医師が修復する補唇(ほしん)術を行っていることを知り、徳明にこの手技の習得を命じました。福州に赴き、教示を懇願しましたが、秘伝であるからと固辞されました。

しかし徳明は引き下がりません。その熱意と真摯(しんし)な人柄に心を動かされた医師は、教えることを承諾。徳明は昼夜問わず修業し、ついに会得したのです。1689年に帰国した徳明は、王の孫に補唇術を施し治癒することに成功しました。痕(あと)がわからないほど見事な出来であったと伝わっています。手術は全身麻酔下で行い、華岡青洲の全身麻酔に百余年先立ちます。徳明が熱意と真摯な姿勢で、文字どおり必死に努力をしたであろうことは想像に難くありません。開心術はもちろん、あらゆる手術、あらゆる医療行為は、それぐらいの覚悟をもって為(な)すべきだということを教えられます。

異なる職種の仲間と研修 互いの仕事を理解し合う

今年4月、当院は80人の新入職員を迎えました。皆、希望を胸に瞳を輝かせていたのが印象的でした。入職した新人には定期的に研修を行っています。異なる職種を組み合わせ8人前後のグループをつくり、いろいろなテーマにチームで取り組みます。入職時オリエンテーションから始まり、3カ月研修、6カ月研修、2年次研修、3年次研修と続きますが、同じメンバー構成でグループ研修を続けます。

異なる職種の仲間と触れ合い、互いの仕事を理解し合うことで、職種の垣根を越えて自然にコミュニケーションを取り、助け合っています。今年度も6カ月研修があり、例年はこの時期に2~3人の離職者が出るのですが、今年度はひとりも欠けることがなく、とても嬉しく思います。

毎年6カ月研修ではプログラムのひとつに、徳洲会に所属し志半ばで病に倒れた医師の故・井村和清先生が主人公の『飛鳥(あすか)へ、そしてまだ見ぬ子へ』の映画の視聴があります。会場では映画の途中からすすり泣きが聞こえ、ほとんどの人が涙を流します。感想文を読むと、皆とても豊かな感受性をもっており、とくに井村先生の「三つの悲しみ」や「He is sick, you are not sick.」の言葉が心に残ったと記しています。その感受性を長く大切にしてもらいたいものです。

シリウスはマイナス1.4等星、全天で最も明るい恒星です。その白い輝きは、純粋な気高さを感じさせます。徳洲会がシリウスのように社会に対して光を放つ存在であり、そして職員一人ひとりが希望をもって満天の星々のように煌(きら)めいている――そんな近未来を想像します。

皆で頑張りましょう。

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